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困難を抱える女性への支援基本方針(長野県)へのパブコメ

女性新法(困難な問題を抱える女性への支援に関する法律)の施行に伴い、長野県で出された基本方針が出されました。やどかりハウスユーザーに声をかけ「パブコメを書く会」をやったところ50通ものパブコメが集まりました。当事者女性たちによる切実な声、そして私達の訴えです。一部を紹介します。


DVについて知らない相談員


今日DVの関係で市外に移る際の引き継ぎを女性相談員に行った際、DVについてあまり知らない様子、言動が見受けられてとても残念でした。非正規の職員を雇用していることも影響していると思いますがもう少し寄り添ったり、これからの生活などを一緒に考える機会があれば良いのにと思いました。私の意見としてはこの方を頼りたい!相談したい!と思うような雰囲気作りをすることが必要だと感じます。ほとんど知識がない相談員さんに相談しにくいと感じている方は私以外にも感じている人がたくさんいるのではないでしょうか?もちろん人材の確保は必要だけどきちんと人に寄り添えない方をいくらその職に就かせても私達にはメリットはありません。このことをどうか検討して頂きたいです。よろしくお願いします

安心できる場で就労を


地域に沢山の空き家があると思うので、地域の方にも協力いただき利用と同時に地域のための就労、お手伝いも出来るような仕組みが、セットであるといいかと思います。特に子育て中や体調不良などで一般的な就労形態はとれないけど、さまざまなスキルを持っている方はいると思うので、人手不足の事業者さんとすぐにマッチングしていただければ、困難があっても自立出来るのではないかなと思います。経済的なことが一番不安になるので。

ようやくかけた電話で


高校3年生で18歳だった頃、虐待環境に耐えきれず、○○市の行政機関へ保護を求めました。児童相談所からは18歳だから管轄外だと言われ、市役所の女性相談窓口へ回されました。女性相談窓口で相談したところ、「高校生であれば高校は退学してもらうしか保護できない。退学したくないのなら家で卒業まで何とかやる方法をもう18歳で成人なのだから自力で考えなさい。」と言われ電話を切られました。やっとの思いで助けを求めたのです。保護を求めている人間がこれ以上頑張るなんてできるはずがありません。一方的に電話を切られてしまったらもうどうしたらいいのか分からなくなってしまいます。18年間我慢をし続け、人生で初めて行政機関に助けを求めてかけた電話でした。誰も助けてくれないのだと死にたくなりました。やどかりハウスがあったから今も命がありますが、もしなかったら私はどうなっていたのか分かりません。一本の電話に命がかかっているその重さをきちんと感じいただきたいです。
前述した通り幼い頃から虐待環境で育ちました。児童相談所は家庭復帰を目指しているため、保護を求めることはずっとできませんでした。家に帰される恐怖があり、安心と安全が保証されていないと感じてしまう以上助けを求めるということはできません。帰されて苦しい思いをするのは子どもです。その子にとって何が最善か、そしてその子の意思が尊重されるようなケースバイケースでの対応をお願いします。他県で自立援助ホームに入所した今、児童相談所と繋がっています。年齢は19歳になりました。それでも繋がることができました。18歳でも児童相談所の管轄外ではないのです。制度の狭間でどこにも引っかかれずに孤立している若者がいることに気づいてください。高校を卒業すれば高卒という学歴を手にすることができます。学歴によって今後の人生も大きく左右されます。高校生というのはその時しかない大切な時間です。自己都合でない保護という状態によってそれらが奪わないよう、制度や柔軟な対応を求めます。また18歳以上の若者が制度の狭間で苦しむことがないよう制度の拡充や対応をお願いします。そして、相談の電話をかけるというのはすごく勇気のいることです。一方的に対応できませんと打ち切ることは絶対にしないでください。市役所でできなかったとしても必ず次へ繋げてください。保護できる可能性がある場や対応してくれそうな民間団体などに行政機関から依頼をし、その人が自力で次の相談先を探さなくてもいいように、その人がこれ以上助けを求めなくても一度あげた声がきちんと拾われる体制作りをお願いします。

子供が二人います。


一人は小学生、一人は今年から小学生です。シングルマザーではありません。でも、決して余裕がある訳ではありません。
今月も自営の建築業の夫の給料は、安定していませんし、暮らしを切り詰めてやっとこやっております。私より大変な思いをしている人はたくさん居ると思いますし、私だけが大変な事じゃない事はわかっております。
でも、声を上げる方法が分からないので、ここでコメントします。私は今、不登校の子どもさんの昼間の居場所をやっています。
ここにはシングルマザーのお母さんが、子供さんを預けて働いています。
子どもさんは、まだ低学年で、一人でお留守番出来ません。
発達障害と診断された子どもさんは、どこにも行く場所がなく、今まで普段は、お母さんの仕事場にある車の中や今は、入院しているおばあちゃんの家にずっと居ました。彼女はほんの一部です。その他にも、シングルマザーで、子どもさんを抱えて、働きながら生きている方が私のやっている居場所では、たくさん、いらっしゃるのです。
女性は、学歴はあるのに仕事がない。仕事があっても時間がない。
そして、収入があっても、それがほとんど幼稚園や、保育所に回ってしまう。何のために働いて居るのか分かりません。わたしも思います。
もっと女性である私が仕事ができたら、夫に休みをあげられるのに。
わたしがもっと稼げたら、夫の助けになれるのに。
夫も言います。休みが欲しい。もっと子供と一緒に笑ったり、ゆっくり過ごせたらどんなに幸せかなぁ。私たちは、働くために生きている訳じゃない。
一人で子育てする為に生きているわけじゃない。
子どもと、大切な時間を過ごしたい。
社会みんなで子供を育てられる様に、一人一人の話を聞いてください。
優しくして下さい。人権を守ってください。私が言いたい事は、この一点です。

女性だけの避難所


私の場合、行政に相談するということはなかったのですが、やどかりハウスをたくさんの人が利用しているということや、女性だけが泊まれる場所というのは本当にありがたかったし、私も利用してみて確かに必要だと感じました。ここまでやどかりを利用する人が多いなら、緊急避難場所というか休む場所として女性限定で泊まれるところがもう少しあってもいいのかなと思います。

女性の自立に必要なのは安全な場所


東京で結婚して子育てしましたが、その間に夫からのDVがありました。DVで怪我をする事件が起きたので避難を決起し、元々カウンセリングでお世話になっていたsaya sayaという団体に救っていただきシェアハウスにお世話になりました。10歳の子どもと一緒でした。期間は2週間でした。その間、夫とのことをどうするのか共に考えて話せ、ドメスティックバイオレンスとは何か学び次に私はどうするのかを決めてその方々と話せて、次に進めました。私はその間守られていて安心して次のことを考えられました。お金はたいしてかかっていません。
女性の自立に必要なのは安全な場所、安心して自分を語れる場所、安心して次のことを考える場所です。DVに限らず家庭は他人のいる個室で安心できない気持ちのときは密室となると考えます。そのため、危険や不安を感じる女性は安心で守られている場所にいなければ心身ともに安全は守られません。

女性保護のために何度も「通告」をしてきましたが


私は、長年 急性期病院にてMSWをしてきました。
私生活では4児の母。結婚・出産にてかなり女性としての人権をよく考えるようになりました。環境変化が著しく、社会参加をしていた中で出産をすると突然、社会とのつながりがきれ孤立。1 子ども 2家族 3自分
自分は置いてけぼり。苛立ちから家族にあたる
これは、どこの家庭でもあると思います。このタイミングでの女性の人権 尊重・守ることはこれからの未来にとっても非常に大事な要素だと感じます。仕事では、そこで様々な女性をみてきました。パートナー・親・子どもからのDV、自身が子どもを虐待してしまうケース、デートDV よきせぬ妊娠、妊娠により、就労できず経済苦 ⇒等により、メンタルが崩れて社会生活が送れない。数えきれない数です。
私は、MSWという仕事を通して、女性保護のために何度も「通告」をしてきました。そして、一度もシェルターに繋がったことはありません。
繋がらない理由も納得できる返答は一度もかえってきたことがありません。そこで、毎回感じることは、病院という治療する場で初回面談をすることの違和感。現法では、面談をしたうえで検討会議をかけ、双方で合致をした上で保護となる仕組み。行政職員 + 警察 で何度も何度も病院にて面談。心身ともに崩れている状況でこのようなやり方は、被害者女性をただ苦しめます。そして、そのストレスから、「行きません」という言葉がでてしまう。本当は、SOSを出してMSWと面談する勇気を出したのに・・・・
一度「行きません」と口に出してしまうと疲弊しているタイミングではもうSOSすら出せずその場しのぎになる。そこを調整しているMSWはかなり苦しいです。病院も加害者がくるのではないか・・・どう安全を確保するのか・・・安全確保ができてから退院。社会的入院もあります。病院は治療する場所です。まずは、安全できる場所への利用 
⇒ 少し落ち着いたとこで初回面談 
⇒ 行政にかかわる手続き
をお願いしたい。まずは、安心 安全できる場所を。その団体にしっかりと県が伴走してほしいと願います。

分かっていただきたいこと


私はNPO法人場作りネットという団体の副理事長をしています元島と申します。電話やSNSなどを中心に年間1万件の相談対応を行っている団体です。当団体ではコロナ禍の2021年2月より上田市にて「やどかりハウス」という1泊500円で誰でも泊まれる宿という事業を3年間運営していきました。コロナ禍で困りごとを抱える女性が増えたことを受け、どんな人でも気軽に安心していられる場所を作り、そこから支援につなげるために開始した事業です。利用の条件など敷居を作ってしまうと支援が必要な人ほど支援に繋がらないことが経験から分かっているため、あえて「誰でも」と間口を広げて、寄付や補助金を集めて、手弁当で開始した事業です。
まずお伝えしたいのは、やどかりハウスには今年度(2月末現在)だけでも500泊、157名の利用がありほとんどが女性でした。そして私たちが把握している155名中46%(71名)に何らかの暴力被害があり、12%(18名)が性被害がありました。アンケート調査では「抱えている問題を「相談」したことがあるかという問いには「相談していたがうまくいかなかった」という回答が54%「相談しようと思ったができなかった」と答えた人が20%でした。つまり多くの女性たちが何等かの暴力を受けながらも適切支援に繋がらず、心身を病んでいる状態であることが分かっています(心身の不調を訴えていた人は61%)
県の女性センターの実績では令和4年度一時保護で15件、女性保護施設で4名となっています。これは驚くべき数字です。内閣府の調査では4人に1人がDVを受けているという数字もあるなかで、長野県だけ例外な訳はありません。私達のもとにたどり着いた女性たちの現状をみても、とても多くの女性たちが、日々暴言や暴力にさらされながら、経済的な支配や望まない性行為などを受けながら、または目に見えない暴力や支配にさらされながら、それでも子育てや仕事に追われ、相談できず、または適切な支援を受けられず、諦めてしまっているということは明らかです。基本計画を見て、その現実をどれほど重大なことと捉えてくれているか率直に心配しています。我々は毎年寄付や補助金を模索しながらお金をかき集め、県民の力を合わせて運営を続けてきました。今年度は補助金も取れないことも分かっていますが、それでも寄付を広く集め、一日でも長く続けていくことを決めています。それは、本当に多くの女性が切実に必要としている場だという事が分かっているからです。この場を失くすわけにはいかないと思っています。まずはそれほど深刻な事態に制度が全く対応できれおらず、困難を抱えた女性たちが放置されており、それを県民が自分たちの手で努力して対応している実態であり、それに対処することは「急務」であるということをまずは分かっていただきたいと思います。
今回、県のパブリックコメント募集を受け、私たちはやどかりハウスに繋がる女性(登録者593名)に声をかけ、困難を抱えた女性の支援について考える会を開催しました。たくさんの人が集まり、議論をしました。47名が意見を出してくれています。困難を抱える女性当事者からの切実な声たちです。どうか真摯に受け取ってほしいと思います。
私がこの基本計画についてお願いしたい点は以下の点です。
①   困難を抱えた女性当事者からの意見を積極的に聴く場を設け計画に取り入れてほしい。
困難を抱えた女性を適切に支援するためにどのような計画が必要なのか、その最も重要なヒントを持っているのは当事者本人です。県民の女性たちの意見をしっかり取り入れて計画に活かす必要があると考えます。しかし特に困難を抱えた女性たちは日々の生活に追われ、また安心できる精神状態にない中で、県のホームページにたどり着き、計画を読み込み、意見を出すなどできる人はごく稀です。そうした女性たちの状況に配慮し、行政側から積極的に意見を聴く場を作る必要があると思います。そうした真摯な姿勢自体が困難を抱える女性を支援するためにまずは最も必要な態度だと思いますし、そうした態度自体が、多くの女性たちを励ますと思います。どうか検討してください。場をコーディネートすることはいくらでも協力します。
 
②   女性が保護を求めている場合にはその内容の如何に関わらず、まずは安心できる場所に居られるように、民間支援への積極的な予算措置をしてください。
我々の元に日々届いている声の一例を紹介します。「死ねと毎日言われていることを相談したが一時保護にはならないと言われて相談することを諦めた」「施設に入るには離婚が前提なので難しいと言われた」「骨折など分かりやすい暴力ではないと保護できないと言われた」など、相談に行ったけれどダメだったという意見が本当に多く聴かれます。県の発表した事例を見ると、保護件数は令和4年度で15件ということですが保護を断ったケース、または諦めてしまったケースがどれくらいあるか把握されているでしょうか。当法人の上記の調査結果を見てもおそらく相当多くの人が諦めることになっていると想像します。一方、同調査で「どのように過ごしたいか」という設問をしたところ最も多かったのは「ゆっくり休みたい」(54%)、次いで「抱えている問題を相談したい」(51%)、「つながりを作りたい」(48%)でした。パブリックコメントでも多くの女性が言っているように、困難を抱えた女性たちはまずは安心して身を寄せる場を必要としています。多くの人がそういう場があれば、自ら問題を整理していかれます。しかし現制度の実態はその場が用意されておらず、一時保護もほとんど使うことができない(ニーズに合っていない)状況です。だからこそこの基本計画では目標に据えられているのだと思います。希望する女性が「内容で選別されず」安心して身を寄せられる場が必要であり急務であることを再度強く訴えたいと思います。基本計画には民間への委託先の確保も謳われていますが、委託先自体を広く柔軟に広げてもらうことを要望します。民間で支援を行っている団体は市民のニーズに柔軟に対応するために様々な体制を取っています。委託先を狭めてしまっては本末転倒です。様々なニーズに対応できるよう、民間委託を進める際には、民間支援団体の意見を積極的に聴くなど現場の状況にあった形で進められるようお願いをしたいと思います。また民間支援が少ないという報告もありました。民間支援はお金を自分たちで確保せねばならないため資金的に持続が難しいことも全国的な課題です。民間の活動が増え、持続するような補助の在り方も積極的に検討することが、支援先の拡充に繋がると考えます。そのような予算措置をお願いしたいと思います。
③   相談対応の質を変えるための体制づくり
県の報告を見ると相談対応のほとんどは「助言・指導」となっています。長い間困難を抱えながらも日々を必死に生きのびてきた人達に対する支援として、助言や指導が適切ではなく「傾聴や受容を伴う伴走支援や居場所作り」が必要であることはいたるところで指摘されているところです。まずは相談窓口に来た人が安心して自分の気持ちを話したり、気持ちの揺れも含めて受容してもらえたりできるよう、相談窓口の在り方を変えることが望まれます。また聴かれる声として「行政の相談窓口では親切に聴いてくれたけれど情報提供や助言だけで問題解決はしなかった」という人も多くおられます。行政の職員さんも親身に対応してくださっているのに、具体的に提供できる支援内容が無いがために、一方的な助言に終始せざるをえなく、相談者も解決を諦めなければならないということが発生しているのが現状だと想像します。相談の質を保つために大切なこととしては、相談窓口に居る相談員さんが安心して相談者の話を受け止めることが出来るようにすることも必要です。そのために何点か重要だと思われる体制を下記に示したいと思います。
一つは、正規職員の配置など体制の強化。相談者のニーズに合わせた伴走支援が可能になるように、安定的に職員が従事できる予算措置が必要だと思われます。
一つは、民間への委託の拡充を現場の民間の実態に合わせて行うことです。支援内容が拡充することで、窓口にいる相談員さんも相談者のニーズに合った対応を検討することが出来ますし、その選択肢の多さが相談員の安心感には必要だと思われます。
もうひとつは、個人情報の扱いについてです。現在民間と行政の連携を阻んでいる要因として個人情報保護があります。自治体によっては民間支援団体にまったく情報を出さない、連携をしないということが起こっています。本来、個人情報の保護はその相談者を守る目的でつかわれるべきですが、現状ではそれができないことにより連携が阻まれ、本人の不利益になっている場合が散見されます。個人情報はその相談者を守るためのものであり行政を守るためのものではありません。個人情報の扱いについても、再度検討が必要だと考えます。業務委託や補助や連携を行う民間団体とは個人情報の取り扱いについての誓約書を取り交わしたうえで、情報の共有をスムーズに行う(ご本人の許可は前提ですが)など柔軟な対応策を検討してほしいと思います。
長くなりましたが、行政も民間もそれぞれの良さを生かし合いながら、1人でも多くの女性が安心して過ごすことが出来る長野県になるように、共に力を合わせたいと思っています。ご検討をどうぞよろしくお願いします。
 


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