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眼球考1

思考実験その1。
想像上で、自分の体を改造してみる。

目は鎖骨へ、耳は手のひらへ、口はヘソへ、鼻は喉元へ移植する。すると当然ながら、鎖骨から見る景色は、いつもより視座が低くなるだろう。もし物音がよく聞き取れないときは手のひらをそちらへかざすだろうし、でも匂いに関してはあまり変化はないかもしれない。そして手さぐりで首から上を触ってみると、たぶん、脳みその詰まった頭は、まるで巨大なこぶのように感じるだろうと思う。

巨大なこぶ?

そう。つまり、ふだんぼくらが「私」と認識しているのは、じつは科学的に正しいとひとまず言えそうな「脳みそ」なのではなく、目なのだ。眼球がぼくらに「私」の位置を教えている。

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