私選 #315な本 THE 虎牙道編

今回はTHE 虎牙道です!

★THE 虎牙道
強そう。アイドルゲームなのに明らかに格ゲーのチームがいる。3人組とかもうそれはKOFのチームなんよ。
そしてライブを観たら殺陣が始まって「本当にアイドル!? いややってるの声優さん!? どういうこと!? なんで戦ってダンスして歌って息が切れないの?? もう何もわからねぇ……強いことだけはわかる……」と放心。
サイスタの3DMVが実装されても生身が一番動いてる……ほぁ……。


🔴大河タケル
牙はわかる。道もわかる。虎はどこから……?と気づくまでにめちゃくちゃ時間がかかった。名字か!!
Fateの藤村大河とタイガー道場のことを聞きかじってたのなら気づくべきだった……。
モバエムの幕切れが切なかったので、いつか妹さんに再会させてほしいよ……。
ポプマス固有衣装のスタンドマイクがあまりによかった。

詠坂雄二「亡霊ふたり」(創元推理文庫)

だが突き出された拳を頬に受けた瞬間、高橋は躰を開いて確保した首の自由を利用し頭を回転させた。殴った手応えを与えつつ、拳の威力を殺したのだ。

詠坂雄二『亡霊ふたり』創元推理文庫 96頁

「高校在学中に人をひとり殺す」という願望を抱くボクシング部の高橋和也と、名探偵志願の同級生若月ローコは廃校の亡霊という都市伝説に導かれるようにして出会う。「探偵に必要なのは謎に遭遇する能力」と公言し、あちこちに首を突っ込む若月を「標的」にしようとした高橋だが、成り行きで彼女とともに校内のちっぽけな謎を追いかけることになる。

  「学園ものミステリ」「ボーイ・ミーツ・ガール」と聞いて思い浮かべるイメージとは少し違う、乾いた雰囲気のハードボイルド青春小説。昏い願望を心に秘めながらも淡々と、時に若月やボクシング部員のバカ男子に振り回される高校生活を送る高橋の一人称視点がときどきタケルくんとオーバーラップする。中盤の試合描写も想像力を掻き立てられる。


🔴円城寺道流
「まぁまぁ落ち着け」の印象が強いので、年下ふたりを見守りつつ時には諫める余裕のあるお兄ちゃんタイプなのかと思いきや、それだけではなくてきちんと対等のライバルとして奮闘してるところを確かモバエムの踊り子映画のイベントで見て「おぉ……」となりました。あと虎牙道は全員大きい猫科っぽいイメージがあって、円城寺さんはライオンぽいなと思ってます。タケルくんは虎で牙崎は豹かな……。

近藤史恵「サクリファイス」(新潮文庫)

そして、ほとんど執着といえるほどの、勝利への強い意志。

近藤史恵『サクリファイス』新潮文庫 20頁

陸上競技から独特のチームプレイが求められる自転車競技に転向した白石誓はプロのロードレースチームに所属している。己の走りで勝利を目指すエースではなく、勝利のためにエースに尽くすアシストとしてのプライドを胸に各地を転戦するが、チームの不動のエースである石尾豪が3年前に新しいエース候補を再起不能に追いやったという噂を耳にする……。

  誰かを支える大切さも知ってるし、一番になりたいという負けず嫌いさも持ち合わせてるであろう円城寺さんに似合う作品を、となって思いついた1冊。競技も違うし、チームの勝利条件なども独特の世界だけど、自分がエースなら、アシストならと想像して読んでくれそうと思う。これについては「似合う」の中に「読んでほしい」の願望が多く含まれてますね。


🔴牙崎漣
ゲームで出会うと「急に罵ってくるやん……」と涙目になるけど、ライブ映像などを観てるとキャストさんがいろいろフォローしてて和む。
それはそれとしてめちゃくちゃ食べてるところは見てみたい。たい焼き大食い大会って何だ……しかも第2回……。
正直なところ「似合う……本……?」と自分からやり始めておきながら一番悩んだのですが、テイルズコラボのお仕事エピソードやオリピ香川、「さいこうの夜」シナリオあたりを見るにつけ、「どうも何か常人に知覚できないものがわかるっぽい?」から「なんだか彼自身が日本の伝奇ものの主人公みたいだな」という結論に至りました。美しい獣属性で出自があまりはっきりしておらず身体能力が高くて異能力あり。うん。まさしく伝奇。ならあれしかない。

夢枕獏「幻獣少年キマイラ」(角川文庫)

いずれ、その獣が、肉を食い破って体外に姿を現す時が来るのかもしれない。

夢枕獏『幻獣少年キマイラ』角川文庫 7頁

体の奥に潜む獣に食われる悪夢を見る高校生・大鳳吼。女性じみた美貌と闘争心のなさからいじめられやすく、入学早々にカツアゲに遭っていたところを学園の上級生・九十九に救われる。自分に正直に生きるために強くなりたいと願う吼は九十九の導きで円空拳の使い手・雲斎に弟子入りし、内に秘められた強さを引き出されていく。だが、学園の支配者・九鬼との宿命の出会いにより、吼の人生は大きく変わっていく。

  日本の伝奇ものも色々ありますが、伝奇の中でも肉弾戦の印象が強い夢枕獏の戦闘描写が非常に似合うと思うんですよね。
  主人公の気弱な素の姿はともかくとして、特殊メイクによりおぞましくて美しく強いキマイラになり闘う牙崎漣を夢想してしまう。これはテイルズコラボのイメージも強いですね。


おまけ。THE 虎牙道に似合いそうな本。

伯方雪日「誰もわたしを倒せない」(創元推理文庫)

「強いやつは強いやつとやりたくなっちまうんだよ。ルールとか、金とか、もう関係ない。どうしようもないんだ、これはよ」

伯方雪日『誰もわたしを倒せない』創元推理文庫 22頁

格闘技マニアの刑事・城島は髪を切られた覆面レスラーの死体の謎と、独特な魅力のある新人レスラー・犬飼に出会う。奇妙な縁によりその後もプロレス絡みの事件と犬飼に遭遇する城島。それぞれの事件の裏に横たわる「最強への渇望」は、どういう実を結ぶのか。

  プロレスを舞台にしたミステリではあるものの、その裏には「最強とは何か」という大きい謎が横たわっている、そんな小説。
  この本を持ってダ・ヴィンチ的な雑誌の表紙を飾るTHE 虎牙道の面々をいくらでも想像していたい。
  そういう「表紙(タイトルマッチ)が似合う」という観点もアリだな、というおまけ的な紹介でした。

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