ダンスワークショップ in わかち座

鈴木ユキオ「0からはじめるカラダ」
わかち座ダンス普及事業説明会レポ
【後編】・・・・・その1

ここからはアーティストトークの様子を掲載します。
登壇者は(下の写真左から)野村政之さん、鈴木ユキオさん、安次嶺菜緒さん、司白身。
(文中敬称略)
終始和やかな雰囲気で、一般参加者も交え相互に質問を交わしながらトークを展開しました。

☆司「アーティストトークを始めさせていただきます。私も参加しました『20のカラダの証』(2017年7月)、久々に観て思い出すことなどありますか?」

☆ユキオ「みんな若かった(笑)自分も(笑)」

☆司「3〜4年でこんなに変わっちゃうんだ(笑)」

☆ユキオ「白身さんも出てたけど、カラダ変わってますね」

☆菜緒「うん、変わったー♡」

☆ユキオ「カラダが、こう(肩が固まった状態)だった。でも今はこう(緩んでる)。

みんな変化しているのがよくわかります。時間の経過を感じられて楽しいです。

白身さんは定期的にワークショップ(WS)を受けてくれていて、少しずつ意識が変わってきて、カラダも確実に変化してくる。意識するだけで変わって来ることあるけれど、知らないと意識することもできない。

時々専門の人からアドバイスを受けると、日常生活や、ほんの単純なことでも『あ、そうなんだ』って意識やカラダが変化するんです。その人に合ったヒントでカラダがぐぐっと変われる。意識がカラダにつながっているんです」

☆司「私自身は、ダンスはやった事なかったのですが、演劇の人に誘われて始めました。はじめはコンテンポラリーダンスが何かもわからなかった。参加してみたら、年齢も環境も様々な人たちがそれぞれにやり甲斐を見つけて充実してて、不思議に感じました。でも、やってみるとわかるんです。意識したいことが出てくる。『競う』とか『より多くを得たい』とかでもなく、それぞれ気付きがあって、それぞれが向き合っているうちにみんなで創っている状態になっている。

参加すればきっとわかるけど、参加するまでがハードルがあったりして大事だと思うんです。なので、この企画で、ユキオさんのこと菜緒さんのことを知ってもらいたいだけでなく、少しでもその感覚を共有できる人を演劇とかダンスとか区別なく地域で探したい、共有したい、シェアしたい。そう思っています。その先のことはまだわからないけれど、まずはそこから始めたいです」

☆野村「(司に)その後も継続してWSに通いたいと思った理由は?」

☆司「誰に教わるかが大事と思う。

ユキオさんの伝え方が自分には伝わりやすかった。ダンスの言葉ではなく『自分のカラダが実感できる言い方』をしてくれた、やったことなくても、その時のカラダの状態がどういう感じかわかる感じがしたんです。『ただ姿勢を良くして〜』じゃなくて、カラダのどこに力を入れるとか具体的な言葉で伝えてくれて。頭じゃなくてカラダが感じられる、『意識』からダンスに向かい合うという感じが自分に合ってたと思います。

それをみんなでやってみたら楽しいんじゃないかな、と」

☆ユキオ「私はダンス出身ではなく、大人になってからはじめたので、何でダンスの人はそうなるんだろう?(・・・ていう)

ダンスをやってきた人は、当たり前過ぎて気付かない事。例えば、立つときには皆ダンサーモードの姿勢で立つところからはじまる・・・

なぜそう立つの?みたいなこと(ギモン)から始まっている。

自分自身がダンスに対して疑問を持って向かい合うところから始めたから、今WSなどで説明するときに伝わりやすいのかもしれませんね。

でも決して私自身出来上がっているわけではなく、今、自分が凄いダンスを踊れているとも思ってないし、だからこそ、考え続けて言葉にするというその過程を見せ続けるしかないのかな、とも思います。

ある有名なダンサーの作品に出演させてもらいお話をしたのですが、そんな凄いダンサーでもご自分のカラダにコンプレックスがあって、そこと向かい合っていらっしゃる感じがしてハッとしました。側からみたら完璧に見えるほど活躍している人でもそんな風に思うこともあるんだって・・・。

(司に質問) ここで(WSを)やることの意味は?

☆司「ここはブルーベリーの直売所。私は農業で生計を立てて、ここに住んでいる人間なので、生活と表現は区別していたんです。

生活では地元とつながるので、表現は単に自分のやりたい事だから、ちょっと他所へ行ってやろうって感覚でやっていました。

でも、もういい歳だし自分に許可出してあげなきゃって。

それで、こういう場所があるなら活用してみようかなって考えになって、少しずつ自分を開いて、やっていることを打ち明けて。

それと同時にここも少しずつ、夫の力を借りながら改造していって・・・・・。

そしたら、『私も表現、演劇やってたよ』とか『ダンスやってたよ』っていう人たちと知り合えた。

自分が閉ざしていれば、いつまでも居心地わるかったけど開いてしまうと、勇気要るけど、同じように生活を持ちながら演劇やダンスに興味があってプロではないけど本気でやりたいとか、何かを吸収したいとか得たいとか欲がある人と知り合えて、楽しいんです。

真剣になっちゃってもいいじゃん。たとえ家庭があっても、いろんな境遇があっても、いろんな世代とか立場とかを超えて何か集えるというか、何か自分だけじゃなくてここを活用できればいいなと。

ビジョンは見えているようで見えてないんだけど、つながれる相手は遠くばかりじゃなくてきっと近くにもいて、開きさえすれば、旗を挙げればひとりでもふたりでも興味を持って始めて行けるかなって。

生活と表現活動が自分では切り離せないんですよ。

田舎に住んで農業やっての生活も否定できないし表現も否定できない。

もう、ここから始める!という感じ。

☆司「(菜緒さんに質問)『20のカラダの証』の時は菜緒さんはまだ妊婦さんじゃなくて『Roomer』の時は、娘さんのそらちゃんが居て・・・・・。

女性も男性も家庭を持ったり仕事や環境があったりで、一人でフリーでやってた頃とは違ってくるじゃないですか。それをどうやって乗り越えて、パートナーがユキオさんで理解や支えもあると思うですけど、どうやってやり繰りしているのですか?」

☆菜緒「うまくやり繰りできてるかわからないですが、私の場合、東京でカンパニーメンバーとリハーサルやクリエイションがあるのですが、そういうところに(そらちゃんを)連れて行っています。そうすると、みんな遊んでくれたりとか・・・。

もちろん、みんなの助けや優しさに甘えているところもあると思います。

でも、今の社会では、身近に子どもと触れ合う機会が少なくなってるとか、子供に限らず、自分と違う人たちと会う機会が凄く減ってる気がするんです。

だから、ちょっとだけ『私がみんなに迷惑を掛けてしまうという勇気』を出して、連れ出して行くことで、この子もいろんな人に会えるし、みんなにとってもこんなちっちゃい子に会える機会が作れるのではないかと。

そうやってちょっとずついろんな人の人生がまじっていけばいいなと思っています。

誰でもできるとは思わないけれど、ありがたいことに私には、それを許してくれる環境があるから、『みんなに迷惑を掛ける』という勇気を出して、みんなに甘えてるだけです。

生きていく上で、知らないことを知ることって大事だと思うので、ちょっとでも自分の生き方の中でそういう機会をつくれればいいな、と。

これから、どう出来るかはわからないけれど。

そして、この場所もそういう場所になるんではないかと・・・・・」

☆司「自分も勇気を出して一緒にやりませんか?って、ここに来ている皆さんにも強く思うし、自分も知らないことがあるのでここが全てのことに心地よく使える場所とは限らないけれど、いろいろ言ってもらいながらこちらも改善していったりとか。

何かが始められたらいいな、と思っています」

☆ユキオ「(昔のダンスの場には?)子どもが入り込むことは怖い、いけないというか、難しかった」

☆野村「アリ一匹入れないというか、緊張感」

☆ユキオ「けっこう現場の緊張感があったと思います。

職人さんの世界的なのがあって、人にもよるけど(子どもを)連れて行こうなんて思いつきもしなかった。

時代が変わって理解する人も増えてきたこともあったり、海外の情報が入ってきたり、海外へ出掛ける人も多いので、劇場や稽古場の雰囲気も変わってきますよね。

海外に行くと、小さなスペース、ここもそうですけど、こういうスペースっていっぱいあるんですね。レジデンス施設とか。

けっこうアーティストが普通に子ども連れて来たり、こういう施設に普通に犬が飼われたりとかして、すごいいい空気や文化があるんです。

人が立ち寄る場所という雰囲気というか。そういう姿を知ると、日本でもどんどん、『あっ、そういう感じいいよね』って言う人が増えて来るし。

現にそういうふうになって来ているような気はします。時代の流れもだんだん自由になってくるし。

そうじゃないと、特に女性のアーティストは大変になっちゃう。

どんどん変わっていけたら・・・・・。

意外とスタッフさんや関係者の方も、チビを連れていくと喜んでくれるんです。和やかになってピリピリしないんです。

自分も創作現場に入ると、ついついピリピリしちゃうけど、子どもがいてみんなが和んでくれると、自分自身もゆとりを持てたりして、いいところもあるなあと実際思いますね。

いろんな職業、農業やってる人も、プロじゃなくても、いろんなタイプの人が一緒に何かできたりたとか、触れ合う機会ができたりとか、いいことだと思いますね。

子どもにとっても、いろんな人に会えるし、とってもいいことだなぁって思いますね」

☆司「とてもいいお話を・・・・・♡」

☆野村「さっき白身さんは、『生活はここで、やりたい表現やダンスや演劇は他所で』って言ってましたけど、それってちょっと前だったら当たり前だったかもしれない。

突き詰める場所は突き詰める場所で、生活はまたべつの場所でっていう・・・・・。

だけどやっぱり世の中全体が、どうやって続けていけるか、社会全体の営みも続けていかなきゃいけないってときに、そうやって分けていくんじゃなくて、生活の上に上手く乗せたりとか交わらせたりとかいうことは、みんな試みてきはじめたと思います。そして、長野県っていう場所から考えると、小諸でも佐久地域でもこういうものに触れる場所が遠くにしかないと生活の幅が逆に狭まっちゃう。

今日も、ここから近い人が来てくれてると思うし、ここで出会える環境があれば何かそういう人たちにとっても生活の一部が変わって行くような出来事になるんじゃないかなという期待を私もしています。

ところで、以前、近所や周りの人間関係の中で、ダンスや演劇のことを共有できる人とかは増えてきているんですか?」

☆司「自分がオープンになったことで、自分の話を聞いてくれる人が増え、さらに外に働きかけられるようになったと思います。

たとえば、そこに座っている小諸高校の演劇部の顧問の先生と学生さんにも声を掛けられるようになったっていうか。若い頃は(近くの人には)ふれずに外に場所を探してましたから。

でも、私もいい歳になったし、逆に一生懸命活躍している人を応援したいとも思うようになって。

自分は高校演劇とか経験がないのでわからない世界なんですけど、エネルギーとかすごく共感できるからっていうのもあります。

あと、こちらに座っている方は、息子同士が小、中、高と一緒で、当時、保護者の中では私が表現やってるって事は内緒にして触れない感じだったんだけど、何故かこの方には打ち明けられちゃったっていうか、今日も来てくれたりして、ちょっとずつ自分が開いて打ち明けちゃうと受け入れてくれる人がいて・・・・・

っていうことの積重ね。

菜緒さんが、『勇気』って言ったんですけど、自分も勇気出さなきゃな、とか。

誰かが開けてくれるまで待っててもいいんだけど、自分もキッカケがあってこういう状態になったから、今度は自分がちょっと開くと近くでエネルギー持ってる表現やってる人だったり、興味があったりする人と知り合えるから・・・・・

答えになってるかな。何を質問されたんだか(笑)」

☆野村「いやいや、もうすでにここに白身さんが打ち明けたことの効果が(参加者を見渡して)現れているっていうお答えだったので(笑)」

☆司「ほんとにありがたいです」


・・・・・・・・・以降、その2へ続きます。

ここで「鈴木ユキオダンスワークショップ
『0からはじめるカラダ』」の参加者募集のお知らせです。
ダンス未経験の方大歓迎です!
地域で創造的な活動を始めてみませんか。
ダンスを通して一緒に場を育みませんか?
▼日時
10月17日(日)13:00〜16:00
11月23日(火祝)13:00〜16:00
❈鈴木ユキオさんによるワークショップのあいだの期間に、週に1回程度直売所に集まって、復習や練習をする時間を設けます。一緒に、創造的で楽しい場を育てていきましょう。
▼会場
ブルーベリーガーデン黒岩直売所
▼対象
高校生、一般
❈18歳以下の参加には保護者の承諾が必要です。
▼定員
各回6名程度
▼参加費
高校生:無料 一般:各回 2,500円
▼応募締切
10月15日(金)必着

メールか電話にて、氏名・性別・連絡先・応募のキッカケをおつたえの上お申し込みください。
▼お問合せ・お申込み
わかち座(担当:司)
メール: wakachiza@gmail.com
電話: 080-5108-5544

ブルーベリーガーデン黒岩直売所
小諸市御影新田966-1

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