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SW!CH 5th 衣装

昨年12月27日開催の2周年ワンマンライブで公開となった
株式会社ディスクユニオン発のアイドルグループSW!CHの5th衣装です。
もう2年経つのかと思いながら作っていました。時が経つのは早いですね。


スタートは恒例のプロデューサーさんとの打ち合わせで、長袖で、セットアップでは無く2ピース、トップスはトレンチとか既存衣服のディテールが入っている物。とオーダーを頂きました(記憶が曖昧ですが)。打ち合わせが終わり帰宅中にイメージが出来たのでその日のうちに原案の絵型を書き上げました。
2nd以降の衣装はトップスorワンピースとスカートorパンツのセットアップでしたが、今回は初のワンピースにトップス重ね着の2ピース構成です。
ワンピースは丈とビーズ配置違いでベースデザインは全員同一のデザイン、トップスはベースデザイン3パターン、ネイビーの切り替え&レイヤーが全員異なった配置です。この3パターンはあとで詳しく書いていきます。

トップスはトレンチコートディテールで、ディテールというよりも襟周りはメンズ展開のコテコテのトレンチコートをそのままサンプリングしています。なので左前のメンズ合わせということです。レディースは本来右前です(であることが多いです)。首回り前側のゆとりが広いのもこのためです。台襟のフックを閉めたとしても窮屈に感じないゆとり感です。下襟部分に関してはレディース展開に調整しています。また、台襟表側には記事補強用のステッチを入れています。着用時全く見えませんが、入れた方が格好良いです。

襟はテーラーカラーではなく、今回は台襟付きの襟です。(台襟ではないテーラーカラーでダブル仕様のトレンチもありますが、どっちが本物とかではなくて、国や年代により異なる仕様です。トレンチコートは元来ミリタリーウェアです。機能性もですが、見た目のデザイン優先してないか?と思ってしまうようなアイテムですよね。)
前述の通り台襟表側にはステッチを叩きました。また台襟前端にはトレンチコートに採用されるような大きなフックを配置しています。フックは縫い込みや縫い付けでは無くカシメで打ちとめています。エポレットは肩がいかつく見えてしまうため無くしました。あったほうが格好良いのですが、可愛いに振っていくことが今回の議題?でもあったので。また他のディテールとして、ストームフラップ(ガンフラップ)をMyNさん、AkRさん、変形でMnMさん、FyKさん、バックヨークをMyNさん、AkRさん、MnMさん、FyKさん、で採用しています。ストームフラップは襟部分を閉じた時にその上から被せて風雨の侵入を防ぐための物ですが、今回は完全な装飾です。バックヨークも同じく雨による浸水を防ぐための物です。背中心に向かって下がった角形なのは水滴が裾を伝って落ちやすくするための形らしいですが完全装飾で入れています。
下襟前端には水色のパイピング テープを縫い込みました。このパイピングはワンピースのパイピング位置と続くようにしています。思ったより続いて見えて良かった、、と思っています。ただ、ライブを見て、もっと光沢感のある素材のテープにしても良かったかなと思います。デザイン側にしかわからない程度の差異ですが。
宮﨑が作る衣装は基本的にステッチを必要な部分にしか叩きませんが、このトレンチトップスは例外的にステッチ、特にWステッチが多いです。これはベースになっているトレンチコートをリスペクトした物で、メンズトレンチをレディースサイズに作り替えているイメージなので、作り替えるにあたって追加したダーツ(切り替え線)はステッチを叩かずに割りアイロンで処理しています。元々のトレンチにある切り替え線にはWステッチを叩いているわけですが、そのほかに今回新たに組み込んだデザイン線にも一定のルールを設けてWステッチの有無を判断しています(ネイビーとの縦方向の切り替え線はベージュ部分に倒してWステッチを叩く等)。裾周りはトレンチ準拠です。
このトップスの生地がとても良い生地で、コットンのような見た目と感触ながら100%化繊で耐久に優れ、ストレッチが効いています。ベージュの色合いも寒色に合う良い冷め具合で本当良い生地。

先に書いた3パターンですが、大変言葉で説明しにくいのですがメンバーそれぞれの雰囲気に合わせてデザインをあてています。
FyKさんとMnMさんは一見でわかり通りショート丈の袖ありです。
ストームフラップを大きめでネイビーで配置していて、MnMさんは向かって左側、FyKさんは右側です。
宮﨑衣装ではあまり、あまりと言うよりほとんどタイトでない形の衣装を作らないのですが(SW!CH1st衣装が唯一ゆとり多めでベルト絞りのディテール)、このトップスはゆとり多めのデザインです。身頃原型にある2本のウエストダーツのうち脇側のダーツを省略し、中心側のダーツ分量も分量忘れましたが幾らか減らしています。袖山は1/2ですが運動量確保のため脇開きになっています。

MyNさんとAkRさんはノースリーブでAsMさんとAnNさんはラグランのラインで身頃を切り、前後をベルトで継ぎ留めています。Twitterに絵型を上げていると思うのでそちらを見ていただけるとわかりやすいかと思います。(UPしていなかったらすみません)
AkRさんは主に左身頃をネイビー切り替え、MyNさんはAkRさんよりもネイビーを多めにとっています。身頃部分とMyNさんの身頃下フレアパーツ右側のネイビーは切り替えですが、フレアパーツ左側のネイビーはベージュに重ねています。
AsMさんとAnNさんはパネルラインでネイビー切り替えになっています。パネルラインはここで良く使ってしまう造語や勝手に意味付け言葉ではなくて、あの切り替え線のことをパネルラインと呼びます。宮﨑衣装で多用されるウエストから肩線まで続くウエストダーツとバストダーツと含んだ切り替えはプリンセスラインと言います。パネルラインの方が女性っぽくて語感的にはプリンセスラインと言う方が合ってると思うんですけどね。戻ります。
AsMさんはパネルラインをフレアパーツまで延長したラインでネイビー切り替え、AnNさんは基本はAsMさんと同じですがフレアパーツ前側をネイビーにしています。
パネルラインに関してですが、過去に何度か採用していますがどれもパネルラインを元々のウエストダーツ位置に入れていません。衣装を良く見ると分かりますが、パネルラインが入っている衣装にもプリンセスラインが入っています。その上パネルラインがウエストラインに繫がる位置がプリンセスラインに近いんですよね。これは完全なデザイン線で、デザイン的にここに欲しいからと言う理由でこの位置にあり、ダーツ利用とか意味のある切り替え線とか過去に書いたことは後回しにしています。正面から少し見える横。陰になる部分を増やしたいとか、スタイルアップとか色々意味はあります。この位置では脇側のダーツを使って切り替え線を作れないので、パネルライン内に脇側のダーツを含ませて移動しています。

余談ですが、宮﨑衣装は同じでザインでも全てメンバーそれぞれで寸法が違いタイトに作る場合ゆとり分量が少ないのでウエストダーツを一本にまとめることは不可能ですし、メンバーやデザインによってはアンダーバストの寸法も組み込んで作ることもありその場合は切り替え線位置の自由度は下がります。アンダーバスト寸法を組み込んだウエストダーツは畳めなくなるので移動がかなり制限されます。と言うか、なんでアンダーバスト寸法を組み込んだ原型ってないんですかね。自分も最初から組み込んでいた訳では無く、途中で組み込んだ方が綺麗じゃね?と思って試行錯誤しながら作っていますが、組み込んだ方が綺麗なラインになる時はあります。凸型下袖とかと同じ扱いです。ちなみに今回orこのメンバー衣装にはアンダーバスト寸法を組み込んで、みたいなことを書くことはこれからも今後も一切ないのです。一応書きますが今回衣装はアンダーバスト寸法は組み込んでいません。
パターン半分独学なのでこういったことを書きたくなってしまいますね、、何卒ご容赦ください。

ワンピースはこれまでのSW!CH衣装の中で一番大人っぽいライン取りをしました。4thのスカートも展開としては近いものがありますが、今回の方が大人っぽいです。セミタイトスカートをベースに、前後左右の4面割で左右のパネルのだいたいヒップライン下のみフレア展開にしています(切り替え線がカーブなのでだいたい)。身頃部分は伸縮のあるジョーゼットでタイトに作っているので、身頃〜腰回り部分は身体に沿う形で、腰から下でフレアになるようにしています。これが大人っぽく見えます。またスカート部分に使用した生地ですが、これもとても良い生地で中厚地で重みがあり若干のとろみと張り感の強い生地なのでこれまで使用した生地とは違った上品な動きをしています。分かりやすい所で、生地が重いため回った時に裾が遅れてついてくるので斜め方向に大きなドレープが出ます。サイドは分量多いですが切り替えずに贅沢に一枚取りしているので是非注目してほしいです。ちなみに腰横の台形(下辺カーブ)のパーツはスカート生地を裏返して使っています。


また今回唯一の全員共通のアシンメトリーディテールで向かって右側に竹ビーズ、左側に水色のパイピング を位置しています。この2つが今回の衣装を衣装たらしめるディテールです。
今回新たな試みとして採用したビーズ類ですが、ワンピースのスカートパーツには竹ビーズを手縫いで縫い付けています。この縫い付け位置は全員同じように見えますが、メンバーごとのイメージで位置を変えています。全く見えませんが。
ライブ照明で映えることをイメージしていましたが、リハで見た瞬間に正解だったと思いました。竹ビーズは2種類使用していて、20mmのガンメタと30mmのシルバーで、シルバーの方が光沢が強いです。ランダムな光り方をするのは角度の影響もありますがこれのためです。
竹ビーズはロング組は一人当たり100個くらいで、全員で700個くらいです。こういったディテールは作業量が格段に増え、修正のリスクも増えるため今回で解禁といった感じもあります。


袖カフスですが元々トレンチコートに採用されているような、太いベルトのようなディテールを入れる予定だったのですが、全体感が見えてきたあたりでこのままベルトディテールを入れたら少し厳つさが多くなるように感じたので、所謂レディースっぽくするために袖とフレアカフスの継ぎ目部分をベージュの細いベルトで結んで袖口を絞るディテールに変更しました。

トレンチのベルトパーツですが、ショート丈2名以外のメンバーはトップスに、ショート丈の2名はワンピースにベルトループを配して装着してもらっています。ベルトはステッチを叩き、トレンチにあるディテールとして
Dカンだけ採用しました。このDカンは元来手榴弾等を吊り下げるものだったりしますが、今回は完全な装飾です。

最後に襟部分についているビジューモチーフですが、3パターンでこれもメンバーの雰囲気に合わせてデザインをあてています。このパーツに関しては洗濯ができないので取り外しができるようになっています。今回衣装のメンバーカラー配置位置です。
宮﨑監修でスタッフにデザイン&制作をお願いしています。モチーフのデザインは幾何的な物にしていて、モチーフ単品で完成するような物にしていません。取り外せる仕様にはなっていますが、本当は襟に直接縫い付けて完成するデザインであり、今回ビジュー達を入れたのは金物、無機質的な光沢、印象が欲しかったからで、可愛さ、有機的な印象は衣装で担保できるのでビジュー達にお願いする必要はありませんでした。媚びないディテールがSW!CH衣装らしさであるかなと思うので、『可愛い』ビジューモチーフは不相応です。光沢感は引きで見てもわかりますが当然細かいところは見えません。バストアップのアー写用のディテールになります。


今回衣装について詳細はここまでです。
SW!CH衣装は5回目になって作る側も着る側も見る側も傾向が分かってきているのかなと思いますが、メンバー曰く冬服衣装、宮﨑で言うと1stと3rdの系譜の衣装です。大きな面割りをメインに引きで見てもわかりやすい色配置、堅実なライン組を特徴としています。(3rdのトップス白生地部分は違いますが、)また生地は厚め(中厚地)がメインです。そして今回ビジュー以外にSW!CH衣装では初めて名称的にわかりやすい衣服のディテールを採用しています。楽曲の幅があるため4thと3rdではある程度ニュートラルな印象が良いだろうと思っていましたが、、、
前回書いたような記憶があるのですが元々SW!CH衣装はパフォーマンスの補強ツールとしての衣装でしたが今回から完全にパフォーマンスの力を借りてそれを引き立てるためのツールとしての衣装にシフトチェンジしています。なので使う要素も変えながら見せ方も変えています。心強いですね。



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