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「Pythonによる制御工学入門」の紹介

みなさま、こんにちは。みなみゆうき(@yuki373)です。
「Pythonによる制御工学入門」(オーム社)の特徴を簡単にご紹介します.

ポイントは5つあります。

ポイント1:初学者からプロまで

本書は制御工学の入門書です。ほかの制御工学の良書とは異なり、数学的な記述をできるだけ省略しています。そのため、初学者の方は、ひととおり最後まで読むことができ、制御系設計の流れはなんとなくわかると思います。ただし、真に理解するためには、他の良書を読む必要があります。その一方、本書の一部はプロ用でもあります。制御系設計を意識してまとめていますので、実際に制御系設計をする際の復習に使えると思います。また、多くの教科書で省かれている内容もところどころに書かれていますので、それを見つけるだけでも得した気持ちになれるかもしれません。

ポイント2:Pythonで制御工学を体験

制御工学の教科書を開くと、小難しい数式が並んでいます。応用数学をベースとした学問であるため、数学は避けられません。しかし、そもそもなぜ数学が必要かというと、制御対象の振舞いを数式で表現したり、数式を用いて制御対象の振舞いを変える方法を調べるためです。つまり、「制御対象の振舞いを可視化する」というのが重要です。ただし、手書きは面倒です。そこで、Pythonプログラミングでそれらをやってしまいます。たとえば、step や bode というコマンドを使えば、制御対象の重要な特徴を可視化することができます。それから、acker や lqr というコマンドを使えば、制御対象を安定化するコントローラを設計できます。本書はPythonのサンプルコードを多数記載していますので、それらを実行しながら制御工学を勉強していくことができます。

ポイント3:古典制御から現代制御、ロバスト制御まで

伝達関数モデルをベーストした古典制御、状態空間モデルをベーストした現代制御、この二つが多くの大学で勉強する内容になります。これらは、登場した順に古典、現代と名前がつけられていますが、古典より現代の方が優れているとか、古典より現代の方が難しい、とは必ずしも言えず、両者どちらも役に立つ制御理論で、それぞれの難しさがあります。本書では、古典制御と現代制御を区別せず、まず、制御対象のモデルを作る際に、伝達関数モデルと状態空間モデルの両方を説明しています。そして、そのあと、PID制御や位相進み遅れ補償、そして、状態フィードバックなどの設計方法を解説しています。さらに、アドバンストな話題として、ロバスト制御の基礎まで触れています。

ポイント4:姉妹の会話とかわいいイラスト

各章の最初と最後には、姉妹の会話を記載しています。重要なポイントや補足などが書かれていますので、必読です。また、イラストにも本文のエッセンスが詰まっていますので、それをじっくり眺めて、意味を理解するだけでも十分な勉強になると思います。

ポイント5:充実したサポートページ

本書に記載したサンプルプログラムはサポートページに掲載されています。また、本書に記載していないプログラムもあります。さらに、演習環境の構築方法や正誤表などの補足情報も掲載しています。今後は、演習問題やまとめスライドを順次準備していく予定です。

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