2024-6/13 CA -タンス預金への管理や制限の是非-

6月13日に3回生のゼミにて行われたCAについて

議題:タンス預金への管理や制限の是非

日経「新札発行前に減る1万円札、タンス預金に転機か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1110X0R10C24A5000000/

世の中に出回る1万円札が減っている。日銀の統計によると、4月末時点の発行高は約112兆8000億円で前年同月に比べて1.3%減った。他のお札が減るなかでも増加基調が続いてきた1万円札だが、1カ月後の7月3日に新札発行を控えて「タンス預金」に転機が訪れているのかもしれない。
日本人の現金に対する意識は少しずつ変わってきた可能性がある。日本人は現金志向が強く、財布に多額の現金を入れている人や、タンス預金として自宅に大金を置いておく人が多いといわれてきた。しかし、東短リサーチの加藤出社長は、1万円が減り始めた背景について「キャッシュレス決済の普及のほか、新型コロナウイルス禍で外出を控えると同時に現金保有を増やした人が多く、その分の保有がじわり減ってきている可能性がある」と分析する。
経済産業省によると、23年のキャッシュレス決済比率は39.3%で、毎年着実に伸びている。金融広報中央委員会の調査では「1万円超5万円以下」の資金決済について、日常的に現金を使うと答えた人は23年に26.5%となり、19年の48.5%から大幅に減った。
タンス預金は、低金利などの背景から、総額約50兆円に上ると言われており、大きな経済損失である。そのため、私は、国が個々人のタンス預金を管理することや制限することに賛成の立場で立論するので、みなさんは「現状通り管理するべきではない」という反対の立場から議論してください。

【前提条件】
「どのような管理や制限をするか」や「管理することの難しさ」についての議論も大歓迎だが、「そもそも管理することの是非」について焦点が当たる議論の方が即している。

〜前提条件に関するQA〜

Q:実施するのは今か?今後の話なのか?
A:長いスパンで

Q:タンス預金はどのようなものをさすのか(額など)
A:数十万、数百万などの金を家に置いておくものを指す

Q:管理することは申告しなければならない、これは管理に入らないのか?
A:しっかり制度として申告するという環境を整えるというイメージ

Q:銀行の紐付けは国民に対してのメリットがあるからわかる、がタンス預金に関しては他にもっとやるべきことがあるのでは。反感なども予想される上にメリットがないし実現性もない。
A:少子高齢化の解決などの大きな問題よりも管理体制を整えるだけで解決できる案件なのでコストを吐かずにできるため実現意義はなくても実現可能ではないか
Q:これは国民の協力あってのこと。現状申請していない国民はメリットがないため今後も協力しない可能性がある。→実現は難しいのではないか
A:

Q:さらに国で資産の管理が難しい状況になってしまうのではないか?
A:管理することのメリットとしては金をモノに変えるという観点ではトラブルにはつながらないのでは。トラブルを解消するという面から見ると成功しているのでは
Q:財宝もタンス預金と変わらない
A:

意見・論点


1. 遺産相続のトラブルになる可能性

タンス預金はその存在を証明する証拠がないため、故人の近親者などが無断で持ち去ったとしても証明できない。また、遺産相続手続きが終わった後にタンス預金が発見されるケースもある。その場合、遺産分割のやり直しや、相続税の修正申告が必要になるなどの手間やトラブルに繋がる。

2. 未申告で国が気づいていないタンス預金がある
タンス預金は申告する必要があるが、怠っていた場合は家宅捜査が行われ、本来よりも1.5倍ほど多い金額を納税する罰則が課せられる。しかし、数百万円単位のタンス預金でないと気づかれない場合が多い。

3. 管理や制限
マイナンバーカードへの紐付けによって、銀行への預金と同様にタンス預金を管理することで、上記の問題を解決し経済を活性化できる。

Q:マイナンバーの紐付けには誤登録、情報漏洩などの問題があるため、自分のお金に関わることなのにリスクがある。マイナンバー自体やる人が少ない。
A:確かに問題はあるが、今の預金残高をマイナンバーに紐付けることも情報漏洩になるため銀行預金とタンス預金ではあまり変わりはないのでは
Q:銀行預金の紐付けは任意、管理するのなら条例などを作るだろう。強制になってしまえば不安につながるのではないか?それもあり不安要素を付け足すことでよりマイナンバーを持つ人は少なくなるのでは。
A:不安要素は払拭できないが、それ以上に経済活性化などのメリットがある。

予想される反論・再反論

1. 遺産相続のトラブルになる可能性もあるが、相続時に口座が凍結されてもお金に困らないというメリットも
→トラブル回避は事前の行動が必要(タンス預金を明確にするなど)だが、お金不足は事後に解決(借金など)で対応できるため、過小な問題である。

Q:遺産相続の際にトラブルがあっても解決できる、それであれば意見論点1も過少な問題では?むしろ手続きが増えたりデメリットが増えるのでは?
A:確かに過少無問題かもしれないが、借金もそんなに手間ではないのでは。遺産相続などし直すのであれば複数人に迷惑がかかる。そのため借金をする側の手間はあまり変わらない。が、周りの人の手間は少なくなるのでは

2. 国が個人の資産を把握することは個人情報などの観点から違法ではないか
→マイナンバーで税務調査等以外では預金残高が確認されず問題になっていないため、同様の扱いなら問題ない。

3. 現状のままで大きな問題は出ていない
→現在タンス預金が減少しているが、新札発行によって、旧紙幣が使えないことや、旧紙幣の価値が上がることで、未使用の札が増えると考える。実際に前回の新札発行の後はタンス預金が増えたという見方もある。(参考文献3)

Q:長いスパンで考えるのであれば新しい紙幣に変わっている。キャッシュレスの方に進んでいる中でタンス預金が減少するという流れはばん弱。
Aタンス預金が今後も増えるのは心理的要因である

その他のQA

Q:新札発行しても旧札を使い続けることができる、旧札を新札に変えることもできるため、経済効果として新札が出るからと言っていい方向に行くのは違うのでは?
A:記事の入りとしてその文面は使っている。新札が出ることによって影響はないかもしれないが、心理的な面で焦りなどが出れば旧札を減らすという行動に出るのでは?

Q:現状、ある程度のリスクを承知の上で銀行にお金を預けている。合意をしない自由があるのが前提である。→つまり現金として保管することの自由(リスク管理も含め)があるのが前提。
強制的になるのでは経済的自由の妨げになるのでは?
A:タンス預金を禁止するのではなく、”管理する”というのであれば自由の妨げにならないのでは?

Q:銀行も100%ではない。その中で貯金に対する制度がある。40-50代から1000万以上貯金している。現状では1000万を越すと保証できない
A:一つの銀行で保証できるのは1000万+αではある。1000万以上持つ人は一つの銀行だけではなく複数に分けて預けることでルール上はリスクを犯さずに貯金をできるのでは?

Q:心理的なものが大きく関わっているのでは?一部の人の人格や価値観を否定してしまうため一概に管理というのは難しいのでは?怖いと思う人は怖いのでは
A:現金派は年寄りが多い。施策として預金管理を考えると将来はキャッシュレスが主流でありそのような方々はいなくなる。集団心理で現金派の人もキャッシュレスになるのでは?
Q:現金派の人は年寄りだからという意見もあるが、心理的な理由という意味では国の制度の不安感や信頼がないというのも要因である。自分の財産を自分で守るという概念を持つ人の権利をも保証されるべきである。
A:先ほどの再反論は集団心理の前振り。確かにそのような人の権利の補償はされるべき。だがタンス預金をなくすではなく管理なので権利の侵害にはならないのでは

参考文献・URL

  1. 永浜利広,2024年,「新札発行前に減る1万円札、タンス預金に転機か」,日本経済新聞,(2024年6月11日,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1110X0R10C24A5000000/).

  2. 清田幸佑,最終更新年,「タンス預金のメリットは5つ!相続税対策には使えないため注意が必要」,申告相談プラザ,(2024年6月11日,https://www.zeirisi.co.jp/souzokuzei-taisaku/keep-money-under-the-mattress/).

  3. 熊野 英生,2024年,「タンス預金が減っている」,株式会社第一生命経済研究所,(2024/06/11,https://www.dlri.co.jp/report/macro/302416.html).

相続税申告のあすか,2023年,「バレなきゃ勝ち?タンス預金をこっそり相続するのは危険です」,(2024年6月11日,https://setsuzei-souzoku.jp/blog/chestdeposit/).

先生からのコメント

休眠口座(銀行口座に金が入ってるが本人が気づいていない状況) など強制徴収するなという問題もある。
金は天下の回りものという教育がなっていない。貯金しろ預金しろなどは言われてきているがそれが国民の貯金好きに繋がっている。これは預金した金が金庫に眠っていると国民は思っていたが本来は違う。
預金、投資などに関するお金がどこに行ってどのように使われるかという認識が足りていない。認識、教育ができていればタンス預金をする人が多くなるのではないか。


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