ロボットパンケーキZ『新しい日のたんじょう。』@Konya-gallery

 前情報は何もなしで観劇。
 才能を感じた。
 けれども問題は、これがどこに向かう才能なのか、ということ。だと思った。

 個人的な印象としては、チェルフィッシュ/マームとジプシー/岡崎藝術座「以降の」演劇という感じがした。空間とか空気の作り方が。福岡という土地で、今回の作品のようなテイストの完成度を高めていくだけでも、相当の需要はあると思う。コアなファンが付いて(もう付いてるのかもしれないけど)、どんどん深化していく可能性はある。…そういう方向に向かう才能だろうか?
 もしくは、今後まったく違うテイストに変転していく才能だろうか? 自分のなかの「面白い」を断捨離して、まだ誰も見たことのない地平を目指す、みたいな、そういう才能だろうか?
…というようなところに、観劇後、もっとも興味が湧いた。

 今回の作品に限っての感想を云えば、いくつか粗さも目についた。たとえば美術とか。もちろん予算的に仕方ないところがあるのは推察できるけれど、ぼくはあのテイストの作品であれば、そこは死ぬ気でクオリティを高めないといけないと思う。あと壁の黒板に書きつける文字。あれはたぶん観客の3分の1くらいは読めてないんじゃないかと。それを作り手として「あり」とするのは、観客の立場からすると「なし」じゃないかなと思った。
 そして上階のおばちゃん。ひとりだけ役者としての基礎(発声とか)が違ってて、今回はそこがおばちゃんの「異物感」をより際立たせていて、とても良かったと思った。なんだかんだで、今回の物語でいちばんヤバい人だったな、あの人が。

あと、これも超個人的な好みなんだけど、あの「ケースの中にコレクションしようとする男」は、作・演出本人がやったほうが絶対にいいと思った。だってあれは完全に作・演出目線のキャラクターだし、それを俳優にやらせるって、ちょっとその理由が思いつかない(と、ぼくは思った)。いや、実際に演じた馬場修平さんの佇まい自体は、かなり演出家っぽくて良かったんだけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?