物理の学び方2

 物理が苦手な生徒を見ていると,計算力がネックなっている場合が多いようです。物理は,高校の範囲であれば覚えなければいけない項目の数は非常に少なく(数学と比べてもずっと少ないと思います),理論を理解することはそれほど難しくないはずです。ところが,理系の受験生も物理に苦手意識を持つ人が少なくありません。

 物理では,学習においても問題を解く場面においても,数学(と言っても難しい理論ではなく主に計算手法です)を使う必要があります。それは,理論を理解し,また,理論を現象に適用して結論を導くための手段に過ぎません。道具として使いこなすことが大切です。入試の範囲であれば使う手法はルーティンな作業ですから,息をするように,あるいは,自転車を漕ぐように,(ほとんど)無意識に手が動くように道具に馴染むことが必要になります。

 そのためにはどうすれば良いか。自転車の練習をしたときのことを思い出してください。はじめは上手く漕げなくて何度も転んだと思います。それでも繰り返し練習することにより,いつの間にか手放しでも乗れるようになったと思います。その後は,決して乗り方を忘れることはないでしょう。

 物理の学習も同じです。問題を分析的に読み,その要点から物理法則に基づいた方程式を書いたら(ここまでが本来の物理の作業です),その後は自然と手が動いて結論が導かれるようになるまで練習を重ねる必要があります。1問だけで出来るようになる人もあれば,同じテーマの問題を10問くらい解く必要がある人もいるかも知れません。それは,自分のペースで練習を進めれば大丈夫です。到達目標は同じです。

 教科書の練習問題や傍用問題集の問題は,本来の物理の作業が単純に処理できるので,その後の計算練習の課題としても適当です。ただし「公式」を当てはめるような解き方をしてはいけません。きちんと物理法則を意識しながら方程式を自分で立てて,その後の計算処理も丁寧に自分の手を動かして行ってください。

 そのようにして,基本的な例題を使って典型的な計算処理がなれば,物理法則の理解も固まっていきます。最近の入試問題は問題文の分析に手間のかかるものが多くなっていますが,そのための対策は,その後に行うべきです。そのような意味で,夏の終わりくらいまでにセンター試験の過去問であれば確実に満点が取れるようにしましょう。

高校生,受験生に物理を教えています。