足跡

いづれ来る春待ち詫ぶるさくら木の乱れ咲く日を夢にこそ見め
登りくる光を求むキミが身に来たれと願ふ時の瞬き
暁を待つ街角に眠られず外の面に目遣り出づるため息
東雲の輝く様に巡りあひて君の瞳を求むる夜明く
朝の日にわが身を写す目をこすり川面を眺む光見つめつ
振り絞り身体を使ふ動かざる手足を敢へて動かす苦痛
雪降らす空の気色に鈍色の重たき心持て余しゐし
咲き初むる梅花の匂ひに誘はれて小雨降る中公園歩く
わが心を映すかのごと朝焼けの中に降りゆく雨を見つめつ
街灯の明かり頼りにゆく街に夜明けはいづこ惑ひゐるキミ
せせらぎに誘はれ川に出でて見る朝日の清し今日も始まる
今日もまた冬の朝日を眺めつつ己が身体をいたはる乙女
ヴィーナスに向けて語らむ宵闇に川面へ映る真心清しと
家路急ぐ列車見送る形変へ沈む夕日の丸く大きく
梅花咲く気色のごとく妹の心も雨水と溶くる日の来よ
日を浴びてセロトニンこそ作らめと寒き朝に有明の月
乱れ咲くカンヒザクラを照らすごと朝日は眩し水の温みて
有明の月を眺めてゐるキミに明けの空気は深く冷たく
道端の春の足音聞かずして絡む心を気に病む蒲公英
囀りに誘はれ窓を開けたれば眠きまなこに日は昇り来つ
燃え滾る心を抱くべきなのか自問絶えなき日の出を眺む
武蔵野に住処を探しゐる時に神の恵みか伝に至りぬ
朝より歩き見つける看板に望みを託す一人の暮らし
忘れゐし希望の扉もう一度叩いてみたし気持ち湧き出づ
紅を引く鏡を見つむ傾げたる容に向かひひとつウインク
気持ち良く譲る座席に気持ち良く菓子をいただく朝の珈琲
刹那でも感じてゐたい幸せに浸るカフェにてネコ写真貰う
気分良く一番星に祈りゐる夢こそ叶へ空澄み渡る
髪を梳きスマホで自撮り良い顔のままで見に行く一番星を
カラフルな翼持ちたるウグイスの啼き声聞かるる日こそ待ちたれ
朝日見る眼に力武蔵野に今日も昇れる丸き太陽
今朝もするラジオ体操少しだけ薄着になりて早春の風
春を待つさくらの下のベンチにて日向ぼつこで朝日受けつつ
早咲きのカンヒザクラに誘はれて今朝も来たれる街角清し
早春の川岸に立つ木漏れ日の恥ずかしがるやそつと昇り来
真心に答ふるために真心を載する尊さ肌に感じつ
鉄橋を眺め続けつ通りゆく列車もやはり一人の過客
野に咲ける名もなき花に春の来る匂ひ感ずる川面の朝
咲き誇る河津桜の花弁の中の雌しべに花粉を届く
晴れ渡る青空の下さくら木の萌える最中に小鳥囀る
朝日浴びつ川縁に立つこのわが身をどこかへ流せ水の流れよ
人知れず川縁に咲く河津桜わが身の春の来るを信じて
薄明の街に灯る火まだ明けぬ空に残れる星のささやき
昇らざる日はなしといふ雌伏する今を嘆かず前を見つめつ
河のほとりにたたずむ乙女夕日浴びて明日を夢見るごとく呟く
勤行の合図か鐘の響く音雨止む空に昇る日を打つ
洪水の日日も終はるや飛びきたる一羽の鳩のオリーブ持ち来
三日月の夕日見送る暖かき弥生始まる蒴日の河
春霞に恥ずかしがるや太陽のぢれつたきほどゆつくり昇る
生きてこそ人の痛みもわかるといへ日は万人に降り注ぐゆゑ
今日の日にサヨナラといふすれ違ふラッシュアワーの列車見遣りつ
雨降りに心も萎えて部屋に籠りフェイスブックにひとり呟く
晴れもせぬ心抱いて曇天を何処に視点を当てるや眺めて
昇りくる春の朝日に励まされ今日一日を強く生きたし
街の端を茜に染めて宵闇は別れ告げゆく日の出も間近
蝶々の訪れ待つや地にありてなずなの花は凛と咲きたる
ホルモンのバランス保つも難しき春のいたずらならば良きもの
天空より降りくる闇の帳もう宵はすぐそこ日にサヨウナラ
雲一つない青空の下にあり早咲きさくら咲き始めたり
春が来れば咲き競ひたるさくら木の咲かない年のなしと思へば
病みながら重たきその身引きずるも気高くあれと声をかけたし
目を庭にそつと向ければ石にさえ見守る数多花のありけれ
不器用な華の命を慈しむ蝶こそ来たれ風そよぐ中
叶はない外の景色を届けむといぢらしきほど気を遣うキミ
思ひ出すあの日の明けの空低く垂れ込めてゐる雲の下の日
風鈴に朝日を入れてわが心照らせと願ふ明けは来にけり
水仙の花弁のごとく笑ひあふ日日迎ふるを夢にこそ見め
沈みゆく月追ひかけて朝の日は昇り来る日とばかり知りせば
健気にも咲き誇りたるさくら木の朝の歩みは緩りとされよ
この春にソメイヨシノは誘はれて膨らみし蕾してはいまいか
青青と天の高さと比ぶれば雪柳こそ地上に降る星
群生の水仙の花窮屈に畠の中を薄化粧せり
満開の河津桜に水差すやそれとも慈雨か花は打たれて
生ひ茂る春の七草病むキミに良き便りこそ届けられたれ
ヴィーナスに出迎へられて帰途につくサラリーマンを乗せたる列車
先を急ぐ列車行き交ふ宵の口水面に映る陰を慕いつ

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