暮らしのぜいたく

部屋が散らかるときは頭もそうで、空き缶すらも置きっぱなし。溜まる洗い物、あふれるゴミから出るにおい。そんなときはレコードを回すことも上手にできない。だから最近はCDばかり高速で回していた。そんな気分だった。
ここへ来て暮らしを始めてわかった。洗い物をすると気持ちがすっきりする。汚い心は洗い流せなくても、すっきりする。台所になにもなくなるのが、いい。このあいだ毎日使ってるビールグラスを割ってしまってとてもかなしかったけれどね。
洗濯ものを干すと、においがする。同じ洗濯機で回ったものは同じにおいになる。物干し竿に干すTシャツ一枚いちまいには思い出がしみこんでる。ハンガーにかけてしわを伸ばすときに自分の中の愛おしい気持ちに気がつく。
はじめたての料理をする。だいたいのものは初挑戦。当たり前のことがわからなくてクックパッドばかり見ている。僕は手際こそ悪いけれど味付けとかのセンスはあると自負しはじめていて、だって味を決めて整えていくのが楽しくてたまらない。そして思う、誰かのために作ったなら、そんなの決まっておいしくなってしまうだろうって。
部屋の掃除をするのは、にがてだ。クイックルワイパーみたいなのを使っているけどあれだけでできることは少ないよ。日々、掃除機がほしい。

いつもこういうことをするときは、音楽を部屋に流してやっている。だからいいのかもしれないな。ああ、でも掃除機をかけてるとき音楽は聞こえなくなっちゃうか。友達に会いたいな。君を迎えに行くときは、自分で作った主題歌が流れてる。

このあいだの休みに穂村弘さんのエッセイや、荻原魚雷さんのエッセイを読んでいた。男と女と恋と愛、運命と偶然と思いこみ。親孝行、世間体、やりたいようにやろうよ、そんな僕の永遠の宿題について、こんなに僕のそばにいるみたいにおもしろい言葉で書いてる人がいるんだなって、嬉しくてにやにや読んでいる。

今日はライブで、まるいちにちの休みだ。ひととおり部屋をすっきりさせて、でもまだ昼過ぎ。お腹すいてきたから、昨日の残りを食べて、安いビールをぷしゅっとしてレコードをまわしてみた。久しぶりのレコードはいいね。ビールは麦とホップで我慢してもいいから、好きなレコードを好きなだけ買えるくらいの贅沢はずっとしたいものだ。

考える、イメージする。
考えても、わからないことが多い。むずかしいことは、元々すごくシンプルなことだと思う。
僕がこれからどうしたいか、どうなりたいか。自分に問いかける、問いかけられる。

今、頭を悩ませていることは不思議といつかの自分が似ている経験をして、それを書いたり歌ったりしていたりする。なのに、まだ答えは見つからない。

シンプルに、今日いちにちが終わるときに、よかったなって思えたら、それでいい気がするよ。ほんとうは。

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