安くていい商品。しかし、悩ましくつきつけられる「デフレ経済」の驚き。

安くていいもの探しで楽しい「100円ショップ」。気軽に利用していますが、改めて大きな驚きを感じましたので共有いたします。モノづくりニッポンの生きる道も改めて考えさせられました。

衝撃の出来事は、出先でホッチキスが必要となり、せっかくだから携帯できる「折り畳み式のコンパクトなホッチキス」を購入しようと文具店を探すなかで、ダメもとで足を運んだ100円ショップで起こりました。

下記写真をご覧ください。なんと、このホッチキスが110円(税込み)でした。ワンコインです。

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コンパクトに畳むことができて持ち運びに最適です。まさに探そうとしていた商品です。作りはしっかりしていて、簡単に壊れるようなことはなさそうです。鞄の中に入れておき、長い間つき合うことになりそうな気がします。

安くて「いい買い物」なのでしょうが、素直に喜ぶは生まれず、「え?、なんでこれが110円で手に入るの?」「これでビジネスが成り立つの?」という驚きと衝撃でした。

ご想像どおりメイドインチャイナであり、部品は、プラスチック3点、金属3点、バネ1点の計7点。緻密に設計された型で大量に部品を作り、組み立ては手作業でしょう。ファブレスメーカーとして設計は日本(100円ショップ)で行い、部品製造から組み立て、パッケージングまで中国で完成でしょう。

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正直、いい商品だと思います。しかし、これじゃ日本国内製造メーカーは太刀打ちできない、やってられないなと。デフレ経済を痛感した思いです。しかもホッチキスの針もセットです。

「安かろう悪かろう」ではなく、「安かろう良かろう」の商品やサービスがほんとに増えたと思います。現に、このホッチキスが110円で流通しているのですから、安く良いものをつくることができてしまうのが、グローバル経済であり、国際的分業の進化による「少種大量生産」であり、世界の工場中国の存在で、ますます日本のデフレ経済の継続と我々消費者の身近にこのようなモノがあふれていくの止まらないのではないかと感じてきます。

技術進化により「多種少量生産」ができる環境も整ってきたので、日本は「多種少量生産」での高付加価値のモノづくりやビジネス開発、イノベーションに力を入れていかないとならないことを痛感します。その技術とは、AIや3Dプリンター、デジタル技術や通信技術、ロボティクスなど様々あり、普通の個人でも活用することができる環境も整ってきています。このような技術や手法に触れ、多種少量生産で高付加価値を求める人にグローバルで提供していくことが一つの生き抜き方になるのかもしれないです。

「100円ショップ」は、イチ消費者として楽しく便利で役に立つお店ですが、一つ一つの商品から現在の日本経済やグローバル経済の仕組みや歪みを見ることができる象徴的な存在でもありますね。また「安い国ニッポン」と言われるほどデフレ経済、経済成長の停滞、消費者物価の横ばいが続く中で、このような安い商品も手に入れにくくなってしまうのかもしれません。

モノはあふれ、食べるにも困らない社会が続いてきましたが、だんだんとそれが永続的に保障されていない未来を感じざるを得ないのが今の日本社会になってしまっているようです。イノベーションも必要です、我々個人の意識改革も必要です、そして日本全体の様々な構造変化もまったなしで必要なのでしょう。

今回は、個人的に衝撃をうけた「110円のコンパクトホッチキス」から、日本の未来について考えさせられました。


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