武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダーシップ特論Ⅱ 第一回 三澤直加さん 5月18日

「これから」を描き仕事

新型コロナの影響により、新学期が大分遅れたが、武蔵野美術大学大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコースは5月18日にようやくオンライン形式で授業を始めた。
昨年に続き、2年目のクリエイティブリーダーシップ特論 第一回では、株式会社グラグリッドの代表である三澤直加さんがいらっしゃったのだ。稀にあるオンライ授業だが、今までの対面授業に負けず、高いクオリティな話を聞けた。

三澤さんはデザイン、リサーチの豊富な経験と、卓越したファシリテーション技術で、商品開発におけるコンサルタントを行う。家電や情報機器のデザインから、女性の産後リハビリサービス、福島県の復興支援事業など、幅広いデザイン業務に従事。特に、グラフィックレコーディング、グラフィックファシリテーションの活用では、協働促進、内省促進、発想の飛躍、情報発信の強化など、多くの成果を生み出し、新たな可能性を開拓し続けている。

截屏2020-05-22 19.34.02

三澤さんが代表であるグラグリッドは、

デザイン思考やさまざまな手法を効果的に活用しながら、ともに戦略をつくり出す共創型サービスデザインファームだ。事業戦略やブランド力の強化を支援する「ビジョンづくり」から、イノベーション創出を支援する「商品づくり」、クリエイティブな組織文化醸成を支援する「組織づくり」まで、幅広くサポートする。
ビジュアルシンキング、ブランディング、ファシリテーションという3つの専門性をもっている。

国際化と高度情報化、人口の減少が進みつつある時代、或いは市場こそ、教育や医療、物流などいろんな領域の仕事の仕方を変えなくては追いつかないと深く実感しているので、三澤さんも含め、沢山の先行者がイノベーションを求め作り出している。


「未知のものと向き合い、作り出す」5つのケース

ケース1 未知のことを考える、創造的思考法を教える
新宿区の落合第六小学校「みらい科」授業:今まで多くある「議論は多数決」、「正解を求めてしまう小学生」という状況の中では、グラフィックレコーディングの力で、創造力を養い、概念化/抽象化する方法を教えたいという校長先生の思いに従い、始めたプロジェクトだ。
「みらい科」授業では、「ノートの概念から解放」、「たとえる楽しさをしる」、「いろんな書き方を見る」と3つの目標をもって行った。

このケースでは、私個人的にすごく気になるのは、こういう「創造的」教育を受けた子供たちは、本当に創造的な人材になるのでしょうか。自分の成長を振り返ってみたが、小学校の頃こういう授業を受けなくても、時には「創造的な考え」が勝手に出てくる。正解を求めてないとか、正解などそもそも存在しないかもとかと思ってしまう。しかし、どんどん「創造的」に考えなくなるのは、年をとるにつれて周りの環境に抑えられたからかもしれない。何を言いたいというと、こういう小学生の成長プロセスを共に確保しないといけないのではないかと。
もちろん、一段階の試行は無意味だとは言ってない。ただ、一段階の試行より本当に難しい「段階間(小学校から中学、中学から高校…)の継続をいかに守るか?いかにデザインするか?」という問題を避けているように感じてしまったのだ。

ケース2 思いを伝え合い、未来の地図をつくる世界に拠点をもつブランドのサプライチェーンマネジメントチームでのプロジェクト:刻々と変化する市場では、物流の戦略が重要になってきたと実感し、共通のビジョンを作っていきたい。
ステップとしては:キーマンの考えを聞く→1人ひとりが感じたことをシェアする→共通のキーワードを抽出しながら、一つの世界観を模索する

ケース3 自分の心に問いかけ、ツールをつくる
経営戦略やワークショップをやっても、個人のやりたいことが明確でないと進めない。つまり、1人ひとりがもつ熱意と原動力を引き出すために、自分の心に問いかけ、自分のビジョンを明確にする。

截屏2020-05-22 20.47.09

ケース4 理想的な未来の体験を関係者と共創する
150年近くの歴史をもつ梅光学院の新校舎建設PJ:地域の人と交流できる新しい拠点として、文化の交流点としての役割を果たす場所だ。

ケース5 地域の魅力を発見し、ブランディングする
福島県郡山市 地域デザイングプロジェクト:自分たちの地域には何もないと思い込んでしまう問題と行政、民間の活動は分断するといった問題に向き合い、「共創のプロジェクトで地域発のブランドづくり。


三澤さんの考えをまとめて言うと、自ら考えず、既定な社会規則に沿って「正解」というものだけを求めつつ、或いは一般認識が正解であるという「かたい」、「正気のない」社会と人々を「一人ひとりが活きいきと未来を創造し、仕組みを生み出すことができる」社会にするのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?