1ヶ月で学び直す「数学Ⅰ」

 これは,学校で「数学Ⅰ」を履修したけれど躓いてしまった人が学び直すためのアドバイスです。初学の方は想定していません。

 まず,数学を学ぶ上での一般的な心構えを書きます。
 数学は「暗記科目ではない」と言われますが,暗記すべきことは沢山あります。数学では「考え方」が重要ですが,何も知らなければ考えることもできません。まずは,基礎概念,基本的な計算手法,典型的な解法を素直に受け容れて習得しましょう。
 一通りのことを学んだ後に,「何故このように定義したのか?」「何故このような式変形を行うのか?」と思いを巡らすことは価値があります。

 「数学Ⅰ」では,「数と式」,「図形と計量」,「2次関数」,「データの分析」の4つの項目を学びました。この中で,「数と式」は数学を学ぶための前提となる基本的な事柄を扱いますが,ここから学び直すと,おそらく飽きてしまうと思います。そこで,大きな枠組みとして「2次式」と「三角比」に焦点をあてて学ぶとよいと思います。「データの分析」は独立した分野なので,余力があれば復習すれば十分です。
 「数と式」の中の「集合と命題」も重要なのですが,内容が抽象的なので,学習が軌道に乗った段階で学習するとよいでしょう。

 「2次式」と「三角比」を学習する順序は自分の好みに応じて選択すれば構いません。あるいは,一方の学習に飽きたら他方の学習に取り組んでもよいでしょう。
 ただし,少しずつで構わないので,毎日数学の学習を継続しましょう。数学の学習が言語の学習のようなものです。慣れが必要です。そのためには毎日学ぶことが効果的です。そして,1日の間は1つのテーマに専念しましょう。できれば,3日間くらいは統一したテーマに触れた方がより効果的です。

 具体的には,教科書を読み進めながら例題を解いていきましょう。まずは,解答を見ないで自力で解いてみます。きちんとノートに解法と結論を書くことが必要です。5分くらい考えて方針が立たなければ解答を読んで考え方を確認しましょう。その上で,例題の下にある問を真似をして解いてみましょう。
 自力で解けた人は,次の例題に進んで構いません。類題を解く余力のある人は問も解いていきましょう。


高校生,受験生に物理を教えています。