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パイプ「ツゲ メタルシリーズ/イースター・ザ・システム_カーボンファイバー」のレビュみたいなもの

……のレビューをしようと思います。
飽きるほど長いよ!

私パイプたばこ吸いなんですけど、意識は低いです。
メインに使っているパイプは掲題の通り。

ツゲ メタルシリーズ
イースター・ザ・システム
カーボンファイバー

(サイトに飛びます)

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です。

タバコ用のパイプって、木製のイメージがありませんか?

実際そのとおりで
パイプたばこにこだわりのある人は
ブライヤーという木でできたパイプを使います。
もしくは少し変わって
コーンパイプっていうトウモロコシの芯でできたやつを
早いローテで使い捨てる。

実は金属製もそこそこあるんですよね。
金属製と言っても全部金属なわけではなくて
大体は主役となる火皿(葉っぱを詰めるところ)以外の部分に
樹脂や金属があるだけで
火皿自体はやっぱり木でできていたり。

「ツゲ」は「柘製作所」という喫煙具メーカー
「メタルシリーズ」はその中のラインの一つで
「イースター・ザ・システム」が製品名で
「カーボンファイバー」はバリエーションです。
ややこしいですね
さらにややこしいことを言うと
「ザ・システム」の指す「システム」というのは
「システムパイプ」というパイプの構造上の類型総称です。
特定の機能(後述)を持ったパイプを
材料や形や何やらでの分類とは別に
「システムパイプ」と呼びます。
ややこしいですね。

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こまけーことはいーんだよ!

ややこしいですが、
そういう細かいことは気にしなくても良いと思います
(気にしないので「意識が低い」のです)

下記でその意識の低さを書き連ねていきます。

伝統的観点で、意識低めのデザイン

このパイプは、見ての通りパイプらしくない見た目をしていて
それ故に刺さる人には刺さるデザインです。
まあ私なんですけど。
いわゆる「ぱいぷー!」っていうデザインは
正直あまり好みじゃないんですよね。

その点こいつは
とっても中二病臭い良いデザインだと思いませんか。
思ってください。

このnoteのヘッダ画像のような
ベアメタル感のある周辺機器と並べると
(マッチと、コンパニオンという携帯火箸みたいなもんです)
とてもトラディショナルでオーセンティックなパイプの佇まいとは
一線を画すイメージになってると思いませんか?
思って下さい。
スニーカーとTシャツなカジュアルにはこういう方が合うと思いませんか?
思って下さい。
一緒にパソコンを使っていても似合うと思いませんか?
思って下さい。

まあデザイン的なことはこれぐらいにして。
完全に好き好きの話ですから……。

見た目からして、
意識の高いパイプ吸いの方は忌避することと思います。

でも私はこういうデザインが好きなので
それに正直に生きます。

システムパイプという意識の低さ

※諸説あります
といきなり注釈しましたが。

システムパイプというのは
パイプたばこの難しさの一つである「ジュースの逆流」を
構造的に克服してしまおうというものです。
構造的な克服の方法は色々あり一概には言えません。

で、「ジュース(の逆流)」については
別のサイト等に譲るとして。

こんなふうにみんな気にすることである上に
小難しいことをつらつらと書いたりこね回したりして
その最終的には「状況による」だの「慣れろ」だのという
しょーもない結論に至ります。

言ってしまえば
「俺くらいの経験があれば乗りこなせるがなー?」
「若いモンには少々キツイかのう?何事も経験じゃて」
みたいな感じ(言い過ぎ)。

めんどくせーなー!

というのも、
ジュースといかにうまく戦えるかが
パイプ吸い同士のマウント合戦で重要な要素だからです。

すみません、マウント合戦など無いです。

でも、
どこか「システムパイプは邪道」という空気はあるようですね。
最近は薄れてきているようですが
そもそもパイプたばこの存在自体が薄れてきているので関係ありません。

私は意識が低いので
「そんな便利なもんがあるなら使うわ」
という感じですね。

デザインの面からも非常に私にマッチしていました。

メンテナンスに対する意識の低さ

パイプは大体分解できて、
バラしてメンテナンスするものなんですが
この子は分解が楽です。

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画像4

2箇所外れます。

1箇所は下の画像のように、葉っぱ詰めるところと吸うところ。
これは普通のパイプでも外れます。
片方が金属製であることもあって、
ネジ穴を回すことの恐怖感が半減します。
両方ともあの高い木だと、折れないかどうかとビクビクするわけです。
こいつは乱暴でも大丈夫(限度はあります)。

もう一つ外れるのは、葉っぱ詰めるところの向こう側。
ゴムパッキンで止まっていて、適度な固定感と適度な取りやすさ。

これは、先のジュース対策です。
フィルターと呼ばれるジュース対策消耗品アイテムを、
吸っている最中に簡単に取り替えられるんですね。
(このパイプのフィルターは
 紙巻きタバコなどのフィルターと違って煙を漉すものではありません)
写真のビニール袋に入ったよくわからない筒状のものがフィルターです。

この二箇所が外れることによって掃除がしやすいです。
一部クソ面倒くさい部分があるんですが、それは後述。

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あと、見ての通り周りが黒いつやつやしたもので包まれています。
これが「カーボンファイバー」の名を冠している理由です。

木で出来た皿を、カーボンファイバーで包んであります。
また上の方も金属のリングがネジ留めされています。

マンガとか映画で見る偉そうなパイプスモーカーおじさんって
なんか布でキュッキュパイプを吹いているイメージがありませんか?

あれは、掃除でもありますし、
件のブライヤーという木製の表面をポリッシングして
光沢を出しているのです。

「使い込むほどに味が出る……」

とかそういう世界ですね。

その点で、こいつはそんなことは必要ありません。
もちろんしてもいいのでしょうが
あまり意味はないでしょう。

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唯一底にだけ木製の片鱗が見えます。

この底の面だけはちゃんと木製の何らかの処理がされているらしく
うっかりアルコールウェットティッシュでこすったら
赤い塗料が薄っすらと取れてしまいました。

底を除けば、
全体的にアルコールウェットティッシュで掃除しても構わないような
そんな作りなのです。

このパイプはメンテナンス面でも意識が低くて良い。

意識低い吸い方ができる

このパイプの最大の特徴が、これです。
面倒くさいこと考えずにイージーにパイプたばこが楽しめます。

おっと思った方もいるかも知れませんが、
パイプたばこというのは、
火の付いたものを
木という燃える素材のものの中に入れておく
という
不合理性の塊です。

まず、着火のときにライターなりマッチなりを
火皿の中の葉っぱに当てる必要がありますが
当然火皿は木でできていますから、ライターで焦げます。

また、燃える葉っぱを中に入れっぱなしにするのですから
当然木でできた火皿の内側は、焦げます。

全く合理性がないわけですが
パイプたばこ吸いはこれを
・上手な火の付け方で火皿の縁を焦がさないようにし
・上手な吸い方でカーボンを火皿の内側に「育て」て熱から守る
などとのたまいます。

実際そうなのです。
火は、近づけたときに息を吸い、
息を吸うのをやめたときには火種を離す
という着火をします。
これは紙巻きでもしますよね。
でもパイプたばこってあんなふうに簡単に火がつかないので
そうやっていても気を抜くとすぐに焦がします
高級な木製のパイプが台無しです。

カーボンというのはタバコの葉っぱが燃えるうちに
火皿の内側にこびりつく
ちょっぴりオイリーな煤のカスです。
急須で茶渋を育てるような感じですね。
内側の木は熱に弱く、吸うときの息の使い方一つで容易に焦げます。
燃えることがあったり、
焦げ減るを繰り返すうちに穴が開くこともあるそうです。

カーボンを育てるというのは、使ううちにそのシールドを育てるものですが
これがうまく育てないとタール混じりの臭いシールドができたり何なりと
なかなか難しいそうです。
うまく育てるというのは、うまく吸うということです。
ぶっちゃけしばらくは無理です。

初心者「は? めんどくせえ」

ですがこの
イースター・ザ・システムは
見ての通り、
火皿の縁が金属でガードされていて
縁が焦げて台無しになることはありません。

また、内側に予め人工カーボンが塗られており
カーボンが育つまでに焦げて死ぬこともほとんど防いでくれます。

画像7

まあそれでも傷つけちゃってるんですけどね。

あと、このパイプは息が通る穴が、皿の真下から出ています。

ものによっては、横から刺さった口つける棒が
そのまま息の通り穴になっていて、横に穴が開いているものもあります。
そうしたパイプは、
火皿の中での空気の通りが偏るので、
終盤で吸い方が難しくなります。

このパイプはその点でもパイプ喫煙の難易度を下げてくれます。

先にも書いた通り
このパイプはシステムパイプで
ジュースとの戦いを相当に楽にしてくれます。

ジュースは、
燃焼によって生じた水蒸気が集まって生じた水と
燃え滓と煤とタールとかニコチンとかそのへんのやべーやつが、
混じった液体です。

これが、煙を吸うつもりで吸ったら
この液体が口に入ってくるのが
「ジュースの逆流」なのですが
想像の通り想像を絶する()不味さです

これを口にすると
しばらくパイプたばこなんか吸いたくなくなります。

それも軽減してくれます。
構造上、このパイプでは
ジュースが口の中に入ってくることは無いと言っていいでしょう。

意識の低い吸い方ができる(本番)

真骨頂が、これです。

強制的なクールスモーキング

たばこ全般は、なるべく低い温度でもやし
煙も冷やしてから口に入れるほうが美味しいと言われています。
実際、味を感じようとするなら、そうです。

熱いと、からからとしていて辛い味になります、
それが好きな場合はそれもありですが。

このパイプは、
一部界隈で
ラジエーターパイプ」と呼ばれるパイプの性質も兼ねています。

・熱伝導の高い素材を使用し煙をそれに触れさせることで煙の温度を下げる
・またその際に表面積を稼いだり通り道を長くすることで冷却性能を上げる

といった性能を持っているパイプのことで
構造上強制的にクールスモーキング(半分)となります。

余談ですが煙自体を水に通す水タバコはその究極かも知れません。

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どっかで拾ってきた画像なんですが
見づらいので青で勝手に書き足しています。
(ジュース抜きのキャップのことも書いてありますね)

青い線が
コミケの大手サークル前のよく訓練された兵士たちの列の如く
折り畳まれているのがおわかりでしょうか。
3倍は言いすぎな気もしますが。

イースター・ザ・システムは、
特殊な構造と、専用のフィルターを使用することで
こうした長い通り道を実現しています。
また、金属製なのでその際によく熱を奪います。
これによって煙は冷やされ、
強制的にクールスモーキング(半分)となるわけですね。

半分、というのは
クールスモーキングの本当の意味は
煙を冷やすことではなく、そもそもの燃焼温度を過度に上げないことなので
ガンガンに燃やした煙を常温に戻しても
その意味は半分程度しか満たしていないからです。
ラジエーターパイプも同じで、
確かに口に入る頃には煙は冷えていますが
ガンガンに燃やした煙というのは
そもそも温度が低かろうがさほど美味しくないということです。
なので「半分」ですね。

でも、なんにもしてないのに勝手に半分担保してくれるって
そんなの使わない手はないですよね?
意識低く楽しむなら利用しない手はありません。

ガンガンに燃やすかそうでないかは、
吸うときの息遣いに従います。
そこだけは構造によるフォローはないのですが
ゆっくりと燃やした温度の高すぎない煙を
更に上等に冷やしてくれる。

吸うときに気をつけるべきことを自動で半分にしてくれるなんて
なんて意識低めのパイプなんでしょうか

ここまでつらつらと書き連ねてきましたが
つまりこれくらい、
お手軽にパイプたばこを楽しめちゃうパイプなんです。

なおお値段は全くお手軽じゃないですが。

まあ高いものだと10万円とか行っちゃうような世界ですし
先にも書きましたが、
焦がしてダメにしちゃうことも無いので
コストパフォーマンスは見た目の値段よりは若干良いと思います。

神ストロー

まるでパーフェクトなタバコみたいに書きましたが
悪い点もあります。

まずはこのパイプになれると他のパイプで吸えなくなることです。

ずっと補助輪付きで自転車に乗っているようなものですからね。

一生この子と添い遂げるなら問題ないですし
このパイプで吸った味が「上手に据えているときの味だ」とわかれば
他のパイプで熟練度を上げるときの一つの目標にもできるでしょう。

もう一つは、専用フィルターの存在です。

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パイプたばこって幾つかの種類があって
それに応じて幾つかのフィルターがあったり
無理やり適合させたり
ユーザがいろいろよしなにやるんですが
このパイプのフィルタは他のどのパイプフィルタとも適合できません。

また、フィルタが水分を吸い取る機能を有しているため
一度吸ったら捨てないと臭くてたまらないです。
使い捨てです。

さらには、
「タバコのフィルタなんて味を薄めるためのもんで
玄人はそんなモノ使わないぜ」
なんて言もあるのですがこのパイプに関しては
フィルタは必須です。

フィルタがあることによって
長い煙道を確保される構造だということを書きましたが
もしフィルタを付けないと下記のとおりとなります。

画像10

フィルタによる煙道の遮りがなくなるので、
ほとんど折り返しません。
ひいては煙が冷えないことと、
ジュース対策の湿気取りもなくなるので
このパイプである意味がゼロです。

このパイプでは
消耗品でかつ代替品の効かないフィルタの使用を強いられる
わけです。

やってられるか!

おっしゃるとおりです。

で、私は考えました。

最近、プラスチック忌避ムードの高まりによって急に現れている
紙ストロー

驚いたことにこいつら、太さがぴったりなんですわ……。

でもストローですから、
用途的には「水をすって弱くなる」ようなものではありません。
100均にもあったので買ってみたのですが、
表面はつるつるしていて水を吸ってくれそうにない。
煙道の確保自体はされるので良いのですが
水を吸ってくれないと意味が半減なのですが……
と探していると。

未晒しの紙ストローとかいうものが見つかりました。

流石に円筒の内側はコーティングされていますが
外側は水を吸いそうじゃありませんか?

純正のフィルターはほぼ
この未晒し紙ストロー’の内側に見える白い防水筒が無いような構造です。

で、とりあえず買ってみました。
コスパが出ないと純正を嫌ってこんなものを買う意味がないので、大量に。

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はい。500本。
業務用としては少ないでしょう。
もっとも、個人としては全く持て余すわけですが。

これを

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こうして

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こうじゃ。

少しは長さ測れって感じですが。

純正と同じ長さを確保しようとすると、2本と大量のあまり
純正より少し短くて我慢すると、3本取れる
という感じです。

使ってみたところ
流石に内側に防水な筒が通っているので純正には及ばないものの
それでも十分な性能を見せてくれています。
なにより、
大量にあるので何の躊躇いもなく捨てられる

純正品だと
「せめて一回吸い終わるまではこのままで」
と思いますが
これだと吸っている最中でも
「へっへっへ、新品入れちゃうもんねー
と凄まじい贅沢な使い方ができます。

ひいては
若干低い性能ですが巷間を厭わないことで
純正以上の性能を出せるかも知れません。

実は掃除できない場所がある

上の方で書いた「くそめんどい」がこれです。
構造上、普通には掃除できない箇所が存在するのです。

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青で示している場所です。
断面図だと見過ごしそうですが実際にこれが円筒形であり、
中央には更に息が通る筒が貫いている二重構造の底であること
を想像して下さい。しかも結構長いです。

モールなど通しても力がかからないし、ブラシなんか入り込めません。
水につけて見ることはできてもふやけたものをコソギ取る手段がない。

公式にもここをうまく掃除する方法などの言及はありません。

ですが安心して下さい。
こんなこともあろうかとなんて1ミリも考えていませんでしたが
まさかストローを買ったことが効を奏すなんて。

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これを

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こうして

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こうじゃ!

やってみるとわかるんですが
かなり汚れが溜まるんですよ、その二重円筒の内側。
マジで気付いてよかった。

先のブラシ状に切った部分を底までいれてぐしぐし回して
汚れたら先端を切り落として、またブラシ状にして
を繰り返して掃除します。

まさに神ストロー

これで掃除の憂いも払いました。完璧☆


というわけで
ながながだらだらと書きましたが、
イースター・ザ・システム・カーボンファイバー
のレビューみたいなものでした。

もしこれからパイプたばこをやってみたいとかいう
血迷った人がいるなら
・ある程度の金銭的な余裕があって
・オーセンティックな価値観をある程度不要と思う
・意識の低い喫煙を楽しみたい
ならおすすめのパイプです。

そうでないなら普通の買って下さい。

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