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忍殺TRPGリプレイ【ユナイテッド・ウィー・スタンド】29

 前回のあらすじ:謎の荒野で次々と目覚める、すでに死んだはずのニンジャたち。周囲には不可視の壁が張り巡らされ、磁気嵐が荒れ狂う。駆け引きと殺し合いの果てに、生き残ったのは……!

◆​

『GRRRRR……』ジェムボーグは二人に死神めいて歩み寄る。その肉体はボロボロと崩れ始めている。ヌンチャクのもたらす凄まじいパワーに、彼の肉体が耐えきれなくなっているのだ。ヌンチャクでの攻撃は、できてあと一発。ならば……「次は、俺がかばう。それで勝てる」「……先に倒す!」

「イイイ……!」ヤモトはジツの力を高め、カラテをカタナに注ぎ込む。自分自身をカタナに変える。死線を超え、生きる道を見出す!「イイイヤァアアアーーッ!」SLAASH!カラテミサイルと同時にイアイ!研ぎ澄まされた一閃がジェムボーグを襲う!『AARGHHHH!』命中!だが……浅い!

「充分だ、ヤモト=サン」グレイヘロンは渾身のカラテをカタナに込めた。捨て身にあらず。自分はすでに死に、ここはアノヨ、ジゴクの底だ。相手はジゴクのオニ一匹、現世で積んだ罪の罰。「キリステ・ゴーメン」

 SLASH!十文字の斬撃が、ジェムボーグの正中線をとらえた。『アバッ……サ・ヨ・ナ・ラ!KABOOOOOOOM!ジェムボーグは爆発四散した。

69名死亡、残り1名…+1名

???

 ジェムボーグが持っていた黒檀のヌンチャクは、宙を舞い……落下して、地面に突き刺さった。ヤモトは鞘に納めたカタナを杖突き、折れた右脚の代わりとして、かろうじて立っている。「このヌンチャクはどうする」グレイヘロンは彼女の傍らにしゃがみ込み、肩を貸した。「放ってもおけない」

 ヤモトは息を荒げ、ヌンチャクを見た。内なるシ・ニンジャのソウルが先程告げたとおり、あれこそ真の三種の神器のひとつ「破壊のヌンチャク」。メンポ、ブレーサー、ヌンチャクの三神器が揃えば、災厄がもたらされる。ゆえに三箇所に分かたれた。しかし……神器を破壊するのは、不可能だ。

「持って行きな。俺はどうせ死人だ」グレイヘロンは笑った。「現世に大して未練もねえ。アンタにイアイを見せて、ミームも伝えた。十分だ」「……わかった」ヤモトはグレイヘロンに支えられながら、足を踏み出す。だが、ジェムボーグを怪物に変えるほどの神器を、今のヤモトが持てばどうなる?

 神器を守護していたリアルニンジャたちの声は聴こえない。ジェムボーグが倒されたことで力を失い、再び眠りについたのか。ヤモトはヌンチャクに手を伸ばす。……その時。ヌンチャクが突き刺さった地面から、赤黒い液体が滲み出した。「!」『グググ……グググググ……』それは手の形をとる。

 赤黒い手は、ヤモトに先んじてヌンチャクを握った。ヤモトは手を引っ込める。どくん。どくん。どくん。赤黒い手に、ヌンチャクの力が注がれていく……!「これは!」「まだ新手がいるのかよ!」グレイヘロンはヤモトを担ぎ、急いで駆け出す!『ググ……グググハハハ!』恐怖を煽る笑い声!

 ナムアミダブツ!おお……ナムアミダブツ!ヌンチャクを掴んだ赤黒い手から、腕が、肩が、頭が、上半身が生える!地面から生まれ出るようにして現れたそれは、焼け焦げた老人の死体じみた禍々しい姿の……ニンジャだ!『そこにおるのはシ・ニンジャか!ドーモ、ナラク・ニンジャです!』

◆ナラク・ニンジャ(種別:ニンジャ)
カラテ      17    体力       33>31
ニューロン    10    精神力      14>10
ワザマエ     12    脚力        9/N
ジツ        0    万札       20

攻撃/射撃/機先/電脳 20/12/10/10
回避/精密/側転/発動 18/12/12/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:8

◇装備や所持品
◆アーチ級生成装束(ブレーサー以外):体力と精神力+3、緊急回避+6
◆家族の写真:精神力+1
◆ブレーサー・オブ・ドウグ:回避+1、緊急回避+2
 部位防御(腕部):シナリオ中最初に与えられた殺伐出目5の付属効果を無視

◆***聖なるヌンチャク/ヌンチャク・オブ・デストラクション***(第2版)
 特殊近接武器(素手扱い)、タツジンスキル対応なし、所持・装備ペナルティなし
 ダメージ3(エンハンス可)、迎撃ダメージ2、攻撃ダイス+3、スロット1
 ●ソウルの侵食:使用したフェイズの終わりに精神力1、戦闘スタイルを使用すればD3失う
 ●戦闘スタイル:いずれも2ターン連続使用不可
  肉体破壊 出目5+が2つで殺伐、3つでナムアミダブツ
  乱打:連続攻撃+4、ワザマエHで標的1体に攻撃(連射値で連続攻撃)
   1発につきダメージ2固定(エンハンス・痛打・殺伐なし)、迎撃不能
  回転斬撃:ワザマエUHで判定、2マス以内の敵味方全員に2ダメージ3発(回避N)
   出目6が4つで回避H、6つで4発(回避H) 迎撃不可、エンハンス可

◇ジツやスキル
☆ナラク・ニンジャソウル
 ☆◉即死耐性:即死効果を無視し、痛打2D6とみなす
  カイシャク不能、体力0以下で撤退する
 ☆◉ヘルタツマキ:精神力1を消費しワザマエ判定(H)、2ターン連続使用不可
  自身を中心とした5×5マス以内の全員にスリケンによる1ダメージ(回避N)
  射撃ではなく特殊範囲攻撃で、出目66ならダメージ2(回避H)
 ★◉不浄の炎:ニンジャへの近接攻撃に火炎ダメージ+1
  攻撃フェイズ開始時に精神力1消費すると手番中の火炎ダメージを+2にする
  精神力2消費すると大型ブラスナックルを生成し、火炎ダメージを+3にする
 ☆◉肉体破壊:素手装備時のみ連続攻撃+1、出目55で殺伐発生
 ☆◉ナラクの知識:回避や抵抗が可能なジツに対する判定難易度-1
 ☆◉古の恐怖:マップ上の敵ニンジャ全員は手番開始時にニューロン抵抗判定UH
  失敗した者は戦闘中のナラクへの近接攻撃判定難易度+1 判定は1回のみ
 ★◉ヒサツ・ワザ:カトン注ぎ込み
  近接攻撃で「ナムアミダブツ」発生時、精神力2と回避ダイス2を消費し発動(H)
  回避難易度UH 命中すると火炎ダメージボーナス+2D3
 ★★★◉共振装束生成
 ★★★◉欠損部位再生:即死耐性、部位損傷回復(精神力1と攻撃手番消費)
 ★★★◉半神的存在:ニューロン×3で体力換算

◉◉タツジン:ジュージツ 近接攻撃回避判定難易度-1(素手・スリケン装備時のみ)
 ●ワザ:マウントタックル 出目66で発生、痛打+1、回避難易度H
  マウントをとった敵に対する残り連続攻撃は回避不能(殺伐発生せず)
 ●ワザ:フランケンシュタイナー 出目666で発生、殺伐出目2(頭部痛打)
  回避難易度H マウント状態に入る
 ●ワザ:受け流し 回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合、
  1ダメージの代わりに回避不能の回避ダイスダメージ2を与える

●連続攻撃3、連射2、マルチターゲット、時間差
◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇
◉憎悪:ソウカイヤ、ザイバツ
◉サイバネ殺し:戦闘用サイバネ化部位への部位破壊による能力値ダメージ+1
◉ランスキック:脚力で攻撃判定(N)、連続攻撃2を選択可能
 基本ダメージ1、命中すると殺伐出目1(痛打+1&弾き飛ばし)か出目D6
 「鉄拳」が乗るため痛打+2&弾き飛ばし&装甲貫通1になる
◉鉄拳:素手による近接攻撃に痛打+1&装甲貫通1
◉スリケンの見切り:スリケンや弓矢の回避判定難易度-1
◉ツヨイ・スリケン:精神力1を消費しワザマエ判定(UH)、2ターン連続使用不可
 非移動時のみ使用可能 視線が通る敵へスリケン射撃(回避UH)、ダメージD6

◉ヒサツ・ワザ:ポン・パンチ 出目666で発動、回避ダイス2か精神力1を消費
 痛打+2D3(回避UH)、弾き飛ばし
◉ヒサツ・ワザ:サマーソルトキック
 回避判定に出目66を含み迎撃を発生させた場合に発生(ターン中1回のみ)
 迎撃ダメージD3、回避UH 体力ダメージを与えた敵のニューロンとワザマエに2ダメージ

能力値合計:39

 どこからどう来たのか、オニにヌンチャクが渡ってしまいました。冷蔵庫から盗んだオーガニック・トロスシは途中で消費しています。フックロープはイグゾーションに破壊されましたが、ナラクなら生成できそうです。

ヤモト/YKとグレイヘロン/GHは「古の恐怖」に抵抗するためニューロン判定UH、[462643]成功、[413116]成功。

「……ドーモ、ヤモト・コキです」ヤモトは恐怖を振り払い、アイサツを返した。「グレイヘロンです。……やべえな」グレイヘロンは顔を引きつらせた。ナラク・ニンジャとやらは、さっき倒したジェムボーグよりも強い。こちらはイクサ続きで満身創痍、まず勝てる相手ではない。「見逃してくれ」

『グググハハハハハ!ダメだ。儂はニンジャを殺すニンジャだ。ことにそこのシ・ニンジャ=サンとは、実際かつての因縁がある』ナラク・ニンジャは邪悪に喉を鳴らす。『満足に戦える様子でもないか。これはチョージョー。千載一遇の好機。今すぐにくびり殺してやろうわい!』ナムアミダブツ!

 ナラク・ニンジャは嘲笑いながらヌンチャクを構えた。ヤモトとグレイヘロンも、やむなくカタナを構える。……大気にカラテがみなぎる!最終決戦アトモスフィア!……その時!

???

「Wasshoi!」

 甲高いシャウトが響くや、虚空に01が集まり、そこから何者かが飛び降りた!小柄な人影は、首元に銀色のマフラーをまとい、髪も瞳も銀色に輝いている!その姿はヤモトに瓜二つ!「ドーモ、俺は……シルバーキーだ!」

 于時、神光照海、忽然有浮來者、曰「如吾不在者、汝何能平此國乎。由吾在故、汝得建其大造之績矣。」是時、大己貴神問曰「然則汝是誰耶。」對曰「吾是汝之幸魂奇魂也。」

『日本書紀』巻第一、神代上の一書より
◆エーリアス・ディクタス(種別:ニンジャ)
カラテ       5    体力        5
ニューロン    12    精神力      18
ワザマエ      7    脚力        4/N
ジツ        6    万札       20

攻撃/射撃/機先/電脳  5/ 7/12/12
回避/精密/側転/発動 12/ 7/ 7/18
即応ダイス:0 緊急回避ダイス:1

◇装備や所持品
◆**カタナ「ウバステ」**:精神力と攻撃+1
◆パーソナルメンポ(生成):精神力と緊急回避+1

◇ジツやスキル
☆謎めいたニンジャソウル、ジツLV6
 ☆ユメミル・ジツLV3:精神力1消費し発動(N)
  視線上の敵1体に精神力ダメージ1を2回時間差で与える(回避H)
  これによりダメージを受けたモータルは次の手番で一切行動できない
 ☆◉マインドブラスト拘束:ジツで精神力ダメージを与えた敵が隣接状態なら拘束(脱出UH)
 ★マインドブラスト・ジツ:精神力1消費し発動(H)
  術者を中心とした5×5マス以内の敵全員に精神攻撃(回避H)
  体力と精神力に1ダメージ モータルが食らえばターン終了まで麻痺
 ★★グレーター・マインドブラスト・ジツ:精神力3消費し発動(H)
  術者を中心とした5×5マス以内の敵全員に精神攻撃(回避H、任意の1体はUH)
  体力と精神力に1D3ダメージ モータルが食らえばターン終了まで麻痺
 ★★マインド潜行攻撃:近接攻撃の出目66で発動、精神力2消費 回避UH
  ニューロン+ジツで対抗判定(難易度N)を行い、成功差分を精神力ダメージとして与える
 ◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力換算
 ●精神防火壁:1ターンにつき1まで精神力ダメージ軽減
 ●ネットワーク完全没入、IRCコトダマ空間認識能力

◉魅了(ゼゲン・ジツ):ニューロン+ジツで判定(N)
 モブモータル1体を無力化、出目66でもう1体
●精神防火壁:1ターンにつき最大1まで、敵からの精神力ダメージを軽減
●非力:殺伐を発生させられない
●連射2、時間差、マルチターゲット
◉憎悪:ザイバツ

能力値合計:36

 ヤモト・エーリアスの姿でこっちに来てしまいました。手遅れでは?「古の恐怖」抵抗判定12D6[661614161236]成功。

「……ドーモ、ヤモト・コキです」「グレイヘロンです」『ナラク・ニンジャです』互いにアイサツ。「ヤモト=サンの知り合いか?」グレイヘロンは訝しんだ。「……知らない」「実際初対面だが、アンタの味方だ。現世から連れ返しに来た。ここから逃げるぞ!」シルバーキーは手を差し伸べた。

 廃ビル島から脱出したシルバーキーたちは、ヤモトの自我を取り戻すべく古代の墳墓に潜入し、その玄室でザゼンした。そしてついにヤモトを見つけ出したのだ。「ブッダか」「違う」『逃がすと思うてか!』ナラク・ニンジャは再びキリングオーラを……『グワーッ!?』ナラクが身悶えする!

 スゥーッ……!ハァーッ……!スゥーッ……!ハァーッ……!『グワ、グワーッ!邪魔な……!』ナラク・ニンジャは奇妙な呼吸を行いながら、日光を浴びた吸血鬼のように狂い悶える!彼の中にいるニンジャスレイヤー、フジキド・ケンジの自我が目覚め、チャドー呼吸を行ってナラクを封じつつある!

「ドーモ……スゥーッ!ハァーッ!ニンジャスレイヤー……です……!スゥーッ!ハァーッ!ドーモ……!」ナラク・ニンジャの片方の目に、僅かな人間性の輝きが戻る。『フジキド!儂に逆らうか!オヌシはフートンで寝ておれ!』「黙れナラク!」二人の異なる声が、同じ口から発せられる。

「ドーモ、シルバーキーです」シルバーキーはナラクとフジキドを別人格とみなし、改めてアイサツを行う。ヤモトとグレイヘロンも軽くオジギする。一触即発の状況であろうと、礼儀は大事だ。「これは……どういう状況だ、シルバーキー=サン」フジキドは問う。シルバーキーは説明に窮する。

 ネオサイタマのキョート大使館で別ニンジャの肉体を借りて会話し、彼をキョートまで行かせたものの、ユカノたちは囚われたままだ。現世では戦争が始まり、国境を越えて日本に戻ることもおぼつかない。どうしたものか?フジキドがナラクを抑えていられる時間は短い!手短に説明せねば!

「……ヌンチャクはアンタにやる。ここを出てキョート城へ向かえ」シルバーキーはそう告げるしかない。ニンジャスレイヤーを直接現世に運ぶのは実際難しい。ヤモトもいるし、仲間のニンジャたちが殺されかねない。「だいたい……わかった……!」ニンジャスレイヤーは状況判断し、頷いた。

「これは」「見ての通りだ!早く逃げるぞ!」「グレイヘロン=サンは」「俺はいい。どうせ現世には戻れねェンだろ、肉体もねェし」「……連れていく」ヤモトは掌を広げ、グレイヘロンのカタナ「チバナレ」を掴んだ。「え」01010……グレイヘロンは01分解され、それに吸い込まれていく!

「『自分自身をカタナに変える』。グレイヘロン=サンが、シルバーカラス=サンが、教えてくれた言葉だ」「こ、こういうことじゃねェと思うが……とにかく、逃げるぞ!」『GRRRRR……AARGHHHH!』ナラク・ニンジャがチャドー拘束を振り切り、獣めいて咆哮する!『ニンジャ!殺ス!ベシ!』

「ヒッ!」シルバーキーはヤモトを抱え上げる!だがここはコトダマ空間と物理空間が複雑に入り混じった、ジゴクめいた場所だ。コトダマ体が物質化し、非力なニンジャに戻っている!「い、急がねえと……!」精神を集中して逃げようとするが、すぐには……01010101010101「「Wasshoi!」」

 シャウトが響くや、虚空に01が集まり、そこから二人の影が飛び降りた!「ドーモ、ハウスバーナーです!」「ポイズンバタフライです!」ゴウランガ!チーム・ヒップの二人のエントリーだ!「ドーモ、ヤモト・コキです」「シルバーキーだ!ちょっとだけ持ちこたえてくれ!」「「了解!」」

『ドーモ、ナラク・ニンジャです!よかろう!ここで遭ったが百年目!まとめてくびり殺してくれるわ!』ナラク・ニンジャは怒り狂う!大気にカラテがみなぎる!一撃必殺アトモスフィア!

戦闘開始

【続く】

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