愛たい

ひとつ抱えた心臓をみんな、大切に胸の奥に仕舞っている。脳には傷ひとつないが、私の世界にはどこか影が落ちている。

見てみたい景色があるのだ。光、音、それらに酔って、この世のものじゃないみたいに心が叫ぶ瞬間。
子供の頃からの憧れは、いつしか呪いみたいに静かに、淑やかに、脳を取り巻いて離れなくなってしまった。
雑踏、林立する鉄コンと埃の混じった雨粒。日々が腐っていくことすら日常で、何も感じなくなってしまった。それ自体にも、何も感じなくなった。
腐った脳みそを丸ごと書き換えて、そこから新しい私が生まれればいいのになぁ。

あいたい。それが出来ればなんてめでたいことでしょうか。
魔法みたいな日々が、またやってきますように。

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