やりたかったこと

父は余命半年だった。そんな父をサポートしていた私は、ある日嬉しそうな顔をした彼にこう言われた。「楽しい事見つけた!」私は良かったねぇと言ったが、その後に言われた一言に戦慄した。麻薬の販売業者だった。止めようとしたら、もう父はそこにはいなかった。認知症が悪い作用を起こしてしまった。しばらくの間落ち込んでいたが、ほどなくニュースが流れた。「例の麻薬組織ですが、最近目立った行動が増えて来ています。麻薬で火事を起こしたり、麻薬に使う麻を何度も燃やしているという情報が散見されており、グループの中には高r」いいや。面白い事も少なそうだし。

そしてもうすぐ半年も経とうという時、偶然にも父を見つけた。あの後のニュースで父の姿を麻薬のニュースで見た後時から、どこかに収監されていたとしても分からないだろう、と半ば諦めていたので驚いた。「お父さん!何してるの!」「君、ハナビをあげよう」「家に帰ろう」「?いや、最後にハナビをあげさせてくれんか。これが最後だから」「取引なんてしないよ!家に帰ろう!」「いいからいいから、こっちに来て一緒に見よう」….?見る?何のことだ?もう彼のやりたいことも殆ど思い出せないだろう。従おうとしたその直後、耳が張り裂けそうな破裂音がした。「何!?」「始まるよ」空には大量の打ち上げられた花火があった。「….花火だね。」「やっぱり自分で考えたから余計に綺麗だなぁ」彼の最期にしたかったことは花火だった。麻薬なんかじゃなかった。そう言われればニュースにも納得がいった。そして終わった後「楽しかった?」そう言って横を見ると、彼は綺麗な顔で寝ていた。もう起きない。「…楽しかったなら良かったよ、今までありがとう」

書き散らし「やりたかったこと」


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