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世界人口・人口ボーナス,次の可能性

[NIKKEI.COM世界の人口増、1%割れ 戦後成長の支えに転機.](https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62557760T10C22A7MM8000/?fbclid=IwAR1P4Ri1GCaSK1McrcgFfpMDGXLQdknJQbxQuI4yrf5f87opogbrCmu5paA)

1) 世界人口のピークと人口ボーナス


産業革命以来,世界人口は急増した.1900年の16.5億人から2000年61億,2022年現在約80億人に達する.100年間で約4倍に急増し20世紀の繁栄の基盤となった.

それは特に主要な働き手である生産年齢人口(15~64歳)の比率が高い「人口ボーナス」を,継起的に各国・各地域で伴い,それが20世紀の成長と繁栄の源泉の1つとなった.これまではこれが経済成長の重要な基盤だったが,急速な少子高齢化そして後者の順次退場でこの好循環は幕を下ろそうとしている.

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国連の前回推計では世界人口ピークは2100年の109億人とされていたが,大幅に前倒しされ,2086年に104億人でピークを迎えるとみられている.(これから前倒しはあっても先送りはあるまい.例えば60年代に90億人でピークとその後の減少)

また,経済成長を支えてきた生産年齢人口(15~64歳)の高率には前提がある.そのためには先ず長期的政情安定がなくては難しい.戦争・紛争では経済成長も人口増大も無い.しかも世界経済の成長を支えるには大国か広域である必要がある.

今のCHINAの経済大国化・人口大国化も,このお陰(第2次大戦後の安定の中で,人口は5億から14億)と米国・日本・欧州からの資本・技術移転によるところが大きい.しかし,今や経済的難題が増え,生産年齢人口はそのピークが2014年,今年は人口でインドに追い越される年と見られている.

2) 次の人口ボーナス(成長エンジン)地


まだインドがある(生産年齢人口は増え続け割合も70%に近付いている)が,これも10年以上遅れて同じ道を辿るとすれば,近代世界経済の崩壊(成長停止)を避けるためには,次々と代わりが必要となる.
21世紀中葉から後半を同じようなパターンでエンジンとなれる次の国・地域の出現の必要がある.そのような場所は残っているのか.それは中東とアフリカである.

しかし,前者は,石油資源が重要である限り,アメリカが介入しないわけが無く,(ブッシュがフセインに対して用いたナラズ者国家を鏡で見ればそのまま反転して自分たちが見える)今の破壊と非人道的中東政策のままであろう.アフリカはどうか?大きな成長率では無いが人口は増えている.しかしこれもヨーロッパ列国からの分断植民地化の負の遺産を乗り越えることは難しく,広域市場化によるダイナミックな発展は今のところ望みは無い.

3) 「人口ボーナス」の活用ためには望まれるもの,そしてその先は何か


答えはわかっている.

それは

グローバリズムに距離を置き(米国属国化主義や遅れてきた共産党独裁帝国主義国中国ハニートラップ志願でもなく),独立した中位国連合体の試み

である.

である.そしてこれは「人口ボーナス」や近代世界経済の崩壊(成長停止)を避けるためだけではない.

第二次大戦後世界は3つに分かれた.そのうち第2世界は崩壊し,(自由ロシアと称するアメリカ資本による収奪の後の)ロシアの復活と(一部の中共資本と一部のアメリカ資本の結託による)ゾンビ共産中国の隆盛となった.第3世界は植民地支配から解放・独立し経済的独立と連携の試みをしたが,結局のところグローバルサプライチェーンの一角を占める周辺的2次資本となるか,アメリカ世界エネルギー政策に楯突き反米闘争の渦に巻き込まれるかであった.

そして幼稚なグローバル一極化と許容された多様化の世界となったが,いたるところできしみが出ている.今や,半世紀以上前の第三世界の夢を見直す時であるかもしれない.それはまた,戦前のアジア主義の良質な部分、また明治維新の幼稚な部分の振り返りと江戸時代の見直しにつながるであろう.これは決して,最近また耳にする,幼稚でオカルト的で穢らわしい「美しい日本」や「エバ日本」では無い.

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