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眼球考2

思考実験その2。
昨日の続き。もう一度、想像上で自分の体を改造してみる。

今度は、目玉を手のひらにもってきてみることにする。代わりに、耳は両肘へと移動。さて、これで大きく背伸びして万歳をすると、かなり向こうの方まで見渡せるようになった。けれど手のひらの向きには注意しなければならない。もし手のひらをそれぞれ違う方角へ向けてしまうと、これまで左右の眼球によって立体視を得ていた世界像はぐにゃりと歪み、とたんにこれまで見たことのない分裂した世界像が立ち現れるだろう。おそらく「手のひら酔い」して、立っていることすらままならないはずだ。

慣れるまでは、手のひらを同じ方向に向け、ぴったりくっつけておく方がいい。そしてそのまま、腕をぐいっと前方に突きだしてみよう。

さて、今、この思考している「私」はどこにいると感じられるだろう?うすっぺらい手のひらの厚みを「私」だと感じるだろうか?あるいは、突きだした手のひらの後方、つまり実際には何もない空間に、架空の頭部を想像して、それを「私」だと認識する?

さらにここで、ゆっくりと腕を左右に開いてみよう。もちろん手のひらは同じ方角に向けたまま。すると当然、左右の目の間隔が徐々に離れていくことになる。ではこのとき、「私」にいったい何が起こるだろうか?

仮説として、おそらく、「私」の(想像上の)頭部が、徐々に巨大化していくような感覚に陥るのではないだろうか?つまりぼくらはふだん、左右の目玉の間隔によって、「私」の大きさを判断しているのではないだろうか?


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