26歳

平成5年生まれの僕は26歳になった。
歳をとるごとに、子供のころは遠くて自分がなるだなんて想像もつかなかった年齢にすこしおののく感覚は強まる。

今日と明日の休みは曇り・雨で、遠くへ行くのはいつか晴れた日にとっておくことにした。家の裏側にある妙正寺川に沿って歩いてみる。暑くもなく風も吹いてない。明るめの白い空。家、といっても転がりこませてもらっている仮の暮らしはまだ続いている。ルームメイトたちとは銭湯に行ったりなにか食べに出かけたり煙草を吸ったりしながらときどきそれぞれ夢と現実の境目の話をする。狭間というよりは境目だ。出かける前も、帰り着いたときも、誰かの足を踏まぬようにそーっと足を伸ばす。自分で選んだ暮らしに首を伸ばすと、合わない枕と畳で凝った筋たちがぴきぴきっとなる。箱で眠るレコードやコーヒーカップや香辛料たちもそんな気分だろうかね。

イメージには、近づけていなくとも背骨みたいにずっとある。またひとつ歳をとれてしまったな。長いこと、もっと大人になりたいと思ってきた。できることはふえて、歩く道だっていくらでも選べる。こどもにはもう戻れないよ。こどものようにいられるだろうか。僕はどれほどこどもで、どのくらい大人なんだろ。

歌をつくって歌いたい。もっとね。もっとってどんなんだろう。あまりになにも決まってないな、決まってないままだな。白紙はいいよ。自分でつくる水の流れの中に泳ぎたいんだ。

歳をとろう まえのめりに
走ったりまったりしながら
歳をとろう ためらわず
どうせね あっというまだろ

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