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年収90万円で東京ハッピーライフ【読書感想文】

年収90万で東京ハッピーライフ
著者 大原扁理

 20代で「隠居」した大原扁理さんの暮らしや体験、考え方を纏められている本。最近流行りのFIREではなく経済的に恵まれているわけでもない、だけど楽しく生きているその生活ぶりは、なんとなく未来に不安を抱える人に勇気を与えてくれる一冊だ。

 進学、就職はしないと生きていけないことはない。自分のやりたいことがみつからないのであれば消去法でやりたくないものを消していく。好きなもので生きていくのではなく、イヤなことで死なないというハードル低めの志しで生きる。世の中で普通と認識されていることをひっくり返すような言葉に、こういう生き方もあるんだな、と目から鱗。

 生き方からはじまり、実際にお金を使う衣食住についても書かれていた。身体は資本なので食品はちゃんとしたものを食べるべきで、なおかつ粗食。食べすぎない。それが身体にいいのは知ってはいても、食べるという行為に楽しみを覚えている場合はなかなか実践が難しい。これは人によって合う合わないがあるので、自分に合うものを見つけるのが大事と書かれていた。大原さんの食生活で暮らしていると自然とスリムになりそうでうらやましい。
 家については恋人と表現されていておもしろかった。圧倒的にお金と手間のかかる部分で、自分のライフスタイルにあう家に出会うには暮らしてみないとわからない。また、大原さんは住んでる家に感謝を忘れない。普通にあってあたりまえのものではなく、持っているものを大切にする姿勢が素晴らしいなと思った。足るを知る、というのはこういうことなんだろうな。

 次に思考の話。忙しい日々に余裕がないと自分を蔑ろにしがちだよね、という話だ。自分の体調の変化に気がつけるだけの余裕はあるに越したことはない。自分が求めているものを感じ取るというのはなかなか難しい。頭で考えるだけでは解決しないのだ。心と体のチューニング、という言葉にものすごく納得したし、何もしない時間を作ることの大切さを知った。

 そしてお金の大切さ。自分の元へやってきたお金たちを大切に使うということ。お金を使うと刺激的な経験ができるのかもしれないが、世の中にはお金のかからない楽しいこともたくさん存在している。買い物に関しても欲しいものではなく必要なものだけにお金を使う。そういったことを意識すると必要以上にお金を使う機会はなくなる。そのため必死になって働く必要はなくなる。たしかにその通りだ。

 私はいま住宅ローンを返している身なので返せるところまでは頑張りたいと思っているが、本当に人生に行き詰まったときこういう思考だときっともっと楽に生きられる。いつだって漠然とした未来の不安はお金に関することだ。しかし、年収90万円でも東京で幸せに生きている人がいると知った今、自分にもしものことがあってもきっとなんとかなる。そんな勇気をもらえる一冊だった。

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