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7月20日

7月某日
神保町の美学校でin the blue shirtこと有村がやっているイベントsound shareへ遊びに行く。美学校の入り口でスマホを触っていたら有村が飛び出してきてびっくりした。sound shareは参加者が自作のデモ曲を持ち寄り、それを聴き、有村が短く曲の意図や制作について質問する、ということを淡々と30人(30曲)くらい繰り返すというイベント。コード(コード進行じゃなくてプログラミングの方)によって生成された曲や、ドビュッシーをハウス風にしてジェームス・ブラウンの声ネタを乗せた曲など、ワンアイディアがそのまま曲になったフレッシュな作品が印象に残った。終わってから有村と都知事選の話、美学校スタッフの方とも談笑。

7月某日
西荻でレクサスさんチヨリさんとカレー屋『トネノ』カフェ『物豆奇』へ。その後リサイクルショップなど回る。西荻のCDショップはチャゲアスや陽水などどこの店にもあるニューミュージック~J-PopのCDがズラッと並んだ50枚のうち1枚くらいの頻度で、キャプテントリップのCDがあったりして、中央線を感じた。"かかし"と燻裕理のCDなど購入。
チヨリさんが案内してくれたリサイクルショップが強烈で、ショップというよりは親戚の家の倉庫を見ているような不思議な店(店名もわからない)だった。本当にありとあらゆるものが時代もジャンルも関係なくぐちゃぐちゃに混ざっていて、本のコーナー(というか本とそれ以外のガラクタも大量に詰まってるが、ギリ、本の比率が多いというだけのダンボール)地球の歩き方、血液型占い、宝石やアクセサリーの広告だけ集めたスクラップブック?などの山をひっくり返してると、ユリイカのバロウズ特集号があったりする。値段を聞くと200円。もう何十年もある店らしいが、ああいう店がコロナを経ても潰れずやっているというのは凄い。

7月某日
取材があり、自宅にて編集やカメラマンの方含め4人で談笑。つつがなく終わり、その後駅前の居酒屋で飲む。都知事選やカルチャーおじさんの行く末についてなど。人と会うと大体この話をしている。たまたま同席していた集英社の方が会計時に新札を出していて、これが新札を初めて見る機会だった。話は前後するが後日、また別の出版社の人と会食時、やはり新札を出していて、新札は優先して大手出版社の人間の手に渡るようになっているのかも知れないと思った。しかし何のために?いずれその陰謀を解き明かすために単身、一ツ橋に乗り込む日も近い。陰謀論は一人だけで考えて一人だけで行動するのが一番カッコいい。小鉄だけがやってる陰謀論、こてアノン。「家族に◯◯や□□の話をしましたが、やはり理解されませんでした」「お察しします…ウチも似たような状況です。孤独な戦いですがめげずに頑張りましょう!」みたいな美しいやり取りをSNSで見ると鼻白みますね。そうやってネットにお仲間いっぱいいるんだから何も孤独じゃないじゃん!そりゃそういうサークルなんだから楽しいですよね、別に陰謀論じゃなくてもいいんですよ。だから『アンダー・ザ・シルバーレイク』の主人公みたいなのが一番偉い。簡単に既存の陰謀論体系に取り込まれることなく、しかもネットの検索よりも自分の足で情報収集する訳ですから。汗かいてこその情報の価値ってもんですよ。しかしあの映画は、出てくる女性の人物がどれも類型的で薄っぺらく紋切り型(ミステリアスな美少女、コスプレ好きの女優の卵、欲求不満の熟女など)なのに対して、元・交際相手の女性だけがリアルな「人間」として描かれているのが、悲しくて良かったですね。

7月某日
Mikikiにてライター仕事続けて。まずは2024年上半期のベスト邦楽を選ぶという企画に参加しました。

これについてはまた別で一曲一曲について書こうかな。で、もう一個はMikikiで連載している「CD再生委員会」の3回目の更新。今回は現行のCDプレイヤーについて書いてます。なかなかコンパクトにまとまってていい感じじゃないでしょうか。

Discmanの完動品がもっと気軽に手に入ったらいいなーと思うんですけど、あんまり無いんですよね。なんか機材、例えばミキサーとかにしても、舶来品の高級なメーカーのやつほど耐久年数が低く、YAMAHAの手頃なミキサーほど長持ちするような印象があるんですけど、湿度の高い国で使われるか否かの前提の違いのような気がするんですけど、どうなんでしょうか。


7月某日
宮ちゃんに誘われて神宮前で呑む。以前から話に聞いていた宮ちゃんの個人的な新しい企画がぼちぼち公開できるらしい。以前にも宮ちゃんを介して飲んだことがあるおじさんも合流してワイワイ飲み歩く。
宮ちゃんは昔から私の活動を知ってくれているので、人に私を紹介する時に「彼はトラックメイカーで、文章も書いていて、映像も作っていて……」と丁寧に説明してくれて、それはものすごくありがたいのだが、呑んでる席とかだと相手が「ほほう、で、結局何者なのだろう……」というような顔になっていく(気がする)事態が多々ある。遮って力強く「無職です」と言ってみたい気もするが、今以上に変な空気になるだろうから、しない。東京に来て感じたことの一つに、自分としてはもう自虐とすら認識してない謙遜の入った自虐的な挨拶が、相手を戸惑わせている場面の多さだ。「マルチですね」みたいなことを言われて、別に本当にそれ以上でも以下でもなく「ま、器用貧乏とも言いますが」とか言うと、自分の感覚なら「ハッハッハ、またまた」くらいのリアクションで終わると思っていたものが「えっ……今、何か言いましたか?」みたいな顔をされる、といった具合。でも思考以前のコミュニケーションだからこれ変えるの難しいんですよね。どうしたらいいんだろう。ちなみに「マルチですね」と言われると一時は「そうなんですよ、シャンプーとかフライパン買いませんか?」と返して「そっちのマルチか~い!」とつっこまれるのを待っていたが、そんなやり取りは一切なく、ただその場にすきま風が吹くばかりであった。人を困らせてはいけない。

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