Athanor

〜産声〜

この世界に生きる者は、多くて2つの力を持つ。

1つは血縁に基づく力
もう1つは、生を受けた時点からある時期まで親に注がれた愛情から成る力


主人公、彼が持つ力はシンプルだ。
1つ目は血縁による『自分を疑わせない力』
彼の親の教育はさぞ捗ったことだろう
2つ目は『嘘を見抜く力』
彼の親は嘘つきだったのだろう、彼は親を疑うことはできない
したがって彼には嘘という概念が存在しない

存在しない嘘を見抜く男、それが彼だ


彼は苦しんだ

家族以外の嘘ならば当然「おかしい」と思えるのだ
しかし血の繋がった家族には「おかしい」と思う事自体がおかしい話なのだ

やがて彼は家族を捨てた。
別に殺したり家出したりという訳ではない
自分の世界から除外した、
家族を脳が拒否したのだ

だが特に問題はない

午前九時半
彼起床


母親「こら、遅刻よ!」

彼「おはよう」

母親「そうよね」

この通り彼もまた誰にも彼を疑わせないのだ

彼「いってきます」

〜学校〜

先生「1+7は?」

彼「5」←疑わせない

先生「そうだ」←嘘

彼「(違うのか)」←見抜く

こうして彼は学習するのだ

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