忍殺TRPGリプレイ【アイ・オブ・ザ・タイガー】01

邦題：虎視眈々と（Eye Of The Tiger）

　ドーモ、三宅つのです。これは、クランデスティン＝サンのシナリオ案「アイスティーラーの事務所」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。

　挑むのは、このコンビです。

◆キルキラー（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　６　　　　体力　　　　　　　　６
ニューロン　　　　　５　　　　精神力　　　　　　　５
ワザマエ　　　　　　３＞６　　脚力　　　　　　　　４
ジツ　　　　　　　　０　　　　万札　　　　　　　４３＞１９
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　２

◇装備や特記事項
◉常人の三倍の脚力：脚力＋１、連続側転難易度－１
▶生体LAN端子LV１：ニューロン判定ダイス＋２、イニシアチブ＋１
○生い立ち：キラーマシーン教育　ニューロン－１、ワザマエ＋１
　◉知識：犯罪
◆オーガニック・スシ：体力３回復（使い捨て）
○立ち位置や性格：反抗心や嫌悪

能力値合計：１４＞１７　回避ダイス：６

　前回の冒険で余暇4日。ワザマエが弱点なので重点的に鍛え、万札6を支払って2D6で鍛錬する。1日目は[11]＝2＜3＝失敗、蓄積1。2日目は[45]＝9+1＞3＝成功。4に上昇。3日目は[61]＝7＞4＝成功。5に上昇。4日目は[26]＝8＞5＝成功、6に上昇。万札6×4＝24を消費しワザマエを6まで鍛え上げた。能力値的に弱点がほぼなくなり、駆け出しとは思えぬ強さだ。

◆ヴェノムパピヨン（種別：ニンジャ）
カラテ　　　　　　　４＞５　　体力　　　　　　　　４＞５
ニューロン　　　　　５＞６　　精神力　　　　　　　６＞７
ワザマエ　　　　　　６　　　　脚力　　　　　　　　３
ジツ　　　　　　　　２＞３　　万札　　　　　　　３４＞１７
ＤＫＫ　　　　　　　０　　　　名声　　　　　　　　２

◇装備や特記事項
☆カナシバリ・ジツLV３
　隣接する３×３マスの敵全員に精神力ダメージ１（回避NORMAL）
　回避できなかったモータル全員はターン終了まで一切行動不能となる
　効果範囲内の敵１体をカナシバリにする（ニューロン抵抗難易度HARD）
　　カナシバリ：術者の次の手番開始までその場から動けず、
　　　行動の判定難易度＋２、敵からの攻撃・射撃難易度－２される
　　　体力か精神力にダメージを受けると、そのフェイズの終わりに解除
◉魅了（ゼゲン・ジツ）：ニューロン＋ジツで発動判定（NORMAL）、精神攻撃
　６マス以内で視線が通るモブ敵モータル１体を戦闘不能に　出目６６でもう１体

◆ウィルス入りフロッピー：ハッキング判定ダイス＋３（使い捨て）
◆*ブラッドジュエル*：パーソナルメンポ扱い、精神力と緊急回避ダイス＋１

○生い立ち：言いくるめ：モータルハント時万札＋１
　◉交渉：欺き、誘惑
○立ち位置や性格：違和感や外部存在（別のバースから来た可能性がある）

能力値合計：１９＞２３　回避ダイス：６　緊急回避ダイス：１

　前回の冒険で余暇4日。1日目は獲得したマキモノを使ってジツ値を3まで上げる。2日目はスキル「魅了」を万札5で購入。精神力消費なしでモブ1体を排除できる便利なジツだ。続いてカラテ、ニューロンを万札6で鍛錬。[45]＝9＞4＝成功、[26]＝8＞5＝成功。万札17を消費した。

　元シナリオは壁越え前PC3-4人を想定していますが、能力値も高いですし2人でなんとかなるでしょう。前回に続きヤクザの事務所へのカチコミで、ヴェノムパピヨンは3連続ですね。しかしこれには宇宙的理由があります。

◇🎲◇

これまでのあらすじ

　ネオサイタマ、デスタニ・ストリート。ふたりのニュービーニンジャ、キルキラーとヴェノムパピヨンは、上司ソニックブームからのIRC通信を受けて新たなミッションに挑むことになった。先日ふたりが滅ぼして奪い取ったブラッドタヌキ・ヤクザクランの事務所とは向かい合わせの雑居ビルへ。

　そこに、ブラッドタヌキの分派であるデッドリータヌキ・ヤクザクランの事務所がある。ヤクザクランは頻繁に離合集散を行い、その政治的関係は実際複雑怪奇だ。吹けば飛ぶような零細ヤクザクランであったデッドリータヌキは、本家筋のブラッドタヌキが滅ぼされたことからヨージンボを雇った。

　ニンジャに対抗するにはニンジャだ。ネオサイタマにはフリーランスのニンジャ傭兵がしばしばおり、デッドリータヌキのオヤブンであるテラジ・ワタヌキはツテを頼ってニンジャを高額で雇いこんだ。だがそのニンジャ・アイスティーラーはオヤブンや主だったヤクザを殺し、クランを奪ったのだ。

　アイスティーラーは狂っており、手当り次第にモータルを殺しては、目をくり抜いてコレクションしている猟奇殺人犯だ。一刻も早く彼の暴虐を止めなければ、周辺の治安がさらに悪化してミカジメの入りも悪くなる。キルキラーとヴェノムパピヨンはそうしたわけで派遣された。急がねばなるまい。

『キルキラー＝サンは殺人犯を殺すのが趣味だってなァ。思う存分やって来いや。生き残りのヤクザどもは、殺すなり従えるなり好きにしろ』ソニックブームはそう告げると、いつものようにマーシレスフィンガーにナビゲートを任せた。『それじゃ、今回もヨロシクね。だいぶ私慣れて来たよ』

事務所前

　間取りなどの情報は既に調査されている。ブラッドタヌキとはやや異なる構造で、比較的シンプルだ。応接室とオヤブン室は広く、その間にいくつか部屋がある。「この真ん中のでかい部屋は何だ？」『このクラン、零細のくせしてメキシコライオン飼ってるよ。その飼育室。注意してね』「了解」

　メキシコライオンはメキシコ産の獰猛な肉食獣で、並の人間なら50人がかりでも倒せない。ニンジャでも時々トレーニングルームに放たれたメキシコライオンに殺される者がいる。スルーするのがいいだろう。「捕まえたらうちで飼っていい？」「飼育代がかかるだろ。ソウカイヤに引き取って貰え」

　こうした猛獣を飼育することは、クランの威厳と財力、恐ろしさをアピールする方法として行われているが、有力なクランでなければ飼育は難しい。「メキシコタヌキじゃねえのかよ」『メキシコにタヌキいるとは聞いたことないね』タヌキは獰猛な肉食獣で、狡猾さと凶暴さで知られている。

タヌキ - Wikipedia

　応接室の傍らには、セラミック製のワータヌキ像がある。クランを象徴するトーテムだが、両目が破壊されている。アイスティーラーの仕業か。

　コモンランダムトレジャー、1D6の出目は[5]＝トロ粉末（精神力2回復、使い捨て）。ジツ使いのヴェノムパピヨンが持つ。

　ワータヌキ像を探ると、トロ粉末が隠されていた。「ちょうどいいわね、もらっとくわ」前回と同じく略奪は自由。生殺与奪も自由だ。アジトの経営のためにも、ヤクザを何人か奴隷としてゲットしておきたい。オイランやハッカー、イタマエはなおさらだ。「さて、カチコミと行くか」「準備OKよ」

応接室

　隙間から中を窺う。クローンヤクザが両壁際に各3、その奥にヤクザ。「配置が面倒ね。イチモ・ダジーンにしにくい」ヴェノムパピヨンのカナシバリ・ジツは、3メートル四方の範囲の敵に精神攻撃をかけ一瞬行動不能にできるが、この配置では壁際のクローンヤクザ3体ずつしか攻撃できない。

「入って右側はあんたがやれ。左側は俺だ」「了解」多少は反撃を受けるだろうが、ニンジャなら銃撃程度は回避できる。3体をひるませ、1体を倒せば残り4人。物の数ではない。「じゃ、行くわよ」「いち、にの」

「「さん！」」カチコミだ！

戦闘開始

◆クローンヤクザY-11型（種別：モータル/バイオ生物/クローンヤクザ）×６
カラテ　　　　　　　１　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
▶粗悪サイバネアイ
◆チャカ・ガン

◆ショットガンヤクザ（種別：モータル/ヤクザ）×２
カラテ　　　　　　　２　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　２　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
▶粗悪サイバネアイ
◆ショットガン：ダメージ２

イニシアチブ：キルキラー/KK＆ヴェノムパピヨン/VP（6）→ショットガンヤクザ/SY（2）→クローンヤクザ/CY（1）

1ターン目

　まずはキルキラーが連続側転エントリー！「イヤーッ！」

6D6で難易度EASY、[651215]＝成功。入って左奥のSY1体へミネウチ・キック！6D6で難易度HARD、[215321]＝成功。左SYが気絶。VPは3マス進んで右壁際のCY3体へカナシバリ。9D6で[242241333]＝成功。右CY3体に精神力1ダメージ＆1ターン行動不能。

「グワーッ！」左奥のショットガンヤクザがミネウチ・キックを頭部に食らい昏倒！「カナシバリ・ジツ！イヤーッ！」ヴェノムパピヨンが両目を怪しく輝かせる！「「「グワーッ！」」」右壁際のクローンヤクザ3体が行動不能、手前の1体はカナシバリにかかる！「ドカマテッパダラー！？」

右SYは目の前のKKへ、左CY3体はVPへ射撃。3D6が4つで[516][162][633][614]＝全員成功。KKは8D6、VPは6D6でまとめて回避。[13134432][154265]＝成功。VPの残り精神力6、CY3体は0。

　右奥のヤクザが粗悪なサイバネアイを輝かせ、目の前のキルキラーめがけてショットガンを発射！「「「スッゾコラー！」」」ほぼ同時に、左壁際のクローンヤクザ3体がチャカ・ガンをヴェノムパピヨンへ発射！BLAMN！BLAMBLAMBLAM！「「イヤーッ！」」ふたりのニンジャは難なく回避！

2ターン目

「右側だが、こいつも潰しとくぜ！イヤーッ！」キルキラーはもうひとりのショットガンヤクザへ振り向きざまにミネウチ・キック！

6D6[645352]＝成功。VPは再びカナシバリ・ジツ、9D6[566143211]＝成功。SYとCY3体が昏倒。左壁際CY3体はVPへ射撃、[216][255][445]＝成功。VPは6D6[233552]＝回避。VPの残り精神力5。

「グワーッ！」ショットガンヤクザ昏倒！「イヤーッ！」「「「ムン」」」左壁際クローンヤクザ3体昏倒！「「「ザッケンナコラー！」」」右壁際クローンヤクザ一斉射撃！「イヤーッ！」ヴェノムパピヨンは回避！「後はカラテよ」「了解！」カナシバリ・ジツはカトンなどよりやや燃費が悪い。

3-4ターン目

6D6[331455]＝成功、5D6[43356]＝成功。残りCY1体がVPへ3D6[332]＝失敗。KKが6D6[246343]＝成功。応接室ヤクザ全滅。合計万札8をプール。

「「イヤーッ！」」「「グワーッ！」」「アッコラー！」BLAM！「イヤーッ！」「イヤーッ！」「グワーッ！」たちまち応接室ヤクザ8名全滅！

戦闘終了

「ふん、こんなもんか」キルキラーとヴェノムパピヨンは昏倒したヤクザたちを手早く縛り上げる。ダメージはあれど、蘇生できる程度に手加減はした。リアルヤクザもクローンヤクザも決してタダではない。リサイクルし、有効に活用せねば。「……なんか、妙ね」「ア？」

「こいつら全員、両目とも粗悪なサイバネアイになってる。クローンヤクザは埋込式サイバーサングラスをブチ抜いてまで」「アイスティーラーって野郎の趣味だな。ナマの目はコレクションしたんだ」キルキラーは唾を吐く。「クソ野郎だ」「性別は不明だってさ」「クソ変態野郎だ」

　応接室には金目になりそうなものはない。ふたりは奥へと進む。ドアを開けると廊下で、左の突き当りにまたドアがあり、その右に奥へ通じる通路。「一応、調べてみるか」

トイレ

　ドアに「トイレ」と書かれている。当然、鍵やトラップのたぐいはない。中はタタミ2枚ほどのごく狭いトイレだ。便器がひとつあるだけで、隅には芳香剤のにおいを放つ大きなワータヌキ像が置かれている。「大したものはなさそうか？」「なんか……気になるわね」「におうか」

ニューロン判定、難易度HARD。7D6と6D6で[2126462][225323]＝成功。

　ふたりがワータヌキ像を調べると、中の空洞に人間大の生物の気配あり。誰かが中に潜んでいるのだ。「……女の子のにおいがするわ」ヴェノムパピヨンは鼻をひくつかせ、舌なめずりした。奴隷オイランでも隠しているのだろうか。キルキラーはコンコンとワータヌキ像をノックする。「モシモシ」

ワザマエ判定、難易度HARD。6D6を2つで[234664][555122]＝成功。

　反響音を聴き、よく観察すると、ワータヌキ像の背後に狭い穴がある。細身のヴェノムパピヨンなら入れそうだ。しゃがんで中を窺うと、果たして少女が中で震えている。「アイエ……助けて……殺さないで……」「お嬢ちゃん、ダイジョブよ。危害は加えないわ」ヴェノムパピヨンが猫撫で声を出す。

交渉。ワザマエかニューロンで判定、難易度HARD。「誘惑」「共感」で+1され、7D6で[5631154]＝成功。

　少女はやや警戒を解き、ワータヌキ像の背後の穴から顔を出した。ハイスクール学生の制服を着ており、夜の湖めいて暗く澄んだ瞳の美少女である。「ドーモ、私はジュミカ・ワタヌキです。このデッドリータヌキ・ヤクザクランのオヤブン、テラジ・ワタヌキの娘です。あなたたちは？」

もっとももいろね式美少女メーカー

◆ジュミカ・ワタヌキ（種別：モータル/女子高生）
カラテ　　　　　　　１　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　２　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　２　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　２

◇装備や特記事項
◇カルマ：善
◆護身用ショック・ジュッテ

　ヴェノムパピヨンは頬を緩めた。ツヅリと違い胸は標準的だが、これまたなかなかの上玉だ。「ドーモ、カワヒラです」「ヤジマです」ニンジャネームを伏せてアイサツ。「とあるヤクザの下っ端よ。ここがヤバいことになってるって聞いて調査に来たの。だいたいは把握してるけど、なぜここに？」

　ジュミカは目を伏せる。「その……父が殺された時、ここに咄嗟に隠れたのです。ワータヌキ像が守ってくれるから……。水と食料は少し持ち込んだので、数日は持ったのですが、見つかればどうなるか怖くて、外へ出ることもできず」彼女は震えた。「どうか助けてください。お願いします！」

　ヴェノムパピヨンはにっこり笑い、彼女の手をとった。「もちろんよ。私たち、悪いやつを退治に来たの。安心して」「アッハイ」「あー、ジュミカ＝サン。このヤクザクランの連中は、生かしておいたがいいか？」キルキラーが声をかける。「は、ハイ。みんな優しいヤクザです。お願いします」

　優しいヤクザなんかいるかよ、とキルキラーは言い返しそうになったが、やめておいた。彼も彼なりに社会常識はある。オヤブンの娘で美少女だから、身内として大切にされてはきたのだろう。「あと、なんかメキシコライオンがいるって聞いたが」「ハイ、アミーゴ君です」

「アミーゴ君？」「あの、父が奮発して買ってくれて。私によく懐いていました。今は、どうなっているか……」「あんたを連れて行く……ってのも、危ないか。ここに隠れてな。遭遇したら殺さねえようにする」「アッハイ、お願いします」ジュミカは頭を下げた。ブッダはようやく目を覚ましたのだ。

……その時。

「GRRRRR……！」外から獣の唸り声。「カチコミダー！」「スッゾ！」クローンヤクザの声。なるほど、事務所防衛のためにメキシコライオンを廊下に放したわけだ。「アイエエエ！」「ここでじっとしてて。アミーゴ君は必ず無事に捕まえるわ」「クローンヤクザもな。ちゃっちゃとやるぜ」

廊下

　ジュミカはふたりからアイスティーラーと同じパワーを感じた。彼らは、ニンジャだ。直感的にわかる。ならば可能！彼女は頷いてワ―タヌキ像の中に身を隠した。ふたりのニンジャはトイレの外に出る。「GRRRRRR……！」メキシコライオンのエントリーだ！

Photo by Nick R on Unsplash

◆メキシコライオンのアミーゴ君（種別：危険生物）
カラテ　　　　　　　８　　　　体力　　　　　　　　８
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　２
ワザマエ　　　　　　４　　　　脚力　　　　　　　　４
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　０

◇装備や特記事項
▶粗悪サイバネアイ
◉連続攻撃２、突撃（脚力の２倍移動、痛打＋１）

◆クローンヤクザY-11型（種別：モータル/バイオ生物/クローンヤクザ）×２
カラテ　　　　　　　１　　　　体力　　　　　　　　１
ニューロン　　　　　１　　　　精神力　　　　　　　１
ワザマエ　　　　　　３　　　　脚力　　　　　　　　２
ジツ　　　　　　　　－　　　　万札　　　　　　　　１

◇装備や特記事項
▶粗悪サイバネアイ
◆チャカ・ガン

　長い鎖に繋がれたメキシコライオンの右目は痛々しくえぐり取られ、やはり粗悪なサイバネアイに置換されている。失われた視力を回復させることはできようが、軍用サイバネアイほどの効果は見込めない。そして苦痛と薬物によって怒り狂っており、恐るべきキリングオーラを放っている！

「たかが猫一匹、ニンジャに敵うかよ」「カナシバリが効くはず。あなたはクローンヤクザを」「チッ、了解」一触即発アトモスフィア！

戦闘開始

イニシアチブ：キルキラー/KK＆ヴェノムパピヨン/VP（6）→メキシコライオン/ML＆クローンヤクザ/CY（1）

1ターン目

「イヤーッ！」キルキラーが連続側転しミネウチ・キック！

6D6[654652]、6D6[434624]＝成功。後列のCY1体を倒し回避ダイス+2。VPは進み出てカナシバリ・ジツ、9D6[615225365]＝成功。MLがカナシバリ、CYが1ターン行動不能。VPの残り精神力4、MLは2、CYは0。

「アバーッ！」クローンヤクザ1体を倒す！「カナシバリ・ジツ！」ヴェノムパピヨンが進み出て目を光らせる！「GROWL！」「グワーッ！」メキシコライオンとクローンヤクザ行動不能！ゴウランガ！

2ターン目

「イヤーッ！」キルキラーが振り向きざまにキック！

6D6[244513]＝成功。VPはMLへ「魅了」を発動、9D6[652643663]＝6成功＆ナムアミダブツ！MLは戦闘不能！

「アバーッ！」クローンヤクザ昏倒！ヴェノムパピヨンは両目にジツの力を集中させ、メキシコライオンと目をあわせる！精神構造が異なるであろう動物にも効くかどうか不明だが、ニンジャの大部分はほ乳類だ！効くと信じるべし！「ゼゲン・ジツ！イヤーッ！」「GROWL！？」ナムサン！効いた！

「ゴロニャァァァン……」メキシコライオンはキリングオーラを納め、マタタビを嗅いだ猫のように、ごろりと仰向けになり腹出し降参！

戦闘終了

「おとなしくなったわ」「やるじゃねえか」ヴェノムパピヨンはライオンの喉を撫でてやる。「この子、オスね。メスならよかったわ」「あんたはケモノ趣味もあんのかよ」「ないけど」トイレからおずおずとジュミカが顔を出した。「ほ、本当に……あの、あなたたち、ニンジャですよね？」

　ふたりは顔を見合わせ頷く。「ああ、そうだ」「そうよ。だから大丈夫。安心して任せておいて」ジュミカは深々とオジギすると、倒れたクローンヤクザの腰から鍵束を取った。そしてメキシコライオンの首輪に合う鍵を見つけ出すと、外してやる。鎖から自由になった。「どういうつもり？」

　ジュミカは両膝をつき、真剣な表情で告げた。「アミーゴ君を連れて行ってください。きっと役に立ちます！」「相手はニンジャだ。メキシコライオンといえど、無傷ってわけにゃあいくまい」「覚悟の上です。盾にでも伏兵にでも使ってください。これは父の仇討ちです。私の代わりに、この子が」

『悪くはないと思うね。筋も通るし、理にもかなってるよ』ナビゲーターは賛同した。キルキラーとヴェノムパピヨンはしばし考え、頷く。彼女の覚悟を無碍にするのも良くなかろう。「アンブッシュ要員として、ドアの脇に控えさせておくわ。合図したら出てきて」「そんなことができるかねえ」

　ジュミカは頷く。「賢い子です。『アミーゴ！』と叫べば飛んで来ます。片目を奪われた恨みを覚えているはず」ジュミカがライオンの喉を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らした。そして四本脚で立ち上がり、ニンジャたちに頭を下げたのだ。「よし。あんたはトイレにいて、ヤバそうなら逃げろ」

「ハイ。ヨロシクオネガイシマス」ジュミカはオジギを繰り返し、トイレへ戻っていった。「案外タフな子ね」「将来は女オヤブンだな」

【続く】

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