ピュアマリー『殺しのリハーサル』をみてきました

 能登演劇堂で上演される芝居は結構好みだ。軽すぎず重すぎず、そしてちょっと見てみたいなと思う俳優が出演する作品が上演される。『殺しのリハーサル』はもう一度見てみたいと思っていた山口馬木也が主演だった。
映画で活躍していた女優モニカ(サヘル・ローズ)が主演舞台の初日に自殺をした。初日の劇評が芳しくなく、それを苦にした自殺だった。結婚間近だった恋人で劇作家のアレックス(山口馬木也)は自殺ではなく殺人だと考え、彼女の死の1年後にその舞台に携わったスタッフや俳優たちを劇場に呼び出した。
 前半はアレックスとモニカの仲睦まじい場面が多かった。過去にとあるミュージカルの恋愛場面でうとうとしてしまった経験のある私としては、睡魔との闘いの場面だった。モニカはとてもかわいい女性だったし、アレックスも素敵だったんだけど、私の恋愛への興味が薄いので本当に申し訳ない。前半の場面はこの二人以外の登場人物もみんな仲がよく、和気藹々としていた。
後半はモニカが自殺前に出演していた劇場のステージ上という設定で、ステージには何もないし後ろは暗幕だった。呼び出された面々はステージ上に並んだパイプ椅子に座らされた。そしてアレックスが用意した台本に沿ってスタッフや俳優たちが芝居をしていく。台本は切り取られた場面場面でつながりがない。一人に付き一場面。主演女優は決まっていないのでアレックスが変わりに演じるが芝居が始まると「モニカ」がアレックスの代わりに相手役となる。このアレックスとの入れ替わりがとても単純なんだけど妙にツボだった。暗幕の縁に立つアレックスの後ろにモニカが背中合わせで立って、くるっと回転する。単純。でも、おお変わったと変にテンションがあがる。
正直モニカ役サヘル・ローズの芝居にパンチがなくて、期待していた山口馬木也もなんだか弱くて、前半の睡魔は恋愛ものに興味がないだけではなかったんだけど、後半はスピード感もあって目が覚めた。ただ山口馬木也を含めてベテラン陣が物足りなかったのは間違いない。期待しすぎたのだろうか。若手は俳優役の庄野崎謙と女優役の三枝奈都紀がいい演技を見せてくれたと思う。庄野崎謙は金髪でちょっとチャラくて勢いで芝居をしているように見えるところが、地味にストーリーに効いていた。彼の存在がアレックスが作った台本に説得力を持たせたと思う。彼とペアのような存在だった三枝奈都紀も同じくだ。とくに前半とはまったく違うイメージで出てきた彼女に、この1年何かがあったと思わせた。ラストへ向かって急展開するストーリーにこの二人の力は大きかったと思う。

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ピュアーマリー公演『殺しのリハーサル』

原作 リチャード・レビンソン/ウィリアム・リンク
脚色 D.D.ブルック
演出 鈴木孝宏
翻訳 保坂磨理子
企画制作 ピュアーマリー

出演
山口馬木也/サヘル・ローズ/津田英佑/峰さを理/庄野崎謙/太田奈緒(AKB48)/三枝奈都紀(東京は月船さらら)/市川博樹/宮原将護/イルファ(平山日和)/神田敦士/愛河みすず

東京公演(スペース・ゼロ)
2018年4月12日(木)~ 15日(日) 
4月12日(木)14:00/19:00
4月13日(金)19:00
4月14日(土)13:00/17:00
4月15日(日)13:00 

石川公演(能登演劇堂)
5月26日(土) 18:30
5月27日(日)12:00 ※この公演を見ました。
5月27日(日) 16:30


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