陸上競技を考える②

今回は陸上競技の種目について考えてみたいと思います。

前回「陸上競技を考える①」で、選手によって出る大会も違うしストーリーもそれぞれなので選手とファンでストーリーを紡いだ方が良いんじゃないか、的なことを書きました。

陸連に入って6年目ですがひとつ逃げてたことがありました。それは「どの大会で何の種目が行われているのか」という本来入局(陸連に入ることは入社ではなく入局といいます)時に理解すべき初歩的なことです。リモートワークになり若干時間ができたので、この課題にちゃんと向き合おうと思ったのです。

あまこま箱根ロス本では年間を通じて、注目の大会をピックアップされていますが、ピックアップしてるこにも関わらずめっちゃあります。

それはそのはず、陸連公認大会は地域の大会とか全てひっくるめて約3000大会あるのです。年間のリザルト総数は約1000万ともいわれています。世界陸連がランキング制度を始めて、各国の陸連が世界陸連リザルトを提出することになった際に「日本大会多すぎだろ」って驚かれたそうです。実は日本は陸上大国なのかもしれません。

そもそも陸上競技は男女各18種目計36種目+マラソン、競歩(20km、50km)それに駅伝、リレー、マイル、100km、3000m、クロスカントリー、室内・・・50種目ぐらいあります。世界陸連が作成するルールブックには「マウンテンレース」という言葉もあり、つまりトレイルランも実は守備範囲にあるようです。陸上競技というのは総称でしかないということが改めて分かったのです。と書いていたら、陸連からトレイルランニング日本代表の選考要項が・・・。結局種目数いつくなのかも分からない状況です。

あまこま箱根ロス本が時系列に「横軸」でまとめたとしたら、僕は種目ごとの「縦軸」を調べてみました。

で実際に調べてみました。対象はグランプリシリーズとダイヤモンドリーグ、それに主要な大会を加えてみました。

グランプリシリーズとは日本陸連が国内の主要大会を取りまとめてシリーズ化しシリーズチャンピオンを決めようという企画です。ダイヤモンドリーグはそれの世界版でF1やテニスのツアーのようなものです。

ひとつ言い訳をすると、趣味で調べましたので若干誤りがあるかもしれませんがお許しください。エクセルの生データを貼っておくので、ご自由にお使いください。途中で挫折してます。。。

ここから読み取れることを書いていきたいと思います。

まず、まとめていて思ったことは「マジでバラバラじゃん。」と頭を抱えてしまいました。種目を追いかけるだけで息切れしてしまいます。しかも、ここにピックアップした大会は各選手が出場する大会のほんの一部に過ぎず大学の記録であったり、ダイヤモンドリーグではない海外の大会に出たりします。気付いたら日本記録が出てるなんてことはしょっちゅうです。

それは日本だけでなく世界も同じようです。そもそもダイヤモンドリーグでは行われない種目もかなりあります。

調べてみたら、実施種目が世界の傾向と日本の傾向は若干違いました。

まずひとつは、世界の競技会は中距離をベースに構成されているんだなと。全14戦で男女いずれか必ず800m、1500mが実施されていました。

2つめは、日本で盛んな5000m、10000mが行われておらず、日本でほとんど実施していない3000mが実施されていること。

3つめは、200m、3000mSC、円盤投、三段跳はダイヤモンドリーグの主要種目から除外されているのは決定事項として発表はされていたものの、改めて可視化すると世界はかなり種目の選択と集中の傾向にあることが分かります。

【男子】
ダイヤモンドリーグ実施上位3種目
1位:800m(9戦/14戦)
2位:400mH(8戦/14戦)
3位:400m、1500m、走高跳、やり投(7戦/14戦)
https://www.diamondleague.com/calendar/
グランプリシリーズ実施上位3種目
1位:100m(7戦/15戦)
2位:110mH(6戦/15戦)
3位:200m、1500m、400mH、棒高跳、やり投(5戦/15戦)
https://www.jaaf.or.jp/gp-series/

グレーに塗ってあるのがやってない、または主要種目ではないもの。赤く濃いほど実施回数が多い種目です。

【女子】
ダイヤモンドリーグ実施上位3種目
1位:100mH(8戦/14戦)
2位:100m、800m、1500m、棒高跳、走幅跳(7戦/14戦)
3位:400m、3000m、400mH、砲丸投、やり投(6戦/14戦)
グランプリシリーズ実施上位3種目
1位:100m、100mH(7戦/15戦)
2位:400m、800m、400mH、やり投(5戦/15戦)
3位:5000m、走高跳、走幅跳、三段跳(4戦/15戦)

ダイヤモンドリーグの種目の傾向から、ケニアやエチオピアはじめ世界の選手たちは5000mや10000mではなく800m、1500mをやるようになる。すると世界の中距離のレベルが上がる。マラソン選手は中距離から転向する選手が増える。マラソンランナーにスピードのある選手が増える。スピードランナーのスピードを上げたり維持できたりようなトレーニング方法やコンディショニング、シューズ等の技術開発が進む。結果、ますますマラソンの高速化が進むということが考えられますね。

一方で近い将来なのか、先の将来かは分かりませんがオリンピックのコンパクト運営の方向性にある中では東京五輪を最後に50km競歩がなくなるようなことが起こり得るかもしれませんね。

もちろん実際のところはどうなってるかは全く知りません。あくまで実施種目から勝手に読み取ってるだけです。

まとめると、傾向はなんとなく分かったのですが1人のファンとして、どうやってコンテンツを追いかければ良いのか、ということは良く分かりませんでした。

ではどうしたら分かり易くなるかというと競技会の仕組み自体は世界も含めてややこしいので、ここはある程度仕方ないのかなと。

だとしたら、他力本願ではありますが、縦割りで魅力を発信してくれる人やメディアがあったら良いなぁと思うのです。

EKIDEN Newsは基本長距離(最近はいろいろ)ですが、Boutaka Channelという棒高跳に特化して取り上げるアカウントがあります。正直、良く分かりませんが棒高跳のマニアックなことが色々書かれています。完全に他力本願な解決策ですが、いろんな種目ごとのアカウントなりメディアが出てきて欲しいなぁと思います。

あとはやっぱり1番競技のことを良く分かっている選手自身にもっと競技のことについて発信してもらえると観る方としてはありがたいし、業界としてそういうプレイヤーが少ないのでエッジを立てるチャンスでもあると思うのですが、どうなんでしょうね。

2016年愛知の日本選手権は広報として関わり写真を撮ってTwitterにバンバン上げるという役割でした。一番印象的だったのが投てき種目の選手たちの表彰式の朗らかなな表情や陸連の公式マスコットのアスリオンに絡んでくれたりして、写真撮っててなんか好きでした。大男の笑顔ってグッとくるものありませんか?

世界のレベルからは差がある種目は、あまり注目されませんが、競技のレベルと競技の面白さはあんまり関係ないんじゃないかと最近特に思っています。

代表選考にならない今度の日本選手権は陸上競技の魅力を見直すとても良い機会になるのではないかと今後の展開を楽しみにしております。

ということで、陸上競技はややこしいから種目ごとに誰か発信してぇという話でまとめたいと思います。

お金もったいないのでサポートしなくて大丈夫です。笑