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忍殺TRPGリプレイ【アトロシティ・エキシビション】02

 前回のあらすじ:ツキジ・ダンジョンにて、サワタリ率いるサヴァイヴァー・ドージョーを追い詰めたフライングレッグスたちソウカイニンジャチーム。だがしんがりに手こずっている間にトラップを仕掛けられ、取り逃がしたうえ味方のゾンビーニンジャ・ガーデナーと分断されてしまう……。

 KRAASH!三人とガーデナーの間に巨大な柱が倒れ込み、粉塵をあげる!「分断されたぞ」「仕方ない、逃げよう!」「おう!」三人はやむなくガーデナーを見捨て、もと来た道を急ぎ駆け抜ける!ズズズズズ……ズゥン……!「「「ハァ、ハァ、ハァ……」」」三人は息を荒げ、後ろを振り返った。

「取り逃がした上、ガーデナー=サンは行方知れずか。ちょいと厳しい結果になったな」「ツキジ・ダンジョンから奴らを駆逐することには成功したと言える。あるいは別の道を探すか」三人は開けた場所でIRC端末を操作し、上司に報告・連絡して相談する。「モシモシ、フライングレッグスです」

ダンゴウ

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『ドーモ、ラオモト・チバです。……フン、わかった。リー先生に繋ぐぞ』「ハイ」『……イヒヒーッ!ドーモ、リー・アラキです!我がINW(イモータル・ニンジャ・ワークショップ)のガーデナー=サンは役に立っているかね!?』「ハイ、それが……」フライングレッグスは事情を伝える。

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『……なるほど!ガーデナー=サンは見ての通り無思考低知能の自動機械めいたゾンビーニンジャ。どうやら排除命令を律儀に守ったまま追撃に移行したようなんだねェー!頭部のサイバネアイ・カメラは、ウーン、破損か。では彼のゾンビー・バイタル・サインを追跡してみよう!』「ハイ」

『現在、ガーデナー=サンはツキジ最下層を結構な勢いで移動中。たぶん水流に流されてるねェ。この水路は……フム、なるほど。ジョウゾウ・コーポレーションの「ソイ・ディヴィジョン」に通じているねェ。ケミカル・ショーユ醸造プラントだ』「サワタリたちもそこへ?」『さあねェー?』

 リー先生はハイテンションながらのんきな口調だ。『とにかく、ガーデナー=サンを捜索して回収してくれたまえ!サヴァイヴァー・ドージョーに遭遇したら排除すること!わかったかね?』「アッハイ」『……ドーモ、ラオモト・チバだ。話はわかった。ソイ・ディヴィジョンへ急げ』「ハイ!」

『あそこにはウチのニンジャ、クルセイダー=サンがいる。話を通しておこう。ついでに不穏な兆候があれば排除しろ』「ハイ」『では、タイムイズマネー!現地へ急行せよ!』「「「ハイヨロコンデー!」」」

ソイ・ディヴィジョン

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 ……数十分後、ソイ・ディヴィジョン。業界最大手の大豆加工業者「ジョウゾウ・コーポレーション」が持つ大型工場だ。地上部分に立つ工場は何百本もの煙突から有害な煙を吐き出している。その上空ではネコネコカワイイの新曲PVを披露するマグロツェッペリンが、何食わぬ顔で飛行していた。

 工場最上層、重役区画の豪奢な居室には中世王室めいた荘厳な玉座が置かれ、両脇にはソウカイヤ旗を携えたクローンヤクザが並ぶ。黒ニンジャ装束に十字軍じみたバケツヘルメットを被ったニンジャが玉座を降り、三人を出迎えた。「ドーモ!ここを統括しております、クルセイダーです!」

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 イメジはエクスキューショナー=サンの使いまわしです。たぶん能力値も同じぐらいでしょう。

「早速一献傾けたい所ではありますが、なにやら任務があるとか!ウーム!惜しいですな!」「ここの地下に危険なニンジャが潜んでいるらしい。それを討伐に来た」「それは大変。ご協力致しますぞ!」彼はナイト・ニンジャクランのニンジャソウル憑依者で、ソウカイヤへの忠誠心は高い。

 彼の説明によると、ソイ・ディヴィジョンは最上層の重役区画、上層の警備監視区画、中層のショーユ醸造区画、下層の奴隷職人居住区画に分かれている。「地下に潜んでいる敵が攻めて来るなら、当然下層からでしょうな。最下層に廃棄物処理区画があり、下水道に通じております」「なるほど」

「吾輩の任務は施設の管理、脱走奴隷職人の粛清。それと秘密を探りに来る潜入スパイや、掠奪目的の暴徒の抹殺です。我が暗黒統治体制は完璧!ザイバツや野良のニンジャ相手でも遅れは取らぬつもりですぞ!」「……チームで来られると少々ヤバいかもな。上に増援を頼んでおけ」「アッハイ」

 インヴィテーションの指摘に、クルセイダーは少しテンションを下げる。コズミックサイクラーが首を傾げる。「秘密っつっても、作ってるのはただのショーユだろ?ザイバツが狙うかね?」「そこはそれ。実は最近、ショーユとは名ばかりの危険薬物を製造し、化学兵器として出荷しております」

 クルセイダーは肩を揺すった。「ラオモト=サンのご発案でして、利益は10倍に増えました!」「じゃあ、ますます防備が必要じゃねえか」「むむ、結構吾輩一人でなんとかなってますし……脱走者がいなければダイジョブですよ!もし脱走の兆候があれば、即座にお知らせくだされ!」「ああ」

「さて、最下層へ急ごうぜ」「……慎重にいこう。手分けして捜査し、ガーデナーやサワタリたちが潜伏していないか調べたがいい」インヴィテーションは慎重だ。「そうするか」「何かあればご連絡を!」

調査

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 インヴィテーションは警備区画へ向かい、監視カメラ映像の過去ログを参照する。何か不審な形跡が見受けられるかも知れない。

調査判定、難易度H。能力値から得られるダイスは最大6。「知識:セキュリティ」「犯罪」で+2され8D6[42262633]成功。

「……これは」LAN直結して映像ログを高速再生していたところ、不審な映像があるのがわかった。監視カメラの死角から誰かの腕が伸び、UNIXからLANケーブルを抜き取った映像だ。脱出計画を企む奴隷職人か、それともどこかのスパイか。クルセイダーに報告しておいたがよかろう。

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 コズミックサイクラーはショーユ醸造区画へ向かう。そこは赤道直下めいた高温と湿気に満ちており、中央では奴隷職人たちが労働バーを人力で回し続けている。それは合計16基の巨大車輪を動かし、ローストされた大豆の山を砕き、潰し、エキスを搾り取ってショーユに変えている。

 見た目や香り、味は高級オーガニック・ショーユそのものだが、使用される大豆はヨロシサン製薬の開発した遺伝子組換え品であり、精製の過程で危険な幻覚作用をもたらすケモ薬物と化す。蒸気を吸うか一滴でも口にすればメン・タイめいた幻覚が目の前に広がり、ニンジャでも危険だという。

「化学兵器ねェ。……ひとつ、試してみるか」コズミックサイクラーは精製済みの製品が並べられた棚に近づく。一応許可を得たほうがいいか。IRC端末を操作して、上に連絡する。「クルセイダー=サン。一本貰っていいか?敵ニンジャに効くかも知れねェ」『一本ならドーゾ』「おう」

特製ケモ・ショーユの瓶をひとつ入手。MAP上の敵1体のあらゆる行動難易度を+1する。毒物であるためゾンビーニンジャには効果がない。

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 フライングレッグスは、下層の職人居住区画にエレベーターで降りた。冷たく薄暗い地下回廊には、棺桶ホテルめいた個室がハニカム状に何百個も立ち並び、孵卵器を想起させる人工的な黄色光を内側から放ち続けている。今は全員が食事に出払っており、まさにゴーストタウンめいた静けさだ。

ニューロンで調査判定、難易度H。8D6[56656542]成功。

 ……僅かに振動を感じる。上のショーユ工場からだろうか?否、これは下からだ。床に腹ばいになって耳をつけ、感覚を研ぎ澄ます。……なにか、いる。これは……覚えがある。ガーデナーのニンジャソウル反応だ!「まずいな……!」単独でガーデナーの相手をするのは困難だ。仲間を呼ばねば。

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 三人は調査を終え、廃棄物処理区画まで降りてきた。遥か向こうまで続く地下排水路は薄暗く、ショーユ廃液の嫌なにおいが立ち込めている。「ガーデナー=サンのニンジャソウル反応と、ゾンビー・バイタル・サインは確かにこのあたりだ」三人は息を潜め、慎重に捜索する。「……いたぞ」

「フゴ、フゴ……」バイオスモトリ以上の巨体が物陰にしゃがみ込み、巨大なアルビノワニの死体を貪り食っている。「さては手負いか」「油断してる隙に、カラテで無力化する。爆発四散はさせるなよ」「了解!」

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ:インヴィテーション/IT(15)→フライングレッグス/FL(8)→コズミックサイクラー/CC(7)→ガーデナー/GD(2)
GDの体力は負傷により21に減少。アンブッシュにより攻撃・射撃難易度-1。遠隔ダメージ軽減1により通常のスリケンは効かない。集中して強投擲3連射、難易度E。[62][15][46]3発成功。GDは[4][3][5]2発命中!2ダメージを受け残り体力19、回避ダイス1!FLはTL連続攻撃、[1243412526144][452322][1514123]3成功2発。GDは[4]命中!3ダメージを受け残り体力16。

「イィヤーッ!」インヴィテーションはカラテを込めてスリケンを連射!「アバーッ!」命中!ガーデナーはゆっくりと巨体をもたげる!「イヤーッ!」フライングレッグスは壁を蹴ってトビゲリ!KRASH!「アバーッ!」ガーデナーの巨体が揺らぐ!囲んで殴れば所詮鈍重なゾンビーだ!

CCは連続側転&連続攻撃3、[4651154442222][5653][2146][3313]3成功&痛打、2成功&痛打。GDは緊急回避ダイス5を消費し[521][35]回避!CCへ連続攻撃、[16344][31215]1成功2発。CCは[224523535][65644336]回避&迎撃2発!GDは2ダメージを受け残り体力14!

「シューシュシュ!」コズミックサイクラーが飛びかかる!「アバー!」ガシン!ガーデナーは剛腕でこれを防御!反撃を繰り出す!「アバーッ!」「シューシュシュシュッ!」KRASH!「アバーッ!」コズミックサイクラーはボックス・カラテの動きで躱し、カウンターパンチ!タツジン!

2-3ターン目

ITは集中して強投擲3連射、難易度N。[62][64][62]3発成功。GDは[3][4][5]1発命中!残り体力13、回避ダイス1!FLはTL連続攻撃、[3531615134565][623151][4532132]2成功&痛打2、2成功。GDは[4]命中!4ダメージを受け残り体力10!
CCは[5115215416631][2252][6654][1363]1成功、3成功&痛打&殺伐[2]頭部痛打、1成功&痛打。GDは回避ダイスなし、全て命中!5ダメージを受け残り体力5、ニューロンダメージなし、ワザマエ3に減少!GDはCCへ連続攻撃、[35234][16412]1成功2発。CCは[315666266][45164425]回避&迎撃2発!GDの残り体力3!
ITは集中して強投擲3連射、[16][56][22]2発成功。GDは[3][5]1発命中!残り体力2、回避ダイス2!FLは手加減して集中連続攻撃、[5333243][663555]6成功、6成功&痛打&殺伐[2]頭部痛打、ボールブレイカーに読み替え回避UH!GDは[4][4]命中!戦闘不能!

「「「イヤーッ!」」」「アバーッ!」スリケンが飛び、カラテが交錯し、三人のニンジャが手負いのガーデナーを圧倒する!KRASH!KRASH!「アバババーッ!」コズミックサイクラーのパンチがガーデナーの顔面に叩き込まれ、インヴィテーションのスリケンが分厚い腐肉を突き抜ける!そして!

「イイイヤァアアーーーッ!」フライングレッグスはキアイを入れ、ガーデナーの下腹部へコッポ掌打!痛みを感じぬゾンビーニンジャにコッポは通じにくいが、カラテはニンジャソウルそのものに通じる!KRAAASH!「アババババーッ!」ズズゥン……ガーデナーは集中攻撃に耐えきれず膝をついた。

戦闘終了

「「「シューッ……!」」」三人はザンシンする。「よし、無力化したぞ」「回収班を呼んである。すぐ駆けつけるだろう」ニンジャ三人がかりといえど、この巨体を担いで持ち帰るのは……可能だが面倒だ。「結局、サワタリたちは出なかったな」「油断するな。まだどこかに潜んでいるかも知れん」

 その時!ZGOOOOOOM!!!!上から凄まじい爆発音!「「「え」」」三人はコンクリートの天井を見上げた。「「「アイエエエ!ニンジャ!ニンジャナンデ!?」」」逃げ惑う奴隷職人たちの悲鳴!覚えのある複数のニンジャソウル反応!これは、まさか!「サヴァイヴァー・ドージョーか!」

 ナムサン!どこに潜んでいたのか、サワタリたちは三人がガーデナーに対処している隙にソイ・ディヴィジョンへ忍び込み、破壊と殺戮と掠奪を開始したのだ!このままでは!「モシモシ!大変です!ガーデナーは無力化しましたが、サヴァイヴァー・ドージョーが出ました!」『なんだと!?』

 IRC端末の向こうでチバが驚く。「ソイ・ディヴィジョンを襲撃しています!」『オノレ!クローンヤクザ用のバイオインゴット狙いか!?モタモタするな、さっさと制圧しろ!』「「「ハイヨロコンデー!」」」

【続く】

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