『現代ワンピロイド創造都市』の感想メモ

今年7月に投稿されたワンピースの人力ボカロ合作【合作】現代ワンピロイド創造都市【人力メドレー】の感想を書いていくぞ!

この感想文が上記の動画を視聴した人、あるいは参加者を対象として書かれたものであることから、詳細や経緯については割愛させていただきます。
見てなくて、ワンピースが好きで、MAD文化いけるよ~って人はぜひ観てね!

ではここから本文です。
観た人いがいはよまんでよし。アホだから

あ!あと本文中しばしば「選曲」という言葉を使っています。既存メドレーをお借りしたメドレー合作なので曲は元から決まってますが、パート希望制なので「曲にキャラクターをあてがう」ことを便宜上「選曲」と言ってます。


No.1 永遠甚だしい

歌唱:光月日和
再生時間:0:00〜00:15

「散り"と"」の"と"!
切り貼り人力では元となるセリフ選びが印象をガラっと変えるのだけど、
このパートでは芸者としての力強い歌声と儚さがほんのワンフレーズにこれでもかと表現されていて、
今から全員で解釈をぶつけますよ、という宣戦布告になっている。
映像では手描きの絵と、「都市」というワードを想起させる背景のカットが。
アニメ最新章であるワノ国編の日和というアツいキャラクターから、ワンピース全体にスポットライトが移っていくのに…わくわくする!

No.2 命ばっかり

歌唱:サカズキ&クザン&ボルサリーノ
再生時間:00:27〜00:53

「思想犯」というワード。これは辞書を引くとこんな感じ。

しそう‐はん〔シサウ‐〕【思想犯】
国家体制に相反する思想に基づく犯罪。また、その犯人。(後略)

デジタル大辞泉より(コトバンク使用)

イメソン文化でもある人力ボカロにおいて歌詞の意味をしつこく突き詰めていくのはややナンセンスだが、辞書の意味とクザンの行動は一見"逆"のようにも思える。
しかしよくよく考えてみると、少なくとも現時点では、クザンは黒ひげ海賊団に入り国家体制に対して自らの思想をぶつけようとしているわけではない。
その真の目的はいまだ明かされていない。
むしろ、クザンが"思想犯"だったのはサカズキと対立した2年前。
あるいは、オハラからニコ・ロビンを逃がしたとき。
つまり、正義を掲げながら同時にその在り方についても苦悩していたクザンは、正義であると同時に"思想犯"でもあり、海軍に所属しているままでは得られないものがあると考えたからこそ「思想犯はもう止めた」のだ。
パンクハザードでの戦いを最後に思想犯を止めたクザンは今、何を思い何処へ向かっているのか………
(釘を刺しておきますが、全部手前の勝手な解釈です。話半分で聞いてね!)

サカズキとボルサリーノに割り当てられたパートも示唆的でいい…!

No.3 メルティランドナイトメア

歌唱:ブルック
再生時間:00:53〜01:18

美しい夢だけが遺る場所。
ゴーストシップと化したかつての海賊船で50年の時を過ごしたブルックにこんな歌うたわせていいのか!?
原曲『メルティランドナイトメア』では「忘れられることへの不安」も歌われている。
歌詞や曲のテーマとのシンクロに、人力がめっちゃ良いのも相まって、
すごく刺さる…!!

No.4 幽霊東京

歌唱:ペローナ
再生時間:01:18〜01:43

今ブルックの辛いパートだったのに敵のペローナ出していいのか!?
いいんです。メドレーだから。ワンピースだから。
こちらはくまに飛ばされたペローナ(とゾロ)のパート。
「あの日の」の映像がテクニカル!
いいですよね~ここのゾロとペローナの関係性。
どちらも自分の船長を信じてるから何一つ諦めてないのも良い。
昨日の敵が今日の友。
海ってワンダーランド…!

No.5 春嵐

歌唱:コビー
再生時間:01:43〜02:02

絵が上手い!!!!
本合作唯一の音声・映像・イラスト担当が別の3人合作パート。
この『春嵐』という歌、歌詞を読み解くのがなかなか難しい歌だと思うのだけれど、おおむね「好きな相手・信じたい相手へ抱いている、怒りなどの複雑な感情」の歌だと解釈している。
その解釈を踏まえた上で見ると、目的は果たしたはずなのに戦いを止めなかった頂上戦争での怒りや、様々な力を手にして初めて見えてきた複雑な思いなどが表現されているように思う。そういえば実写ワンピースのコビーもそんな感じですね。
No.2 、「命ばっかり」パートとも対照的で…よい……。

No.6 閻魔さまのいうとおり

歌唱:サンジ&シャーロット・プリン
再生時間:02:02〜02:26

天才~~~~~~!!

「学生みたいな恋」「欠陥品の二人」「閻魔さまのいうとおり」
テーマに歌詞がバチバチにハマってる…
映写機で上映される映画のような編集も天才!!!!!
デュエットなのもさいこ~~~~~~~~~

No.7 ドラマツルギー

歌唱:マーシャル・D・ティーチ
再生時間:02:26〜02:40

四皇でつながる次パート。
最初聞いたときは笑い声の迫力に鳥肌が立った!
「ドラマチックな展開をどっか期待してんだろう?」
これを黒ひげに言われてしまうとかなわないです
読者が思ってるんだから それは…
歌もかっこいいしよ~~~~~怒

No.8 ねぇ、どろどろさん

歌唱:ナミ&ニコ・ロビン
再生時間:02:40〜02:52

いい~~!
グラブルコラボの立ち絵は頭身が高く、
選曲や歌唱と相まってアダルティなカッコよさがある

「アンダーグラウンド」のとこのナミのびやかすぎる!

No.9 リコレクションエンドロウル

歌唱:ウタ
再生時間:02:52〜03:17

歌がうますぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!
歌詞もハマりすぎる!!!!!!!!!!!!!!!
映像もうますぎる!!!!!!!!!!!!!!!!

人力のうまさでしか満足しない人間がこの合作を見ていたとしてこのパートでさすがに満足して成仏する

No.10 ベノム

歌唱:マゼラン
再生時間:03:17〜03:59

ウタの力強い歌声に負けないオペラチックな(オペラ観たことないけど)歌声で繋がるのがいい。
一発ネタみたいな抜擢かと思いきや、
声質の良さもあって聞き応え抜群でいい!
歌詞も聴いてみるとハマってて存外すごいパート。

No.11 1000年生きてる

歌唱:チョッパー
再生時間:03:59〜04:16

本合作唯一の歌唱なしパート。音MADだ!!
バックで流れているキャラソン『友情は万能薬』(しらべた)がいいですね〜
アラバスタ編後の加入からウォーターセブン編までの間にあるのは空島編とデービーバックファイト編。このわずかな期間でロビンはあの決断を下すまでに至ったわけなのだけど、
むろんチョッパーとの時間もその理由の一つでしょう
群れから仲間外れだったトナカイが、悪魔の身を食べてヒューマンとなり、人とも動物とも心を通じ合わせられる存在となったことに想いが馳せられる〜〜

No.12 SNOBBISM

歌唱:バギー
再生時間:04:16〜04:32

ハデさを重んじるバギーがこれを歌うとかっっっけえ!!
歌唱もいいし何より曲調が海賊"道化のバギー"の魅力を存分に引き出していてカッコいい…
"喧嘩"っていうのも良い…!
海賊王のクルー時代のシャンクスとの関係性もそうだし、
ルフィとの戦いもケンカだし(ルフィの敵って海賊としてケンカする競り合いの戦いともっと明確な理由があって避けられない戦いがあると思うんですけど、ルフィvsバギーはどちらかというとケンカ寄りですよね)

No.13 阿吽のビーツ

歌唱:X・ドレーク
再生時間:04:32〜04:47

志を同じくする、ここ!という居場所を持てずどこか孤独なドレークにハマってる…!!!
ワンピースにおいては比較的珍しいタイプの格好良さ、そして謎を持つドレークの魅力を、歌唱と選曲で表現していてよい…

No.14 ディカディズム

歌唱:エネル
再生時間:04:47〜05:04

まず映像がすごい!
歌声もいい エネルお前音楽家になれ
空島の住人たちの"大地"への信仰はコニスもワイパーもエネルも同じ根っこを持っていると思うんですが、特にその信仰が狂信に近い、ある意味信仰そのものみたいなエネルをよく捉えていて良いっ…

No.15 オートファジー

歌唱:ドンキホーテ・ドフラミンゴ
再生時間:05:04〜05:20

ドフラミンゴの過去へのフォーカス!
幼い天竜人として「罪」と「無罪」の混じった出自から、明確な「悪」へと止まることのできない道を歩んでいくドフラミンゴがめちゃめちゃ表現されてる…!

画面が真っ赤な絵作りもすごい〜〜…

No.16 ライムライト

歌唱:ドンキホーテ・ロシナンテ
再生時間:05:20〜05:52

うわ〜〜〜〜〜〜弟さんが急に
ライムライトっていうのは要は舞台照明のことなんですが、喋ることのできない弱い弟を演じ、クラウンのようなメイクをしたロシナンテにはめ〜っちゃ合う
人の憎悪に晒された過去を持ちながら兄の行いを「悪」とし、兄と異なる道を選んだ彼の人生をちょ〜感じさせます

No.17 ジャガーノート

歌唱:エース
再生時間:05:52〜06:13

こんなに優しい歌声を聴くことになるとは思ってなくて、ものすごい衝撃を受けた
エースの帽子には偶然にも彼の人生を表しているようなマークがついているのだけど、
それを見せる絵作りはシンプルながらも充分
一番好きなパートです

No.18 テレキャスタービーボーイ

歌唱:ヤマト
再生時間:06:13〜06:33

元気だね〜〜〜〜〜〜!!!!!
アニメで登場したばかりで素材となる音声も少ないのにお見事です
エースの次のパートなのもいいよね…
エースの人生を踏まえたパートからのこれは、受け継がれる意志を連想させますね(メドレー合作連続性オタク)

No.19 雨とペトラ

歌唱:ロロノア・ゾロ
再生時間:06:33〜06:54

人力がうますぎる〜〜〜〜
ゾロが歌ってるようにしか聞こえない
歌声だけで解釈をぶつけられてる?
我武者羅という言葉が相応しい男ゾロを感じさせる選曲もすばらしい

No.20 命に嫌われている。

歌唱:トラファルガー・ロー
再生時間:06:54〜07:13

かつて死の病に蝕まれ、
全てを壊すためにナイフを持っていた少年が、
いまは命を救うためのメスを持っていて…

ウオオ〜〜〜〜〜!

前のはだけた衣装はドレスローザ編の衣装。
コラソンの本懐を遂げ、自由になる前のローの心境を感じさせます

No.21 グリーンライツ・セレナーデ

歌唱:ウソップ
再生時間:07:13〜07:34

ウソップだなあ〜〜〜このパートはウソップだ

「あいつにはおれ様の力が必要なんだ」と叫んだボーイン列島でのウソップ。
エニエス・ロビーにて倒れたルフィを激励したのもウソップでした。
ルフィの強さも弱さも知ったウソップだからこそ、ルフィを海賊王にするために"狙撃の王様"になることを目指します。

援護は任せろ!とはウソップの常套句ですが、
その"助け"こそが未来の海賊王の仲間たる資質なのかもしれません。

原曲通りの表記なんですが、"ココロ"がカタカナなのもいい…!

ピンチなら いつだって ボクが守るから

ココロのちず

歌い方もすごくウソップで良い!!!
次パートがルフィなのもサイコ〜〜〜〜

No.22 ビームが撃てたらいいのに

歌唱:モンキー・D・ルフィ
再生時間:07:34〜07:54

満を持しての主人公ルフィパート
最後に完璧な解釈をドカーンとぶつけられておれもう…


歌唱力に定評のあるcv.田中真弓ボイスも遺憾無く発揮されており最っ高…!
ルフィのまっすぐな生き方が込められているかのような伸びやかな歌声!

ほんっと〜に良いパートです

No.23 ステラ

歌唱:ビビ&ワイパー&フカボシ&レベッカ&モモの助
再生時間:07:54〜8:30

わたしのパートで〜す!
前パートがルフィだったので、最後は誰になるんだろう…と思って考えた時にこれしか考えられなかったメンバー。
表現力が足りずうまく伝えられていないと思うのですが、
彼らは国やコミュニティの命運・願いをルフィに託した人たち。
スリラーバーク編とかもそうじゃないの?って思われるかもしれませんが、あの戦いはあくまで仲間の影を取り戻し、そして新しい仲間を手に入れるための戦いなので、ちょっと違うのです(それを言うとワイパーも違うような気がしてきますが、でもこの選出で合ってると思ってます よーーーく考えたんだ よーーーく考えたんだぜ?)
ルフィが解放の戦士たる所以でもあります。
『ステラ』は夜明けを歌う歌でもあるのですが、『ワンピース』にとっても夜明けは極めて重要な要素ですよね。なんだこれワンピース用のメドレーか…?

ちなみに映像では当時アニメ未登場のギア5ルフィを登場させていますが、ネタバレのこととか何も考えてなかったので完成後に気付いてやべ!!!!!!!となりました わりいおれ死んだ!!!!!!!
そしたらなんか投稿直前にワンピース公式からギア5の先出しがありギリギリで助かりました もうけっ

感想まとめ

すごいね〜これは!
何を作るか考えてたとき、作ってるとき、観終わったとき、合わせて3周くらい読んじゃいましたワンピース。
ここを読んでいて観ていない人はいないと思いますが、もし観ていないのならぜひ見てください。新しい視点や理解を得た上で読み直す原作はいつだって素晴らしいので!

個人的な話になりますが、「ワンピース 名シーン」というツイートが(恐らく)きっかけで黄猿合作にお呼びいただき、その際に作った「KIZA-RUN!RUN!RUN!」という人力ボーカロイド動画、これをきっかけにこの合作にお声かけいただきました。
きっかけこそ多方面に怒られそうなツイートですが、やゆれいが秘めているワンピースへの想いを思うままに表現する機会をもらえたことに心から感謝しています。

ありがとう!

あとがき 〜人力ボーカロイドについて思うこと〜

※長いし推敲もいいかげんなので、
 読まなくてもおっけ〜です

マンガ・アニメキャラクターの人力ボカロ文化は太古より存在しますが、その文化が現在まで絶えることなく続いている理由を理解することができました。
それは好きなキャラが好きな歌を歌ってると嬉しい!ということを超えた、もっと深いところまで辿り着いていて、聴くこと、作ることの両方が意味を持っているように思います。

少し話がそれますが、私は「言ってない台詞」というオタク文化が好きです。
(例を挙げようと思いましたが、あんま適切な例が思いつかないので明言は避けておきます 好きなんじゃないのかよ)
なぜなら、それは「キャラクターの輪郭を捉えようとする行為」そのものだと思うからです。

原作の台詞がそのキャラクターを構成するものであることは言うまでもありませんが、「言ってない台詞」はそのキャラクターの外側にあるもの。
「原作ではもちろん言っていないが、空想の世界で言っていたら面白そうな、どこかそのキャラクターらしさも持っている台詞」を考える遊びは、原作を見、キャラクターそのものを見る行為に対して、いわばキャラクターではない部分の解像度を上げていく行為。
遊びを通して、キャラクターへの理解を内外から深めていく行為だと思うのです。
(故に、所謂「ウサミといえばムキムキですよね!」状態の我も目的も失った虚なオタクは張り倒したくなります)

人力ボーカロイド文化も、ある種その「言ってない台詞」文化と同じ役割を持っていると思います。
歌ってない歌を歌ってもらい、キャラクターの理解を深めようとする行為。
完成された「そのもの」ではなく、「そうではないもの」から形を見出そうとする行為。
それは、2000年以上前から行われている、石材や木材から彫像を掘り起こす行為に通ずるところがあるのではないでしょうか。

そしてそれは、作ることはもちろん、見ることも意味を持っています。

診断メーカーに名前を入れて、出力された定型文とキャラクターの名前の組み合わせから空想を広げることでも、私たちはキャラクターの理解を深めようとします。
人力ボーカロイド動画を見ることもまた、キャラクターを理解しようとする行為の一つなのです。

AIをめぐる技術が発達し、人力ボーカロイド文化はいま分水嶺にあるようにも思えますが、
きっと作る人はこれからもさまざまな方法で作り、見る人もまた、さまざまな方法で見ることでしょう。
それがどんな方法だとしても、その目的は変わらないのだと思います。

何が言いたいのかというと、

人力ボーカロイド、最高〜〜〜〜!!!


ってことです。終わり!

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