朝方。


コンビニのアルバイトが終わった。昨日からようやく空の青が見えるようになった。今日はもうこの時間から陽射しがつよめだ。外で昼寝をするにはちょうどいいかも。
3時半ごろ、朝焼けがよくて外に出た。斜め後ろに月がいた。曇りの日が続いていたからとてもうれしかった。

朝の澄んで乾いた空気がとても好きだ。静かなところも好きだ。

朝焼けを眺める仕事があればいいのにと思いを巡らせて、思いついた、新聞配達。誰も歩いてない町を自転車に乗って、ニュースを運ぶ。新聞を心待ちにしてるおじいちゃんもいるし、コーヒーを飲むには新聞が欠かせないお父さんもいるだらうな。僕がおじいちゃんになったら新聞配達やろう。
バイト先にいつも朝刊を届けに来るおじいちゃんはとても素敵な人だ。必ず目を合わせて挨拶してひょこっと会釈をする。被っている帽子がかわいい。このあいだの大晦日の夜から元旦までアルバイトだったとき、店で買ったワンカップをレンジでチンしたものを片手に、近くの神社に初詣にいった。そうするとそのおじいちゃんが配達を終えて神社にきていて、火の前で暖まりながらすこしだけ話をした。数週間後、朝刊を持ってきたとき、配達の自転車が雪で凍ったとライターの火で雪を溶かしていたので、店のポットのお湯をやかんに入れて渡してあげた。とても喜んでくれた。
そういえば、その今年の初詣のとき、縁みくじというのを引いた。おみくじと一緒に、勾玉が入っているやつだ。勾玉の色が、どんな人と縁があるかをしめしてくれるらしい。僕は、恋がうまくいくといいなとか念じながら引いた。僕のくじにはなんと勾玉が入っていなかった。巫女さんに事情を話すと、いったん裏にひっこんでから「もう一度ひいてください」と申し訳なさそうに僕に言う。それはいやです。と僕は素直に引きさがった。それほど気にはならなかったし、あまりそれを嘆くのは、まるでハズレみたいだし。おみくじを二回引くなんて、気がひけるよね。とはいえごく普通のおみくじだけは包に入っているので、それをじっくり読んだ。おみくじが大吉なら帳消しだけれど、なんとも言えない中吉だった。「勾玉が入っていないということは、縁がないのではなくて、あらゆる可能性があるってことだ」って都合のいい解釈をした。それからもう半年が経った。おみくじにどんなことが書かれていたかだんだん気になってきた。

半年前には予想がつかないずいぶんな展開になっていて、とてもエキサイティングだ。近い未来も遠い未来もやけに楽しみに思えている。両手じゃかかえきれないぐらい夢を持ってる。まだまだふえそうなんだよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?