忍殺TRPGリプレイ【リーヴ・オール・ビハインド】01
ドーモ、三宅つのです。これはゴルダ=アルカトラス=サンのソロシナリオ案「ソニックブームに無理矢理有給を取らせろ!」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
タイトル通り、カロウシしそうなソニックブーム=サンになんとかして有給休暇を取らせ、憩わせるミッションです。しかしつの次元の彼は割と常識人で、常に過労気味とはいえ上司や部下に休めと言われたら素直に休みますし、オキナワやオンセンにも行きます。ただ現在ソウカイヤはオナタカミ・ザイバツ・ウチコワシを敵に回して危機にあり、おちおち有給も取りにくいでしょう。ニンジャスレイヤーや敵対組織のエージェントとしてソニックブーム=サンを襲撃し、永遠の休暇を与えるとしてもいいですが……。
とりあえず最新版の彼を見てみましょう。
◆ソニックブーム(種別:ニンジャ)
カラテ 12 体力 12
ニューロン 6 精神力 14
ワザマエ 10 脚力 6/N
ジツ 5 万札 50
攻撃/射撃/機先/電脳 12/10/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 12/10/10/11
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:3
◇装備や所持品
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避+1
◆伝統的ニンジャブレーサー:緊急回避+2
◆ヤクザスーツ&ヤクザシューズ(伝統的礼装):精神力+1
◇ジツやスキル
☆カゼ・ニンジャクラン、ジツLV5
★◉◉ソニックカラテ衝撃波:体力か精神力を1消費し戦闘スタイル選択
射撃用:連発(ダメージ2、連射5)
収束(ダメージ3、連射2、時間差)
乱打(ダメージ1、連射10)
素手用:リーチ+2、痛打+1 隣接している敵には攻撃不能
◉◉グレーター級ソウルの力:精神力をニューロン+ジツで算出
◉◉タツジン:ボックスカラテ 連続攻撃+1、近接攻撃の出目6成功時に痛打+1
●戦闘スタイル:精密ジャブ連打
ワザマエで攻撃、連続攻撃+2、標的1体固定、ダメージ1固定、敵の迎撃不能
●戦闘スタイル:ボックスカラテ連打 集中&精神力1&回避2を消費し発動
連続攻撃+2、標的1体固定、殺伐発生せず
精神力2消費すると連続攻撃+3されるが、戦闘終了まで連続攻撃+n使用不可
●ワザ:ハートブレイカー 出目666で発動
痛打+1、回避H 連続攻撃が残っていれば敵は回避不能(殺伐なし)
◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック
回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合に発生(ターン中1回のみ)
迎撃ダメージD3、回避UH
体力ダメージを与えた敵のニューロンとワザマエに2ダメージ
●連続攻撃2、連射2
◉知識:ヤクザの流儀、ソウカイヤ、高級嗜好品、悪趣味な服 記憶
◉交渉:威圧、煽り 記憶
◉忠誠心:ソウカイヤ 精神力+1
能力値合計:38
彼に挑むのは誰になるのでしょうか。では始めます。
◆◆◆
序
ネオサイタマ東部、99マイルズ・ベイ。ソウカイ・シンジケート仮本部、スカウト部門事務所。ウシミツ・アワーにも関わらず、ここは常に電灯が点き、ニンジャや事務員が忙しく立ち働いている。表の顔であるネコソギ・ファンドならともかく、暗黒非合法暴力組織に労働基準法は存在しない。
だいたいウシミツ・アワーなど、非合法活動を行うニンジャ・エージェントらにとっては最も活発に動くべき時だ。ネオサイタマも、オムラの工場地帯も、寝る間も惜しんで活動しているのだ。まして今はオナタカミ・ザイバツ・ウチコワシが手を組み、ソウカイヤに敵対している危険な状況である。
寸刻を惜しみ、命を削ってでも働かねば、敵対組織に野良ニンジャを次々と引き抜かれる。幸いニンジャスレイヤーの活動はしばらく収まっているものの、ヤバい状況に変わりはない。スカウト部門筆頭・ソニックブームは、かくして今宵も何日めかの徹夜業務である。「休暇んで下さいよ」
報告に来たデンパルスは、ソニックブームの様子を見て眉根を寄せた。「休むのも仕事のうちッスよ。身体破壊されたら迷惑ッス」「わあってる」ソニックブームは、バリキドリンクとザゼンドリンクをチャンポンにしてイッキした。「あと一息だ」
「ったく……」と、別のニンジャが入室した。「ドーモ、ヘルカイトです」シックスゲイツの「六人」の一人にして斥候部門筆頭だ。
「ドーモ、ソニックブームです」「デンパルスです」互いにオジギ。「何の用だ」「ゲイトキーパー=サンから、様子を見てこいと言われてな」「ゲイトキーパー=サンから?」「働きすぎだ。このゴタゴタが終わったらしばらく休暇をとり、オンセンで英気を養え」「ゴタゴタが終わったらな」
ソニックブームはUNIXモニタから目を離さない。その目は充血し、デスクには目薬やドリンクの空き瓶が散乱している。限界だ。「そう言うと思ったぞ」ヘルカイトはスキットルを取り出し、デスクの上に置いた。「差し入れだ。リー先生特製の栄養ドリンクだ。これでもうしばらく持つだろう」
「ありがとよ」ソニックブームはうつろな目でそれを受け取ると、無造作に蓋を空け、仰向けになってイッキした。「ちょ、ちょっと」デンパルスが慌てた。「此儘じゃ真実で過労死ッスよ!」「そうなったら、お前がスカウト部門を担えばよかろう」
「縁起でもない……」どたん。グオーッ……グオーッ……!ソニックブームはデスクに突っ伏し、高いびきをかき始めた。「え」「効き目が早いな」ヘルカイトは踵を返した。「そのまま寝かせておけ。クローンヤクザに拘束させてオンセンへ送る」「ちょ、ちょっと!」デンパルスは慌てふためいた。
「睡眠薬スか?」「そんなようなものだ」ヘルカイトがIRCで連絡すると、拘束クローンヤクザ部隊が事務所に突入!ナムサン!「アー……ま、仕方ないか。こうでもしないと……」デンパルスは苦笑した。
???
……ソニックブームは目を覚ました。天井を見上げながら。「ア?ンダッコラー……?」見知らぬ、否、見覚えのある天井だ。トレーニングルーム。ニュービーたちにカラテの稽古をつけてやる場所だ。背中にはドージョー・タタミの感触とにおい。いつの間にかジュー・ウェアに着替えている。
「おやおや、どうしましたァ?」癇に障る声が降ってくる。「おねんねにはまだ早いですよォ、ソニックブーム=サァン?」「ウルッセーゾコラー……スッゾコラー!」ソニックブームは堪忍袋を温め、飛び起きた!「うっ?」「お疲れのようですねェ。やめときますか?病院とか行きますかァ?」
「テメェ……!?」ソニックブームは眉根を寄せ、脂汗を流した。ヘラヘラと笑いながら挑発してくるのは、見覚えのある顔だ。背丈や体格は、自分と同じ。まとっているのはジュー・ウェアではなく、白いヤクザスーツだ。メンポはつけず、真ん中分けの黒髪の下に笑顔を浮かべ、目を細めている。
「テメッ……コラー!?」「フフフフ」相手は両腕を体の両脇にピッタリとつけ、胡散臭い笑顔をこちらに向けたまま、深々とオジギした。「ドーモ、ソニックブーム=サン。フマトニです。お会いできて嬉しいです」
「……ドーモ、ソニックブームです」やむなくアイサツを返す。相手はニンジャだ。それも……「なぜここに?って表情ですねェ。私はあなたの、変装した姿に過ぎないというのに?」「テメェ……ザイバツのニンジャか?これはジツか?」ソニックブームは警戒する。カラテなら自信はあるが……。
以前戦ったメンタリストのように、搦め手のジツを交えた敵は恐ろしい。ゲン・ジツのたぐいか。あり得る。そして姿かたちを真似ただけではない。自分と同じ、確かなカラテがある!「さあてね。とりあえず、カラテ勝負といきましょうか。ノー・カラテ、ノー・ニンジャでしょう?フフフ」
フマトニはカラテを構えた。ソニックブームと同じ、ソニックカラテの構えを!「上等だッコラー……チャースイテッコラー!」ソニックブームはキアイを入れ、同じ構えをとる!一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
「スッゾコラー!」BOOMBOOMBOOM!ソニックブームが一瞬ハヤイ!距離を保ちながら恐るべきジェット・ツキを三連打!SMASH!「グワーッ!」命中!だがフマトニは笑いながらジェット・ツキで反撃!「イヤーッ!」BOOMBOOMBOOM!「グゥワーッ!」ソニックブームは弾き飛ばされる!
「スッゾ……コラー!」BOOMBOOMBOOM!反撃のジェット・ツキだ!「イヤーッ!」回避!フマトニは中腰に構えてジェット・ツキ!「イヤーッ!」BOOMBOOMBOOM!「ウオーッ!」ソニックブームはかろうじて回避!「ハハハハ!私の方が強いようですねェ!」フマトニは嘲笑う!
「テメッコラー……ザッケンナコラー!」ソニックブームは流血を拭いながら、マントラめいたヤクザスラングを吐き散らす。我ながらなんたる強さ!ダメージはこちらの方がやや大きい。このままではジリー・プアー(訳注:徐々に不利)だ!そして彼は一体何者なのか?答えは、カラテあるのみだ!
戦闘継続
【続く】
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