コトリ会議『全部あったかいものは』@ぽんプラザホール
初コトリ会議。ずっと前から気になってた劇団で、とくに昨年のせんだい短編戯曲賞の最終候補作品を読んでからは、「上演を観たい!」と強く願っていた劇団だったのだけれど、なんと今回タイミングよく福岡に来てくれることに。「キビるフェス」の企画者に感謝。(ちなみに今回、「福岡県以外割」という割引があって、このクオリティの作品を信じられないくらい破格の金額で観ることができた。企画者に感謝)
舞台は、とある工場の外れにある「休憩室」。
セレブリティ、という言葉が差す人たちとは真逆、という意味でのプロレタリア、つまり一般的に「社会的弱者」ともくくられる人たちのお話。ぼくは、もっとも近い作風としてイッセー尾形の一人芝居を想起した。登場人物たちへのまなざしとか、彼らに一人の人間としての顔を与え、笑いに転化することで可笑しみの向こうに切なさ、やるせなさが覗く、といった塩梅の絶妙さにたいして。
台詞が抜群に面白かった。よくある、笑わせるためだけの、その場かぎりの台詞(ギャグ)、みたいなのがひとつも無かったと思うんだけど、それであれだけ笑わせるのはすごい。あと個人的にちょっとこれもすごいんじゃないかと思ったのは、大阪の劇団で、会話劇で、コメディなのに、大阪弁を使っていないという点。理由は何かあるんだろうけど、個人的には、ちょっと意味が分からない。
ぼくは、観劇するときに何を重要視するかというのが比較的明確で、それは「まだ見たことのない風景・光景」を観せてくれるかどうか(いや漠然としてるか)。
で、今回のコトリ会議は、それをしっかり観せてくれた、という実感があった。なので、とても満足した幸福感をもって劇場をあとにすることができた。ぜひまた観たい。今度はもっと、どシュールな作品も観てみたいな。
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