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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第314回 大日本は神国なり(北畠親房)

大日本者神国也。天祖ハジメテ基ヲヒラキ、日神ナガク統ヲ伝給フ。我国ノミ此事アリ。異朝ニハ其タグヒナシ。此故ニ神国ト云也。
(大日本は神国である。天祖国常立尊が最初に国の基礎を開き、日神天照大神が永く皇統をお伝えになる。我国だけこの事が行われている。外国には例がない。その故に神国というのである)
 
 南朝の公卿、北畠親房(きたばたけ ちかふさ、1293~1354)の『神皇正統記』の冒頭。最初に自らの国家観を簡明直截に表明する。
 親房は村上源氏の流れを汲む名門に生まれる。後醍醐天皇の側近として頭角を顕わす。後醍醐の建武政権から足利尊氏が離反すると、楠正成らとともに尊氏と戦う。一度は尊氏を駆逐するが、九州から再び攻め上る尊氏の大軍に湊川の戦いで敗れた。京を脱出する後醍醐と合流し、吉野の行宮を南朝の根拠地とする。
 その後、関東地方に南朝勢力を拡大するために常陸の国に入り、5年にわたり活動する。その頃『神皇正統記』を書いたと言われる。しかし、南朝軍の内紛もあり、勢力拡大は失敗に終わる。
 吉野に帰還してからは、故後醍醐の後継者、後村上天皇を擁して南朝方の中心人物となった。しかし、1348年に四条畷の戦いで楠木正行が破れた後、南朝は次第に衰退していく。


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