街に出たい

1週間前、流行病に罹ってしまい、それから自宅での待機を余儀なくされている。いまやどこで、誰が罹るか分からない中で、まさか自分が罹患するとは思っていなかったが、呆気なく罹患した。
症状が軽いのか、重かったのかは正直分からないが、苦しさや長引く症状を目の当たりにすれば罹らないに越したことはない。いつになれば良くなるのだろうと不安を抱えながら仕事をし、息苦しさを覚えて咳をこむ。気休め程度ののど飴ももう少しで無くなってしまいそうで、自宅待機もあと3日で終わっていく。
少しばかり痩せたこの身体だが、暑い夏の日差しのもとに出ていき、失われた体力を取り戻しに行かねばである。
とにかく咳が落ち着けば、ひと段落だ。

少し前にフィルムカメラを購入した。写ルンですの流行からフィルムカメラ自体には興味を持っていたが、中々手を出さずにいた。本当に必要なものなのか、自分でも扱えるものなのか判然としなかったからだ。
久しぶりに家にあったソール・ライターの写真集を取り出して開いたとき、相変わらず写真は最高だったけど、あと少しで終わってしまうこの日々をとにかく撮りたいと言う気持ちが芽生えていった。住んでいるこの街の景色も、周りの人達のことも。もう時間がないから、とにかく撮りたくなった。
思い出はスマートフォンでも残るし、撮れる。でも容量がいつもギリギリだからって言い訳をして、フィルムカメラを買っちゃう口実にした。誰も自分を咎めたりはしないけど。
念入りに調べて、心がときめいたautoboy 3をメルカリで買った。フィルムも買って、あとは写真を撮るだけになった。

街に出たい。
家の中で溜まった鬱憤を解放しつつ、街に出てなんてことはない写真を撮ろうと思う。
今日もベランダで外の空気を吸って、1日を終えた。