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5 敗北のスポーツ学

今回は、私が尊敬する先輩の一冊をご紹介します。

私が社員として働いている株式会社Criacaoの先輩、井筒陸也さんの一冊です。

今回この本を紹介するにあたり、いつも通りに本を読んでアウトプットの整理をしていたのですが、自分の思考を掘ろうとすればするほどその浅はかさに気付き、再度本に手を伸ばして読み直しました。

この本を読んでいると、日本サッカー界の現実にガッカリする人もいるかもしれません。それは陸さんの深く鋭角な思考が、誰も解き明かそうとしない日本サッカー界の幻想の実態を言葉にし、それが構造化されて、有無を言わさず私たちに届くからです。

これほどまでにサッカーの光と陰に対して向き合っている人に私は出会ったことがありません。

そんな先輩の一冊を手にした私が何を考えさせられたかを、今回は皆さんにお届けしていきたいと思います。


本当にサッカーを自分は選んだのか?

物心がついた時に既にサッカーに魅せられていた私は、6歳の頃に自分の夢はこれしかないと言わんばかりのワクワク感と、少しばかりの緊張感を持った面持ちで「さっかーせんしゅになりたいです」と幼稚園の卒園ビデオで答えていました。

幼稚園の頃から外遊びが好きで、砂場で団子作りをしたり、サッカーをしたり、雨の日にはレゴで遊んだり。一度だけ、女の子がよく遊んでいる「おままごと」という‘不思議な’遊びに挑戦してみたものの、1分と持たず投げ出す始末。

そんな自分は26歳になった今もサッカーを続けていますが、果たしてサッカーを選んでここまで続けて来たのか?

答えは、NOです。

これは本にも書かれていますが、「自分が選択肢を持って選ぶ前にサッカーが存在していた」のです。

凄く聞こえの良い言い方をすると「サッカーに選ばれた」、悲観的な言い方をすると「サッカー以外に他の選択肢がなかった」と言ったところでしょうか。

とにかくどちらにせよ、自分の自我が芽生え始めるころにはその後の人生を大きく左右してしまう大きなものと出会っている、というサッカーの影響力の大きさが私の人生を形成しました。

ただ、サッカーをずっと続けて来た私にも、他のスポーツと迷う時期がありました。(いや、迷っているように見せたいだけかも)

父が元々野球をやっていたので、父とのキャッチボールやバッティングセンターに行くことは割と日常的で、野球チームに入ったことは無いけれど、なぜかノックを受けて捕球から送球までのスムーズさを突き詰めるということを小学生のときにやっていました。もちろんピッチング、そして父のピッチングをキャッチするということもやっていました。

この時、女子野球という世界には全く触れたことがなく、何も知らない状態ではありましたが、「自分が絶対一番上手い」という謎の自信を持っていて、勝手に女子野球の世界でも輝けると思っていました。

そして小学校6年生の頃にはバスケットボールに熱中しました。中休み、昼休み、放課後は全てバスケ、そして帰宅チャイムが鳴ると同時に、迎えに来てくれている親の車に乗ってサッカーの練習へ、という毎日でした。
しかしそれだけでは足りず、一緒にバスケをしていたメンバーで校長先生にお願いをし「他の学校と試合がしたいです」と、対抗試合を組んでもらったり、当時バスケのクラブチームに所属をしていた友達に誘われて体験練習参加したりしました。

ここでも、女子バスケの世界を知らないちびっ子が「バスケも自分が一番上手いわ」という生意気な自信を持っていました。

とんだ自惚れさんですよね。

でもその当時は割と本気でどのスポーツの世界でも上に行けると思っていたので、一応サッカー以外の選択肢を持った、いや、持ちかけたというところまでいきました。


結局、私は第1志望だったベレーザの下部組織‘メニーナ’に無事合格し、サッカーの道に進むわけですが、果たして、女の子が野球やバスケを続けられる環境がもっと整っていたり、野球やバスケで輝いているプロの選手をもっと身近で見ていたら、自分の選択は変わっていたのか?と、ふと思うことがあります。

私は運良く、日本一に手が届くようなクラブチーム‘バディFC’に巡り会うことができ、そこから素晴らしい指導者に恵まれてサッカー人生を歩んでいきましたが、振り返ってみると、‘自分で選べたこと’‘自分で選んだこと’は案外少ないのかもしれない、と感じます。


きっと悲観的に聞こえるんだろうな、と思いますし、自分の回答として「自分はサッカーを選んでいない」というNOの回答を出したので、誤解をされそうなのが「サッカーそんなに好きじゃないんじゃん」ということ。

「自分にとってのサッカーとは」という問いが出されたときの答えというのは、聞かれる度にその都度存在していますが、どの答えも完全な答えではありません。まだまだサッカーの全貌は掴めません。

でも、以前のTweetにも書いたようにサッカーを日に日に好きになるからこそ、自分にとってのサッカーってなんなんだ!をキラキラしている部分だけでなく、思い込みや固定概念という度入りの眼鏡をかけずに、ありのままのサッカーと向き合いたいと思います。

今日はこの辺で。


是非、皆さんも読んでみてくださいね。

閉館のお時間です。
本日もご来館ありがとうございました。



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