ADHDと『マインドマップ』

私はADHDだ。
ADHDとは、注意欠陥・多動性障害の略称である。

私たちADHDの頭の中、思考方法は普通の人は大きく異なっている『らしい』。

あえて『らしい』と言わせてもらう。
私は生まれたときからこうなので、一般的な人の「思考パターン」というのがイメージできない。

ADHDについて本を読んだり、他の当事者の体験を見聞きすることで、自分の思考パターンの特異性にようやく気がつくことができた。

ADHDの思考パターンを理解するには、下記の図を見てもらうのが早いと思う。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97
ウィキペディア マインドマップ より引用

上の図は「マインドマップ」と呼ばれる思考方法および思考の表現方法である。

書き方には一定のルールがあるのだが、この「マインドマップ」こそ、ADHDの思考パターンを最もよく表していると思う。

特徴1 放射線状にのびる思考

ADHDの頭の中では、考えごとやアイディアが放射線状に『常時』拡散し続けている。

つまり考えごとが無意識のうちに四方八方に暴走するように伸びていく。

これがADHDの厄介なところで、スマホとかパソコンでいうならば、バックグラウンドで訳のわからないアプリがぐるぐる回り続けている状態なのだ。
そのため、思考の作業領域である「ワーキングメモリー」を著しく圧迫する。そのため、「ちょっと、一時的に覚えておく」ということに障害が発生してしまい、例えば戸締まりをする、書類を書き写す、などの単純作業が全くできないのだ。

特徴2 有機的なつながり
『無意識のうちに』『暴走するように』伸び続ける思考は、アイディア同士が突然に有機的につながるときがある。
上の図でも、思考が枝の様に伸びる一方で突如として別の枝に伸びる矢印があるのがわかるだろう。

私の場合は、この新たな有機的なつながりが出現したときに、面白いアイディアがまた枝のように伸びていくような感覚がある。

(そういう場合は、べつに新たな枝を増やすか、そのアイディアが画期的であれば、そのアイディア。セントラルイメージとしてフォーカスして、もう一度書き直すことさえある。)

特徴3 時系列にとらわれない
これはマインドマップの欠点ともいえるのだが、放射線状に書いていくので、時系列の表現がほぼ不可能なのである。

これはそのままADHDの思考とも同じだと感じていて、過去、現在、未来…と順序建てて考えることが苦手で「アイディアが伸びるか」「(自分にとって)重要であるか」ということが全てなのだ。

一般的なメモやノートのように順序建てて、一つずつ考えるということが、苦手なADHDの思考特性を表しているとも思う。

☆  ☆  ☆

ADHDの頭の中は常にマインドマップのような状態である。
(もしかしたら、自閉傾向にも当てはまる思考かもしれない。が、私には自閉傾向はほぼないので、そのあたりはよくわからない。ごめんなさい。)

脳内が常に忙しく多動していて、一つのことに集中できない。
脳内の疲労感が大きく、ある面ではぼーっとしていることが多い。
私の場合は、今日はなぜかものすごく疲労していて午後から気を失うように眠っていた。

☆  ☆  ☆

私も当事者であるから、率直に言うと、多くADHDは、厄介者扱いされているだろう。
単純作業が極めて不得意、集中力に極端なばらつきがあって、没頭できるものと全く興味が持てないものがある。
人の話を聞いてない。
とおもえば、突然喋り始める。

マインドマップだってそうだ。
私がマインドマップに出会って、
「これだ!」
と感動して、自分の思考そのままを書いて表現すると、見た瞬間たった一言「気持ち悪い」と言われた。

そう、私たちの思考は、普通の人には気持ち悪い存在なのかもしれない。

☆  ☆  ☆

その一方で常に思考が有機的なつながりを探してウロウロしているものだから、人とは違う発想やアイディアに恵まれるという、「ギフト」もある。

坂本龍馬もADHDだったと言われるが、私は彼の生き方にとても共感できる。

黒船をみて、日本が勝てないことを悟る。
このままでは、日本が植民地になり食い散らかされてしまう。
それを防ぐためには、幕府を倒し、新たな統治機構を作る必要がある。
だから、薩摩と長州を結びつけ倒幕のきっかけを作らなければならない…

彼のなかでアイディアは無限に拡散していたんだろう。
ときに変わり者扱いされ、脱藩を繰り返し、日本中を駆け回り、商売をし、金を集め、人と人をつなぎ、日本を変えた。

☆  ☆  ☆

全てをわかってもらう。
それはとても幸せなことだ。

でも、この私の独特さを理解してもらうことはもう半分諦めている。

思考を閉じ込めて普通にしようと窒息するなら、全てを壊して自分が傷つくことになったとしても、自由に思考の枝を伸ばしているほうが私にとっては幸せだ。

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