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【一般向け】心理検査は高いのか、それとも安いのか

 心理検査を実施するのに数万円かかるというと、やはり一般的な目線からは高いという印象があります。しかし、心理検査をちゃんと実施する(=協働的アセスメント治療的アセスメント)ということを考えたら、専門家の目線からは妥当な金額、いや、むしろ安いくらいだと感じます。

 私の研究室では、実はかなりの経営努力をして、心理検査を実施するのに必要な費用を出来るだけ抑えています。専門的な技術なので、決して安売りは出来ませんし、しませんが、それでも標準的な価格と比較したらかなり安い方だと思います。

 実際に検査を行えば、受検者の方には「実施して良かった、これはまさに私のデータだ、こんな素晴らしい体験が出来るのであれば、安いくらいですね」と言って喜んでいただけるし、私もそんな風に言ってもらえて嬉しくなります。

 が、出来れば、検査を実施する時点で、「この値段は適正だよね」と思ってもらいたいと思います。

知らないものについては高いと感じる

 人は、よく知らないものについて値段だけを聞くと、高いな! と思うことが多いでしょう。しかし、それがどんなものかが分かってくると、「実は高くないのかもしれない」「普通じゃん」「むしろ、安いのでは?」となります。

 前に、私は清水の舞台から飛び降りるような心持で、というと言い過ぎですが、一本のお酒を購入したことがあります。10万円を超える一本だと言ったら、高いお酒だと思うでしょうね。私もそう思います。高いよ。10万円って。

 しかし、このお酒に使われている原酒は、1900年代前半のものと1870年代以前のものである、と言えばどうでしょうか。

 日本で言えば、幕末から明治にかけての時期に作られた原酒です。150年――人ひとりの人生よりも長い年月を経た液体。そう思えば、10万円と言われても安く感じませんか?

 しかも、使用されている品種には、バルザックブラン、ブランラメ、ジェラソンといった絶滅品種が含まれています。絶滅ですからね。この機を逃すと、二度と味わうことが出来ないものです。なんという希少性!

 また、1870年代以前はプレフィロキセラでもあります。プレとは「~より前」という意味ですから、フィロキセラ以前、ということです。フィロキセラとは、ブドウネアブラムシという昆虫のことで、19世紀に世界中のブドウを襲った害虫です。

 この害虫は、フランスのブドウ畑に、全滅に近いレベルの大きな被害をもたらしました。ブドウの樹が大量枯死する中、アメリカ原産のブドウを台木にして、これまで栽培されてきたブドウを穂木として接ぎ木する「接ぎ木法」によって対策されましたが、フィロキセラ前後でブドウの味は変わってしまったと言われています。

 つまり、150年も前の原酒が使われていて、そこには絶滅品種が含まれていて、しかもその原料にはプレフィロキセラが含まれている。もう二度と手に入らない、超貴重な液体……と分かれば、それが10万円を超えるお酒だと言われても、適正な価格、いやむしろ安い、と思うのではないでしょうか。

結論

 ということで、それがどういったものなのか、どんなによいものなのかということを上手くお伝えすることが出来れば、世の人々に「心理検査は高いものではないんだ」ということがお分かりいただけるのかも知れません。

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