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忍殺TRPGリプレイ【イフ・ユー・ゴー・アヘッド、ユール・ゲット・ツー】01

邦題:進めば二つ手に入る(If you go ahead, you'll get two)

 ドーモ、三宅つのです。これは海中劣=サンのソロシナリオ「ニンジャになった日」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 モータルのアウトローが仲間とともに脱走し、戦い、死に、ニンジャソウルがディセンションするシナリオです。前につのもAoSスレイトを真似てそのようなシナリオを作り、プレイして新たなニンジャを生み出しました。今回は原作小説「ウェン・ザ・サン・バーンズ・レッド」が元ネタのひとつとされていますが、それを元にしたシナリオもリプレイしましたね。繋げることもできるでしょう。「シー・ノー・イーヴル・ニンジャ」のように刑務所から脱出するシチュエーションもできるというわけです。

PC作成

 では、例によって新たなモータルアウトローPCを作成します。まず生い立ち表を振るとD66[41]=オイランドロイド偏愛。すなわちNERDZです。いきなり左寄りになった気がしますがいいでしょう。レリックとして「ブードゥー/聖遺物」を初期装備し、初期知識は1D4[1]=オイランドロイド。性別は奇数なら男性、偶数なら女性として1D6[2]=女性。パラノーマル=サンやフレイムツルギ=サンとかぶりますがいいとしましょう。あるいはオイランドロイドを偏愛し過ぎて性転換した男性かも知れません。

 モータルのアウトローPCは、ダイスロールではなくカラテ・ニューロン・ワザマエに9ポイントを任意に割り振って基本能力値を決定します(元シナリオでは11ポイントスクラッチですが、今回はこうします)。各能力値のスタート時の最大値は4で、ジツ値は持ちません。脚力の最低値は2となり、好きな知識系スキル1個を持ち、万札30+ローン10までで装備やサイバネや◉スキル(1個万札10)を購入できます(単品万札10まで)。

 知識系スキルをD66で決めると、[44]=ザイバツ。そこらのモータルがザイバツについて知っているとは思えませんから、おそらく彼女はザイバツニンジャの奴隷オイランでしょう。そこから脱出するというわけです。であればオイランドロイドを偏愛しているのにも闇がありそうですね。秀でた能力もないとして、基礎能力値は3ずつとします。難易度Hで回避できるため一般的なモータルよりは強いですが、ニンジャには敵いません。

 オイランドロイド偏愛者ですからサイバネは入れているでしょう。万札30で生体LAN端子、サイバネアイ、クロームハートを入れます。ザイバツニンジャならオーガニックな奴隷オイランを愛好しそうですが、デスナイトみたいにそういう趣味のやつもいるのでしょう。オイランドロイドが自我を得たウキヨとしてもいいですが、ブラックマドンナ=サンとかぶりますね。

 名前は、つのが前に作ったランダム人名ジェネレーターを使います。名字は4D6[2341]=Bの表3の4-1、庄司。個人名は源氏名で3D6[453]=藤壺。ショージ・フジツボ=サンです。男性的な名前ですがいいとしましょう。すぐニンジャネームに変わりますが。整理すると、こうです。

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◆ショージ・フジツボ(種別:モータル)
カラテ       3    体力        4
ニューロン     3    精神力       5
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        -    万札        0
名声        1

攻撃/射撃/機先/電脳  3/ 5/ 4/ 5
回避/精密/側転/発動  3/ 4/ -/ -
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1
▶クロームハートLV1:体力と精神力+1
◆ブードゥー/聖遺物:精神力+1

◇スキル
○生い立ち:オイランドロイド偏愛
◉知識:オイランドロイド、ザイバツ

能力値合計:9

 ウキフネ=サンよりは奥ゆかしいですが、なかなかの戦闘力を持つタフなサイバネオイランです。傭兵やアサシン、パラディンとしても活躍できるでしょう。銃は装備していませんが、スリケンがあれば済みます。

 では、始めます。

◆◆◆

 キョート共和国、アンダーガイオン某所。

「コロセ!」「コロセ!」「コロセ!」タタミ1ダースの広さを持ち、鉄より硬いバイオバンブーの柵で囲まれた闘技場。「コロセ!」「コロセ!」「コロセ!」なんたるマッポーか。観客たちは薬物をキメて興奮し、残虐で好色な視線を対戦者たちに向ける。フジツボと向き合うのは、女だった。

名字は[6231]=オバラ、個人名は女性の童名で振って3D6[622]=ハナ。

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◆オバラ・ハナ(種別:モータル/女子高生)
カラテ       2    体力        2
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        -    万札        0
名声        1

攻撃/射撃/機先/電脳  2/ 5/ 4/ 5
回避/精密/側転/発動  3/ 4/ -/ -
即応ダイス:0 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1

◇スキル
○生い立ち:錠前破り 罠や鍵の解除判定ダイス+1
◉知識:カチグミエリア、ファッション、現代的アート
◉交渉:誘惑

能力値合計:7
 一般市民扱いとして元シナリオより強化しました。UHで回避可能です。

「アイエエエ……!ナンデ……グスッ、ナンデ、私がこんなところに」相手の女、女子高生のオバラ・ハナは、まるでわけがわからない。日帰り日焼けサロン感覚でサイバネクリニックを訪れ、サイバネアイを入れる手術を行うため麻酔をかけられ、気がつけばここだ。「運がなかったのさ、アンタ」

 フジツボはため息をつき、ファイティングポーズをとった。「女子高生収容所の噂は聞いたことないかい。ここは……そこじゃないけど、それに近い場所。ジゴクだよ」「アイエエエ!」ハナは泣きながら防御姿勢をとった。確かに時々万引きはしてきたが、それに対するブッダの罰だというのか。

「コロセー!」「いたぶれーッ!」「泣いちゃってる!カワイイ!」「フィーヒヒヒ!」観客たちは興奮し、柵を掴んで揺さぶる。ここは非合法な地下格闘場のひとつ。これは場を暖めるためのデモンストレーション・マッチ。拉致された女子高生など弱者に血を流させ、観客を熱狂させるためのもの。

「ハジメテ!」タダオーン!レフェリーの声が響き、無慈悲に銅鑼が打ち鳴らされる。「アイエエエ!タスケテーッ!オカアサーン!」ハナはハンズアップし、泣き叫んだ。だが、降伏は認められていない。

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ(一騎打ち):フジツボ/SF&ハナ/OH(4・2)
SFは駆け寄ってカラテ、3D6[445]3成功。OHは3D6[561]回避!OHは反撃、2D6[36]1成功。SFは[35]回避。SFはカラテ、3D6[526]2成功。OHは1ダメージを受け残り体力1!OHは反撃、2D6[52]1成功。SFは[2]命中!残り体力3。

「イヤーッ!」フジツボは駆け寄ってハナの顔面へパンチを繰り出す!「ひいッ!」ハナは必死でしゃがみ回避!「ち、チクショ!イヤーッ!」ハナは泣きじゃくりながらフジツボへ殴り掛かる!「イヤーッ!」だがフジツボはサイバネアイで動きを読み回避!迎撃のキックを繰り出す!KRASH!

「ンアーッ!」顎を蹴り上げられ、ハナは鼻血を噴いてのけぞり、仰向けに地面に倒れた!「ウオーッ!」「いいぞ!やれーッ!」観客たちは大喜び!なんたるマッポーか!「アアーッ!」ハナは泣き叫びながら必死の抵抗!「ンアーッ!」フジツボはわざと押し倒される!キャットファイトだ!

2ターン目

SFはカラテ、3D6[215]1成功。OHは3D6[616]成功&迎撃!SFは[5]回避!OHは反撃、[35]1成功。SFは[66]回避&迎撃!OHは1ダメージを受け昏倒。

「イヤーッ!」フジツボはハナの衣服を掴み、トモエ投げ!「フヌーッ!」ハナは死物狂いで抵抗し、これを振りほどき、マウント状態でパンチを繰り出す!なんたるガッツだ!「イヤーッ!」だがフジツボはこれをガードし、横に転がってハナを押し倒すと、鼻柱に強烈なパンチを叩き込む!KRASH!

「ンアーッ……ムン」ハナは白目をむいて気絶し、フジツボは埃を払いながら立ち上がった。「勝者、ショージ・フジツボ=サン」「「「ワオオーッ!」」」「気絶しちゃったァー!カワイイ!」「フィーヒヒヒ!」観客たちは熱狂し、続く試合に期待を高める。フジツボたちの出番はここまでだ。

戦闘終了

???

 フジツボは気絶したハナを担ぎ上げ、控室へ戻る。オイランドロイドでないのが惜しいが、勝者には敗者を好きにする権利が与えられている。つかの間の休息と、スシとサケ、オンセンまでも。だがそれもまた、誰かの見世物になる。ここはジゴクなのだ。プライバシーはほとんど存在していない。

SFはワザマエで交渉判定、難易度N。4D6[2156]成功。即応ダイス+2。

 フジツボは目を覚まして治療を受けたハナと、密かにLAN直結した。無防備なニューロンを直接繋ぐことから、無軌道な若者やハッカーからは接吻や前後とも見られており、これもまた見世物のうちではある。だが……情報のやりとりはできる。幸いにも、大したチェックは受けることなく。

『ドーモ、ショージ・フジツボです』『ドーモ、オバラ・ハナです』『いいやられっぷりだったよ。観客も湧いてた』『演技じゃないです』『真剣さがあれば評価されるのさ』『でも、相手が男じゃなくてよかったです。顔がいい女性で』『そういう趣味?』『そうでもないですけど』他愛無い会話。

調査判定、ニューロンかワザマエで難易度N。5D6[65614]成功。緊急回避ダイス+1。

 命を握られているという恐怖と、上の言うことを聞いていれば与えられる快楽。このムチとアメをもってしても、フジツボから反抗心という名の牙を抜くことはできなかった。否、このハナが見せた反抗心が、消えかけていた彼女の反抗心を燃え立たせた。二人は互いに協力し、脱走する計画を練る。

 このままでは、二人とも死ぬまでこのままだ。奴隷オイランや奴隷戦士として使い潰され、一生を終える。フジツボはそうなりたくなかった。つい先日も、一人の哀れな奴隷オイランが死ぬのを見たばかりだ。ハナがそうなるのは……いやだと思った。ハナも当然、ここにとどまるつもりはない。

???

「……とでも思っていたのだろう? ドーモ、コックファイターです」

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◆コックファイター(種別:ニンジャ)
カラテ       4    体力        5
ニューロン     4    精神力       5
ワザマエ      6    脚力        3/N
ジツ        0    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳  5/ 7/ 4/ 4
回避/精密/側転/発動  6/ 6/ 6/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品:特になし
◇ジツやスキル
◉ニンジャソウルの闇(1):体力及び攻撃・射撃・ジツ発動+1
◉邪悪なサディスト:カルマ善の敵への攻撃ダイス+2
 ボス級の敵1人を殺すか殺伐出目2以上の効果を与えるたび精神力1回復
 (敵がカルマ善なら2回復)

能力値合計:14
 イメジはブラックバンタム=サンの使いまわしです。闘鶏を英語でコックファイトといい、そのerです。だいぶ弱体化させました。
現有精神力5でNRS判定、難易度N。SFは5D6[52514]成功。OHは2D6[11]失敗![4]=ドゲザし失禁、精神力に1ダメージ(残り1)。ターン終了まで麻痺状態となる。

 アンダーガイオンの下水道。地下格闘場の支配人はアイサツした。その背後には埋込式サイバーサングラスをつけた黒服ヤクザがおり、チャカガンを構えている。彼らの足元には、同じ顔の別の黒服ヤクザに押さえつけられたハナ。こちらにはチャカガンもドス・ダガーもない。「……ニンジャ

 フジツボは本能的な恐怖を憶え、そう呟いた。ニンジャ。フィクションの怪物が、目の前に。「そォうだ。おれはニンジャだ。貴様らモータルとは次元の異なる強者。真の支配者だ」コックファイターは肩を揺すって嘲笑う。「そして、おれの所属する組織はな。ザイバツ・シャドーギルドという」

 彼は自慢げに鼻を鳴らした。「このキョートを支配する、真のニンジャ組織だ!」彼は師匠のブラックバンタムを失い、アデプトにもなれぬままアンダーガイオンで汚れ稼業に勤しむだけのサンシタであるが、それゆえにモータルをいたぶり、搾取することを大いに好む、歪んだ性格であった。

「アイエエエ……!」ハナは震え上がり、泣きながらしめやかに失禁した。どうしてこんなことに。途中までは順調だった。事前に想定した通りに事が進み、あと少しでこのクソッタレの施設から抜け出し、自由を掴み取れるはず、だった。だが計画は露見していた。ブッダの掌のマジックモンキーだ。

「タスケテ……」ハナは懇願した。「助かりてェのか?じゃあ、こいつのように奴隷オイランになれ」「ハイ」ハナは頷いた。「フジツボ=サンも助けて下さい」「それはできんなァ。こいつは愚かにもおれに逆らい、逃げようとした。殺す……のも、もったいないか。いたぶって楽しませてもらう」

 フジツボは……カラテを構えた。彼女の中の反抗心がそうしろと命じた。このままハンズアップし、なすがままにされれば、命は助かる。ハナも命は助かる。だが、心が死ぬ。人間としての尊厳が死ぬ!「ほう。恐れずに立ち向かおうというのか。モータルが、ニンジャに? カワイイものよ!」

 コックファイターは嘲笑い、闘鶏めいて片脚をあげ、両腕を広げた。「ならば、我がカラテ鍛錬のたしにしてくれよう。安心しろ、殺しはせん!」「やってみろ!」フジツボは叫んだ!一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

【続く】

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