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戻れない過去に浸る日だってあっていい。

22歳の私には中学の思い出が
程よく古くて心地いい

中学の生徒会メンバーとボーリングに行くことになった。1人1人と飛び抜けて仲がいいかと言われればそうでもないような気がする。だけど私たちは常に生徒会室にいた。そういう仲だ。

集合場所に一番乗りだった私は、「ついた」と3人に連絡した。その5分後には懐かしい面影を持つ人たちが歩いてきた。お互い顔を合わせると手を振りあって「よぉ〜」と、再会にふさわしいのかよくわからない声をあげた。

お互いの姿の変化を1.5秒くらいで目になじませたあと、「久しぶり」を飛ばして、「SNS見たよ!」や「就活お疲れ様」と近況の知っている範囲内で話題のカードを切った。

夜になって飲み屋に行くくらいの時間には、過去の出来事を振り返って当時の心境や、裏話などを話した。女の黒いところに気づかない男性は多いようで、2人とも「へぇ、そんなことあったの?女子黒っ怖っ(笑)」などと言っていた。

私以外の3人は高校も同じだから、途中途中、私のわからないエピソードを話していたけど、私は私の知らない時間を持っている彼らも好きだと感じた。

一人一人の話を聞き、「あぁ、大人になったんだなぁ」と感じ、各々の"これから"に胸を高鳴らせながら、私たちは解散した。

こんな日の余韻はなかなか取れない。結局私は3時まで起きて、もう3年は開いてないだろうアルバムを見て、懐かしさを味わった。

この頃にはもう戻れない。振り返ることはできても、反省することはできても、余韻に浸ることはできても、戻ることはできない。私たちには"これから"しかない。

勉強なんて楽しくないとぼやいていたあの日も、好きな人に振られて心を痛めたこの日も、部活の練習に身を焦がしたその日も、全部全部私たちの形になっている。

不安になるときも来る、これでいいのかと頭を抱えるときも来る、見えない何かに何故か締め付けられる思いをする日もきっと来る。でも、そんな時はふと彼らのことを思い出して、過去に浸ってみたっていいじゃないか。「この時こんなことやらかしたな」「彼にもこうだった日があるって言ってたな」「次のお休みにご飯誘ってみるかな」なんて、のんきな気持ちになれるかもしれない。

もちろん、彼らにもふとした瞬間こういう私たちの関係を思い出して、是非とも過去に浸って欲しい。楽しいこともつらいことも私たちはもう一通り経験しているのだから。"これからの人生"に心残りを少しでも減らすことができるように。

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