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忍殺TRPGリプレイ【ユーアー・ザ・ブレイヴェスト】02

 前回のあらすじ:手練れのソウカイ・ニンジャチームに、「ニンジャスレイヤーを探し出して始末せよ」との命令が下った。彼らは情報を集め、偽の情報を流して路地裏に誘い込み、あと一歩まで追い詰めたが、最後のあがきで逃げられてしまった。急いでヤツの後を追え!カラダニキヲツケテネ!

 SPLAAAASH!「「「グワーッ!?」」」ナムサン!閃光が路地裏を真昼よりも明るく照らし出す!そして爆轟音と刺激性の煙があたりを包む!これは暴徒鎮圧用ハイテック・ボム、スタン&スモークグレネードだ!

「「「グワーッ!」」」ニンジャといえど感覚器への攻撃は防げない!「ゴホッ、ゴホーッ!ファック!」三人は目と鼻と喉と耳をやられ、動けない!煙幕はたちまち路地裏を覆い、ニンジャスレイヤーはこれを隠れ蓑として、必死の形相で立ち上がる!「い、イヤーッ!」負傷を顧みず逃走!

 ……しばらくして、煙の噴出は停止した。ニンジャたちは煙を突っ切ってニンジャスレイヤーを追っていたが、すでにいない。「どうする」「追うぞ!」「了解!」このままおめおめと逃げ帰れば叱責を受け、ケジメかセプクだ。血やニンジャアトモスフィアを追跡し、トドメを刺さねば!

追跡調査

調査判定。難易度HARDを1回、UHを2回、ダイスを分けて行う。「ハッカーの流儀」で+2。FTは[223455][662665][631422]成功!

 血痕や足跡、ニンジャソウルの痕跡は、突然途切れた。車に乗って逃げたか。監視カメラもいくつか調べたが痕跡がない。「協力者がいるのかもな」「どうすんだ!ここらへんの闇医者をシラミツブシするか?」「かなり多いぞ。それに闇医者がクライアントの情報を残すか?」「ファック!」

「……ン?」ファイアシーフが、足元に何かを見つけた。小型のIRCインカムだ。先程のニンジャスレイヤーのカラテが残留している。逃走中に外れたもののようだ。「こいつは……アタリかもな」IRCインカムの型番および通信ログを、ソウカイヤ電脳部門へ送信し、解析を依頼する。しばらくして通知。

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 インパーミアブルからだ。『……これを購入したのは、セイジ・マダラギという青年だ。カチグミの息子だったが、家族はソウカイヤのニンジャに殺されている。だが、そのニンジャは直後に殺された。おそらく、ニンジャスレイヤーによって』「なるほど。スゴイタカイビルで、ですか?」

『違う。こいつの家で殺されてる。時期も違う』「つまり?」『あいつはたぶん、前のニンジャスレイヤーの模倣犯だ。その時か後かにニンジャになり、IRCネットでニンジャスレイヤーを知ってファンになり、しばらく本物が現れなかったから、成り代わってニンジャを殺してる、というわけだな』

「迷惑な野郎ッスね」ディマカエルスが鼻を鳴らす。「本物は死んだンスか?」『不明だ。あるいは協力しているのかも知れん』「あんな野郎、一人で充分スよ」『……で、複数のテンサイ級ハッカーがヤツに協力している。「ニンジャスレイヤー・シンジケート」と名乗ってるらしい』

「なるほど」『さっきのインカムから手繰った情報は、今はこれぐらいだ。オテガラだった。チバ=サンに繋ぐ』「ハイ」

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 IRC端末の画面にチバが現れる。『だいたいわかった。あり得ることだ。協力者は電脳部門が探し出し、本物との繋がりも調べさせる。貴様たちはピラーに戻り待機しろ。しばらく泳がせる』「「「了解」」」『ミッションはまだ終わっていないぞ。居場所を発見次第、再び出動だ』「「「ハイ」」」

???

「……というところね。どうする?」ネオサイタマ某所、超高層マンションの一室。ヤバイ級ハッカー「ナンシー・リー」は、ソウカイヤの秘匿通信情報を仲間たちに伝えた。ニンジャスレイヤー、ドラゴン・ユカノ、フェイスフル、バンブーエルフに。「ほっとけば始末してくれると思うけど」

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探し出し、殺す」ニンジャスレイヤーは決断的に答えた。自分の名と姿を勝手に用い、ニンジャやヤクザだけでなく一般市民をも殺傷する邪悪なニンジャ。生かしておく理由は皆無だ。「あなたはまだ重傷です。私も協力を」「負傷は癒えた。ユカノたちはここにいろ。私の問題だ。私がやる」

 ニンジャスレイヤー、フジキド・ケンジは立ち上がった。フジサンでのイクサで重傷を負い、ナラク・ニンジャすら敗北を喫したものの、どうにか敵を撃退し、生還することはできた。しばらくは人事不省となり、クリスマスの夜に少しだけ、スゴイタカイビルの墓碑に手をあわせることはできた。

 ナラク・ニンジャは……力を使い過ぎたためか、呼びかけにも応じない。フジキドのカラテも少し衰えた。だが、いなくなったわけではないらしい。眠っているだけだ。ソウカイ・シンジケートを倒し、ラオモト・カンを殺すためには、ナラクの力を取り戻さねばならない。しかし、どうやれば。

「もう少し休んでて。『セイジ・マダラギ』のIPアドレスは掴んだけど、物理座標はまだ割り出せないの。そこそこ手練れのハッカーを手下にしているようね」ナンシーがザゼンドリンクをイッキした。ソウカイヤの電脳部門をも欺かねばならない。「そして……この感覚。『ダイダロス』ね」

 ナンシーは汗を垂らして笑う。ニンジャスレイヤーが訝しんだ。「ヤツはニューロンを焼かれて死んだはず」「ええ。でも、戻って来たみたい。オヒガンから」相手はハッカーニンジャで、電脳世界のタツジンだ。現世の、モータルの常識は通用しない。フジサンで見た神代の光景めいて。

???

 ピココ……ピココ……闇の中にアラート音が浮かんで消える。セイジは目を開く。天井の「忍」「殺」の文字が彼を見下ろしていた。どれほどの時間メディテーションしていた事だろう。「シューッ」セイジは肺の空気を残らず吐き出す。立ち上がる。スシを食べ、闇医者に処置させ、脚は癒えた。

 ピコココ……ピココ「ドーモ」セイジはログイン・サインに応えた。『ドーモ』カツラだ。続いてナブケ、エビウミもログインする。セイジに従うハッカーたちだ。セイジは彼らとチャットを行い、邪悪な計画を練っていく。ニンジャスレイヤーの聖地、マルノウチ・スゴイタカイビルの爆破計画を!

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 彼らはソウカイ・ネットなどに密かにアクセスし、数年前の爆発事故の真相を概ね掴んでいた。ソウカイヤとザイバツ、暗黒ニンジャ組織同士の抗争だ。ニンジャスレイヤーは……先代のニンジャスレイヤーは、その時に犠牲者となり、ニンジャソウル憑依者となり、再生・誕生した。まさに聖地だ。

 だが……心苦しい事ではあるが……そろそろ、よかろう。新たなニンジャスレイヤーのアイデンティティの枷となるようでは、本末転倒。セイジはこの遺物めいた存在を克服しなければならないのだ。彼がニンジャスレイヤーとなったのは、ここではないのだから。そのために、消し去らねばならない。

 カネはある。カチグミである家族の遺産が。ハッカーたちも非合法手段で稼いでいるし、ヤクザ事務所を襲撃したりニンジャを殺したりすれば、充分なカネが手に入る。先代もそのようにして稼いでいたはずだ。『ビルの地下に空洞があります。地下駐車場のさらに下。安普請な』カツラが言う。

『なのでシミュレーションすると、地下駐車場の数カ所に爆発物をセットして起爆させれば、簡単に崩せます』ワイヤーフレームのアニメーションが、地盤沈下めいたビルの崩落を表現する。「爆発物……以前調達した、可燃性の毒ガスがあったな。あれを使えばいい」『イピー』『イケますね』

『運び込むのは、どうしますか』「ヤクザクランを介し、ヨタモノやヒョットコどもを集める。適材適所」『イピー』『サスガ!』心地よい賞賛!……そしてこのやり取りを、ダイダロスとナンシーは同時に掴んだ。

地下駐車場

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 マルノウチ・スゴイタカイビル、地下駐車場。ウシミツ・アワー。セイジたちが手配した巨大トレーラーが入ってきた。保守管理の人員にすり替わったヨタモノやヒョットコたちがトレーラーに群がり、荷台からドラム缶や段ボール箱、フクスケなどを取り出して、指定された位置に置いていく。

 警備職員は始末してあるし、監視カメラもアラート類もハッカーたちが掌握済みだ。「これが、力だ。カラテ、マネー、権力!」セイジは地下駐車場に降り立ち、周囲を見回す。この神聖な儀式を邪魔する者は、己のカラテで排除せねばならない。自分はニンジャスレイヤーだからだ。

 ヨタモノやヒョットコはチャカを装備しており、モーターヤブも手配してある。数の上ではこちらが勝る。この前の路地裏のようにはいかない。たとえ先代が嗅ぎつけて襲ってきても……倒せばよい。むしろ代替わりにはそれが必要だ。「俺が……私が、ニンジャスレイヤーだ!来るがいい!」

 だが!ブガー!ブガー!ブガー!地下駐車場のセキュリティアラートが一斉に鳴り響く!「何だ!?」セイジは目を見開いた。IRC端末に通信!『まずずずずいでででです』『実際ハッキキキキキンググググ』『復帰に時間がががが』三人のハッカーが激しいノイズとともに報告する。そして!

「イヤーッ!」「「アバーッ!」」「イヤーッ!」「「アバーッ!」」「イヤーッ!」「「アバーッ!」」ナムサン!地下駐車場にカラテシャウトと断末魔が鳴り響く!色付きの風が飛び回り、多数のスリケンを投擲してヨタモノやヒョットコを倒しつつ、起爆装置を破壊!「来たか!先代めが!」

 セイジの眼の前に、そのニンジャは現れた。赤黒のニンジャ装束。鼻から下は黒鋼のメンポで覆われ、禍々しい字体で「忍」「殺」と彫られている!

「ドーモ、ニンジャキラー=サン。ニンジャスレイヤーです」

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◆ニンジャスレイヤー(種別:ニンジャ)
カラテ      14    体力       14
ニューロン    10    精神力      12
ワザマエ     10    脚力        7/N
ジツ        3    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳 14/10/10/10
回避/精密/側転/発動 16/10/10/13
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:4

◇装備や所持品
◆家族の写真:精神力+1
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避ダイス+1
◆**ブレーサー・オブ・ドウグ**:回避ダイス+1、緊急回避ダイス+2
 部位防御(腕部):シナリオ中最初に与えられた殺伐出目5の付属効果を無視
◆伝統的ニンジャ装束:回避ダイス+1
◆レガース:緊急回避ダイス+1
◆フックロープ:遠隔武器、ダメージ1、拘束、連射可
 カラテ値対抗判定に勝利すると引き寄せ
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)

◇ジツやスキル
☆ナラク・ニンジャソウル(休眠状態)
 ☆◉即死耐性:即死効果を無視し、痛打2D6とみなす 超過ダメージを受けても気絶のみ

☆ドラゴン・ニンジャクラン、ジツLV3
 ☆チャドー呼吸LV3:移動や攻撃せずジツ発動判定を行い、出目6の個数だけ体力回復
  回復上限は体力の最大値の半分(端数切り上げ)まで
  出目6が1個もなかった場合、シナリオ中のチャドー呼吸による回復は不可能となる
 ☆◉ヒサツ・ワザ:タツマキケン
  シナリオ中1回限りの使用、移動したターンには使用不可
  近接攻撃の出目6666で精神力2を消費し発動、2D6+6回の1ダメージを与える
  回避HARD、時間差あり 1発でも食らうと最後に「弾き飛ばし」を受ける

●連続攻撃3、連射2、マルチターゲット、時間差
◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇、ソウカイヤ、ザイバツ

◉◉タツジン:ジュージツ 近接攻撃回避判定難易度-1(素手・スリケン装備時のみ)
 ●ワザ:マウントタックル 出目66で発生、痛打+1、回避難易度HARD
  マウントをとった敵に対する残り連続攻撃は回避不能(殺伐発生せず)
 ●ワザ:フランケンシュタイナー 出目666で発生、殺伐出目2(頭部痛打)
  回避難易度HARD マウント状態に入る
 ●ワザ:受け流し 回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合、
  1ダメージの代わりに回避不能の回避ダイスダメージ2を与える

◉ランスキック:脚力で攻撃判定(NORMAL)、連続攻撃2を選択可能
 基本ダメージ1、命中すると殺伐出目1(痛打+1&弾き飛ばし)か出目D6
 「鉄拳」が乗るため痛打+2&弾き飛ばし&装甲貫通1になる
◉鉄拳:素手による近接攻撃に痛打+1&装甲貫通1
◉スリケンの見切り:スリケンや弓矢の回避判定難易度-1
◉ツヨイ・スリケン:精神力1を消費しワザマエ判定(U-HARD)、2ターン連続使用不可
 非移動時のみ使用可能 視線が通る敵へスリケン射撃(回避U-HARD)、ダメージD6

◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ 出目666で発動、回避ダイス2か精神力1を消費
 痛打+2D3(回避UH)、弾き飛ばし
◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック
 回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合に発生(ターン中1回のみ)
 迎撃ダメージD3、回避UH 体力ダメージを与えた敵のニューロンとワザマエに2ダメージ

能力値合計:44>40
 ナラク・ニンジャソウルが休眠状態になり、ヘルタツマキが使えず、カラテとワザマエが2下がりました。それ以外はほぼそのままです。

 ニンジャスレイヤーは断定的にアイサツし、セイジのニンジャネームを再定義した。ニンジャスレイヤーではない、と。セイジは叫んだ。(((俺がニンジャスレイヤーだ!ふざけるな!)))だが、叫びは現実には為されなかった。かわりに彼の口をついて出たのは、思いがけぬアイサツだった。

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ニンジャキラーです」

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 大気にカラテが満ちる。一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

【続く】

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