本当の夢
「本当の夢」っていったい何なのでしょうか。
自分がここで注目するのはかのんのキャラ設定です。
かのんはかつて「世界に歌を響かせる」という大きな目標をもって歌に励み、歌を愛し、歌を唱え続けたように思います。
しかし、彼女はそこで壁にぶつかったのです。
「多くの人が、自分を見ている」
「多くの人が、私の歌を楽しみにしてくれている」
そういった多くの期待が、純粋無垢に歌を楽しんでいた少女時代とは違って、多くの負荷やプレッシャーになって彼女を覆ったのです。
皆の期待に応えることができなくなったかのんは、自分の夢の大きさに改めて気づき、絶望を覚えたかもしれません。
そこからだんだんと夢への歩幅は小さくなっていき、やがて止まる。
「歌が歌えない」
「目の前の人たちに、自分の歌を届けることができない」
夢をあきらめるには十分すぎる絶望だったでしょう。
しかし、彼女は心のどこかで夢を捨てきることができないでいた。
彼女の歌声とともに、多くの歌を響かせてきたギターを捨てる、もしくは目の前から隠すことができなかった。
高校受験でも、彼女は歌を響かせることができず、目標であった音楽科への進学は叶わなかった。
「高校に入ったら、歌はやめる」
そう決心していた彼女、表面上ではそう語っていても簡単に諦められるような夢なんかじゃなかった。彼女はつい、口ずさんでしまいます。
自分が歌をあきらめても、歌は私をあきらめてくれなかった。
いつだって、私に光をくれた。
その光は無意識に、スクールアイドルに夢を見て国を飛び出した一人の女の子に届くのです。
可可の「スクールアイドルとして短い学生時間をより色鮮やかなものにしたい」という夢と、かのんの「世界に歌を響かせる」という夢は、近いようで遠い夢。しかし、通過点になりうるものでした。
熱烈な勧誘を幾度となく断っても、やっぱり夢をあきらめることができなかったかのん。彼女の夢は再び歩き始めました。
かのんは執着していた「歌」とともに、「スクールアイドル」にも惹かれていきます。それはやがて想いの輪としてすみれや千砂都、恋の心にも届き周囲を巻き込んでいくことになるのです。
「好き」が育つ、というのはそれに対しての気持ちがだんだんと大きくなっていくことだという解釈にします。
「いつの間にか」。つまり自分の意図しないところでだんだんと気持ちが大きくなっていた。「かのん」と「歌」の関係を表しているのではないでしょうか。かのんは意識的に歌を意識の外へと誘導していたようですが、これは人間の不思議なところですね。意識しないようにすると、逆に意識してしまうんです。一度意識してしまえば、それを意識外に持って行くことは極めて難しい。それが夢のピースであるならなおさらです。
嫌い嫌いも好きの内、といいますが歌えない時期もかのんは歌いたいと本心では叫んでいたはずです。そんなときに「一緒に歌おう」と言ってくれた可可。自分の気持ちに嘘をつくことを止め、自分の「好き」に正直になったかのんがその気持ちを歌にのせて歌った歌が「未来予報ハレルヤ」でしょう。
歌が歌えるようになったことで、また夢と正面から向き合えるようになったかのん。
ようやく、「スクールアイドル」として夢をかなえる道に帰ってくることができた。しかし、道のりは果てしなく遠い水平線の彼方。それでも一歩ずつ、歩き出す。自分の弱さを認め、周囲に助けてもらいながらがむしゃらに前だけ向いて夢へと走っていく姿。その姿に人は走る気力や、踏み出す勇気をもらうのだと、そう思います。
その過程を見ていくことが、私たちファンの最高の楽しみの一つでもあるのですから。
つまり、「本当の夢」とはかのんにとって「かつて諦めた夢、また輝き出した夢、諦めきれなかった夢」であると思います。
止まらない夢、自分が目をそらしていても夢は自分を誘ってくる。
様々な障害があってもそれを乗り越えて、乗り越え続けてそれでもつかみたい夢、実現させたい夢。それこそが本当の夢なのだと。
この曲がリリースされて、もうすぐ三年。
彼女たちの夢は、今なお遠い彼方で光り輝いています。
ただそれに向かって進んでいく彼女たちの足音は、いつの間にかどんどんと大きくなっていき、5人だった彼女たちの背中には、6人の後輩たちがそれを追いかけて走ってきています。
私たちも、同じ歩幅で進めていますか?
ファンからの応援は、変わらない熱量であなたたちに届いていますか?
そんな不安は、彼女たちの笑顔を見ればすぐに吹き飛んでどこかに行ってしまうのに、どこかそんな不安がいつも私を離さないで拭えない。
私の夢はまだ先の見えない彼方にある。
時に自分の足音が聞こえなくなった時もあったんだ。
そんな足を止めた自分が許せなくなって、自分はなんて愚かでダメな人間なんだと自分を恨んだ時もあったよ。
でもそんな奴の背中をさ、Liella!が押してくれたんだよ。
「諦めんなよ」って、「まだまだここからだよ」って。
「一緒に走ろう」って、手を差し出してくれたんだよ。
気づいたら曲を聞きながらボロボロに泣いててさ、「だっせぇ」ってまた自分に言ってやったけど。まだ走れてるんだ、前よりも笑顔で。
一回止まった地点から、すっと視界が開けていろんな視界でモノがみられるようになった。人に頼りまくることも覚えた。
Liella!に出会ってから、毎日が楽しくてしょうがない。
あなたたちが、私を笑顔にしてるんだよ。
この曲が、次のライブで聞けるかな。
聞けたら、きっと私は堪え切れないと思うけど、濁りまくった視界でも精一杯声援を届けて、日々の感謝を声にのせて伝えたいなと思います。
これを読んでくれた貴方の「本当の夢」は何ですか?
自分に一番期待しているのは、自分だ。
諦めずに、私と一緒に走りましょう。
立ち止まったら、彼女たちの歌を聞いてください。
きっと背中を押してくれます。
夢が、自分を光り輝かせるものになりますように。
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