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「B面」からこんにちは

「世の中にはA面とB面がある」

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勤め人の経産婦として内容にも共感至極なのだが、特にA面とB面、という表現が絶妙だと思う。メタルもしくはハイポジの46分カセットテープにアルバムを録音して聴いてた世代には、あの「いちいち裏返す」というめんどくせー動作が身体感覚として刻まれているだろう。まさにあの感覚。

私の住まいは大阪市内で、いま現在は、一時的に出産準備のため出身地である島根県の実家で暮らしている。4月末までA面の会社員生活をしていた。制度上の産休期間の前に有休消化をしているかたちになる。

毎日がB面ライフだ。でもまあ身体は正直しんどい。4月末まであのしょーもない通勤電車等に耐えてよく頑張ったと思うから、とりあえず自分で自分を褒めとこう。

生粋のB面育ち

島根県というのがまた不思議なところで、物心ついた頃から人口は日本で下から2番目だし、最寄りの新幹線駅まで山越え特急で4時間(いまはほんの少し短くなったけど)かかるし、高齢化率は全国トップクラス、県民総生産は全国最下位クラス。特に思春期、東京発信のキラキラしたTVや雑誌のなかの世界と対比して、この地に生まれたことへのハズレ感、「B面」感はものすごいものがあった。

地方出身者としてそれなりの田舎嫌悪と野心とを持って18歳でで大阪へ出てきて、学部生時代に社会学ゼミに所属して都市問題調査に(半ば強制的に)駆り出されたりした縁で、「都市と地方」、もっと端的にいえば「都会vs田舎」の図式への興味が深いが、これはもう興味関心という域を超えてほぼ呪縛といっても過言ではない。出身がもう少し中途半端に栄えた(失礼)地方都市だったら、ここまでのこだわりはなかったのかもしれない。

で、何を思ったか2011年、33歳の時に一念発起して社会人大学院で都市経済政策という分野の研究に携わる身になる。この時、授業やゼミで、思いもよらない事実を目の当たりにする。

「高齢化社会」という日本全体が直面している課題に取り組むうえで、当時すでに「島根県が最先端事例の宝庫だった」のである。

なので、その界隈で「島根出身です」と自己紹介したらば、まさかのそれだけでチヤホヤされた。それまで職場やら飲み会やらで出身地を披露しても、どの集まりにも一人くらいいる”旅好きおじさん”から、行ったことあるよ的なエピソードを返されて苦笑いする程度のイチ要素だったのが、文脈変わってまったく別の価値を発揮しはじめたのだ。
人生における謎の島根バブル到来である。

B面視点が身を助く

しかしながら思い返すと、それ以外にもB面側の視点で閉塞感をブレイクスルーした記憶がある。

例えば典型的な社畜上等業界である放送局勤務時代に、経験豊富なプロデューサーの先輩方と同じやり方(既存の取引先業界と”そこをひとつヨロシク”的な取り回しとでもいおうか)でなく、私が面白いと思うやり方(自分自身がちゃんと街で遊んで伝えたいことを発見してくる)でやってみたほうが不思議と結果が付いてきたことであるとか。時短勤務中かつ二度目の産休が決まってからの、業務の必要性を精査しながらのタスク管理&引き継ぎとか(このあたりは抽象的な表現にとどめて、また別の機会に書きたい)。

A面とB面、双方の経験をしたときに、その物事の二面性を意識してよりマイナーなほうほうの視点を尊重したほうが私自身うまくいくという実感がいくつかあったし、全体にとっての強みにも変わることを、経験則として私は持っている。

・健康と健康破綻(過労由来で3回自律神経ヤバくなった)
・残業し放題フルタイム勤務と時短勤務
・職場の好況と不況(業務縮小/収入減)

※以下はメジャー/マイナーの区別はないけど、キャリアや価値観形成にわりと大きな影響をもたらした二面性。
・デジタル産業とアナログ産業
・業種としてのIPホルダーと媒体

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