言葉

アナタに伝えたくて
アナタに届けたくて
どうしようもないので
世界を区切ることにした
そうしたら
沢山のことを箱に詰め込んで
アナタに渡すことに成功した
それでも
伝えたかったのはそういうことじゃなくて
届けたかったのはこれだけじゃなくて
箱から零れ落ちたものを
かき集めてもかき集めても
全てをすくいきることは出来なくて
世界を区切り閉じ込められることを嘆いた
他の形の箱を探しても
誰もがその器の小ささを嘆き
また別の箱へと 縋って溺れて酔って

資料

code:01 人

人生の歩み方に正解はなく
こうしなければいけないとかこれが正解なんてやり方もなく
あるのはただ、これまで生きてきた人類の証
それによって生まれた大まかな流れによって
人生を 人間を 知った気になっている
これから生きるのか死ぬのかも 何も知らないのに
残された世界の歪みが 穢れが 呪いが
ただ 積んで詰んで摘まれていく
何が正しいか 間違いかもないが
才能を持ってしても救われない世界であることは確実で
理不尽で不明瞭で 縋って憐れむことしかできない 弱者

code:02 後天的先天性

後天的であろうが先天的であろうが
存在する人間がいて
先天性が正義だとか正解だとかは理解が及ばない
倫理だとか道徳だとか その基準は何であって
世の中に蔓延する思想の是非も
その時代の流れの中で変化していく
何が正解だとか 間違いだとか
果たして何を信じられるのか
一度疑ってしまえば その疑念が晴れることはない
ただその 繰り返し 繰り返し
その繰り返しをどこまで愛せるか
どこまで狂い続けられるか
その 繰り返し 繰り返し

code:03 後天的先天性2

新しい思想がかつての思想を殴り殺していく様子は何度も見てきた
それを そういうものなのだ と流し見していいものか
自分の思想はいくらでも愛せるが
他者の思想は読む気がない
少なからず排他的な傾向は残ったままであること
 
それでも今の僕が何者かになったとしたら
それは演じた僕であり嘘であること
それだけ僕はもう既に僕であること
そしてまた何者かになった後は
今の僕が嘘になること
環境がそうさせた だけでなく
僕は僕であることを選んでいることは確か
今 僕が僕であることも確か
それだけ絶対的な自己自信を持っていることも確か

code:xxx

生きなくてもいい
けれど
死ななくてもいい
そうなんじゃないかって 思えるように
そう 思いたいから

今 息が吸えない人に 少しでも空気を
今 息が苦しい人に 少しでも風を

手を伸ばしたくても伸ばせないような
本当に救いが必要な、懇願している、

本物を見ているような
本物を求めているような

そんな人の傍に 居られるように

code:04 純粋潔白

自分を潔白化することをやめたら
今度は他人を潔白化するようになった

違うんだよ、
潔白や純粋を求めているのは
他の人がこうしているからいい とかじゃないんだよ

確かに
かつては潔白以外を拒絶していたかもしれない
けれど
今はそれらの存在を知ったうえで
それらももちろん面白いとは思うけど

それでも潔白を求めているんだ
それでも潔白を愛しているんだ

code:05 救世主殺人

人の役に立とうとして
人の役に立って自分の価値を確かめたくて
人の役に立って自分の存在価値を見出したくて
自分はそこに必要な存在なのだと思いたくて
相手に自分の存在を植え付けたくて
沢山の人が人のことを思って言うから
一人ひとりの意見がいろいろになって混沌として
それでいてみんなして違うことを言うからさ
自己主張が共鳴して増幅してうるさくなって
もとの原型を失ったまま流れてきては
助けたかったはずの人を惑わせることになる
元の想いはみんな一緒のはずなのに
そこにエゴとか欲とか一人ひとりのそういうものが
たとえ微々たるものだったとしても
大量に混ざり合って毒素となって
また一人 人が殺された

code:06 世界

この世界の真実を知ろうとした人間が
今までに一人もいなかったはずなんてなくて
誰しもがこの世界の定理を導き出そうとしたはずだ
そうして名を残してきた人間は沢山いるのに
絶対的な定石を導き出した人間が未だかつていただろうか
 
破壊しては生産するを繰り返している
その破壊は
時に世界の外部から 時に世界の内部から
その大小もまちまちで
どこを世界とするのかで
生み出した枠組みからの見え方も変わる
 
滑稽で愚かで 何かとあれば抗いを繰り返す
この魂が燃え尽きるまで 続く
ごく自然な当たり前な誰もが知っている
 
決めなければ終わりも始まりもなくて
決めたとしても終わりも始まりもない
終わっているように見えるだけ
始まっているように見えるだけ
 
わかったような気がして
無限を知った気になっても
有限で無限を表せない
見えない世界を信じて

code:07 息

ぬいぐるみと話し続けていたら
命を吹き込めるようになったから
マネキンと話し始めるようになった
今度また、命を吹き込めるようになったなら
本当にこの世界はリアルになって
真っ白な壁と共に消えて行ける
ごめん
でも僕はこの世界が好きなんだ
今、どうしてもこの世界が好きなんだ
 
色の付け方を知らないのも本当
けれど 黒にも白にもなりたくないのも本当
何も見えないことは知っている
汚れていることが間違っていないことも知っている
 
けれど僕はやっぱり、どうしても
僕はこの世界を愛していて
 
無機物になりたい
 
だってそれは
必要不可欠でしょ?

code:??  ?

自己否定をしている
僕は僕であることを決めた
だから それによって捨てなければいけないこともある
我儘だ 僕はどちらにせよ 自己中心的だ ずっと
そう、自分のことを否定していたい そうやって僕を守っている
ダサい、嫌いだから どうにかしろ、気持ち悪い
怒れよ 嫌えよ 僕のこと 否定しろよ それならはっきりする

でも同じことを他人にしている
受け入れている 尊重している
体のいい自分を選んだのは僕だ

矛盾している
正論を求めていない
だが
正論で壊されたい 否定されたい
間違っていることを知っている
自分にとって間違いだともわかっている
けれど
わかっていない
目の前の人間を見ていない
机上の空論を続けた代償
梯子は燃えた

未来

永遠がほしい
明日は来なくていい
変わらないで
消えないで
考えたくないんだ
この先 のこと
生きていく こと
伝えたかったのに
このままじゃ伝えられない
断片的なこの世界では
届けられない
この箱は渡せない
不完全なのに
全てじゃないのに
ここにあるのに
おちたものたちを
置いてはいけない
捨てたくない 捨てられない
それでも世界は回っていく
それでも世界は繰り返される
光が行き届くことはない
始まらなければ生まれない
けれど既に生まれたものは
零れ落ちたものは
どうしよう

それでもアナタは
このプレゼントを喜ぶのだろうか

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