火がついている

火がついた気持ちがふたつ。

ひとつ、友達との話。夢みたいなことをやってやろうという気持ち。リアルよりリアリティ。古い友達との電信、数ヶ月ぶりの会話、遠くから流れてきて見聞きする情報による点火。他人は他人だと思っていた。そうなんだけど、やっぱり僕らが、そして僕がやるしかないのだ。この時代は、僕らの時代。錆びた年寄りを、インスタントヤングを、死んだロックスターを、生ける伝説を、こんな世の中を、殴りにいくのだ。このままずっと、ひとけのない地下室で、にんきのひとかけらもないまま窒息するわけにはいかない。小学生の頃の夢のように時間と心と境遇の変化と突きつけられる現実によって忘れてしまうものであってはならない、むしろそんな垢の無い子供のように未来を見るんだ。やるっきゃね。やることは山積み、やりたいことは山ほど、これだけでも幸せだのに、噛みしめきれない幸せを見る。子供の頃テレビで見たあの選手が監督をするチームでプレイする、よりは子供の頃テレビで見たあの選手と対決する方がよっぽどだよ。大谷とイチローの対決は、夢ようだけど夢じゃなかったんだよ。でもぎりぎり間に合わなかったのかもしれない。ロックンロールはスポーツじゃないから、老人でもできるんだ。よくもわるくも。

ふたつ、今は一寸たりとも進めることができないこのときめく気持ち。自分の世界だけでぐるぐる回るのみ。興味だけが加速する一方で足は一歩も進まない。今だけはどうしても行きどまり。すぐなにか変わると思う。気のせいの域をこえた17歳レベルの幼い気持ちから生まれたツービートだけが僕のよりどころ。いつかリバプールで。そんな感じ。

夜明けの鳥よ、この気持ちをどうか届けておくれなんてまさか頼まない。増え続ける悍ましい夜の虫たちを追いかけておくれ。こっちのことは自分でうまくやるよ。熱い夏の鳥肌はたまらない気持ちのときだけでいい。


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