忍殺TRPGリプレイ【ハングリー・フォー・ラヴ】02
前回のあらすじ:カッパドキアめいた岡山県の山間。キョートから亡命したリゲルとタビトは、謎めいた少年ニンジャ・クレイドルに雇われてここへ来ていた。目的はミヤモト・マサシの隠し財宝を探し出すことだ。山道を遮るバイオパンダをなんとか倒し、一行は岡山県の奥地へと進む……!
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遺跡入口
バイオパンダを倒し、スシを補給した一行は、再び山間を進む。崖を越え、谷を越え、川を越え……数日が過ぎ、一行はついに目的の遺跡の前にたどり着いた。半ば朽ち果てているが立派な石像が入口の左右に彫られ、その石像は……メンポをしている。それは、ニンジャを模したものであった。
「ニンジャ……?ニンジャナンデ?」リゲルは眉根を寄せ、脂汗を垂らす。「ミヤモト・マサシってニンジャだったのか?」「さてね。とにかく、このマキモノによれば、ここで間違いない!」クレイドルはスパルガヌムに背負われたままマキモノを開き、興奮する。「何らかの財宝が眠っている!」
一行はラマを降り、遺跡の入口近くの樹木に縄で繋いだ。ラマたちはおとなしく周囲の草を食み始める。「扉はないな。開けっ放しか」「気をつけ給え。おそらく、何らかのトラップがあるはずだ。さもなければバイオパンダなどの巣窟となっていようからな」クレイドルはニンジャ第六感で察した。
一番頑丈なタビトが先に立ち、慎重に進む。自然の洞窟を利用した入口の奥には、石畳が続いている。左右の壁には様々な意匠の石像が彫られ、その顔にはメンポが被せられている。やはりニンジャの像だ。……不意に、石像の目が光った。「!」タビトはニンジャ第六感で察した。これが罠だ!
ZZZZAAAAAAPPPPP!「「「イヤーッ!」」」タビト、リゲル、スパルガヌムは連続側転を繰り出し、縦横無尽に飛び交う石像からの光線を回避!回避!回避!「うおおおッ!?」クレイドルは必死でスパルガヌムの背にしがみつく!……一行はどうにか無傷で罠の間を駆け抜けた。「フーッ……」
「なるほどな。ニンジャでなくては……もしくは、ニンジャに匹敵する身体能力を持つ者でなくては、あの廊下を通ることはできんというわけだ」クレイドルが頷いた。「……けど、廊下や外にはバイオパンダとかの死骸や骨は見当たらなかったぜ」「ふむ。となると、それらを始末する仕組みがある」
ガコンガコンガコン……通り抜けてきた石畳がたわみ、歪み、穴が空く。ああやって死体を排除しているというわけか。「大したカラクリだが、ニンジャならば問題ない。さあ、グズグズするな!先へ進もう!」「アイアイ」内部は暗いが、ニンジャ視力ならばランタンなどがなくても問題はない。
???
……やがて一行は、大きな金属製の扉の前に到達した。扉の中央には、とぐろを巻いたドラゴンの意匠をした金属製の輪がある。「どうやって開けるんだ?」「たぶん、この輪を回すのだろうな。水道のバルブのように」クレイドルはマキモノを広げながら頷く。「罠に気をつけ給え」「了解」
リゲルとタビトは協力し、輪を掴む。「「セーノ!」」だが硬い!カラテがまるで足りないのだ!『惰弱』扉から声が響き、輪から放射状に棘が伸びた!「うおッ!?」「キエーッ!」二人はとっさに手を離しブリッジ回避!ワザマエ!「何をしている。さっさと開け給え」「手伝いなさいよ!」
「「イヤーッ!」」『脆弱』「「イヤーッ!」」『貧弱』「「イヤーッ!」」『軟弱』「「イヤーッ!」」『矮弱』なんたることか、輪はビクともしない。トラップを回避することはできても、この扉が開かなければ先へは進めないのだ。「ええい、さっさとしろ!」「手伝えって言ってんの!」
スパルガヌムは視線をそらし、何かを見つけて指差す。クレイドルはそれを見て頷く。「古代ルーン漢字で『非常口』と書いてあるな。こっちだ」「じゃあ、なんだよこの扉は!」「トラップだろう」「ファキゴナファッキンファック!」リゲルは腹を立てて扉を蹴る!『無礼』棘が飛ぶ!「ヒッ」
リゲルは危うくブリッジ回避した。クレイドルは笑う。「そう気を悪くするな!あるいは、君たちが必死でカラテを込め続けたゆえに、非常口が出現したのかも知れんぞ!」「そう願いたいぜ、まったく」
???
……非常口を通った先には、非常に広い、奥行きのある部屋があった。床には超自然的な保存状態のタタミが一面に敷かれ、最奥部のトコノマには、見事なドラゴンの石像彫刻が置かれている。その右手には白いマキモノ、左手には見事な宝石があった。「ついに見つけたぞ!あれこそが財宝だ!」
「まだ、何かありそうね」タビトは警戒する。「財宝も、罠もな」リゲルが頷く。一行が慎重にトコノマへ近づこうとした……その時!トコノマの前のタタミが一斉に開き、穴が空いた!その中から大型のサムライ・アーマーがせり上がって来る!背負うのは長大なるカタナブレードツルギ!「出たな」
『GRRRRR……!』サムライ・アーマーはメンポの奥から、鎧の隙間から、超自然的な紫色の光を放つ。そしてひとりでに動き出し、カタナブレードツルギを抜き払った!古代遺跡の守護者「ケンドー・オートマトン」だ!
◆ケンドー・オートマトン(種別:戦闘兵器/超常存在)
カラテ 6 体力 8
ニューロン 1 精神力 -
ワザマエ 1 脚力 3
ジツ - 万札 4
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 1/ 1/ -
◇装備や特記事項
◆バスタード・カタナブレードツルギ:
攻撃難易度H、連続攻撃2、ダメージ2
●非テック存在:ハッキング不能、脆弱性:電磁なし
能力値合計:8
「こいつが番人というわけだ。任せたぞ!」「アンタはともかく、スパルガヌム=サンも手伝いなさいよ!こっちはカラテが弱いんだから」「……」スパルガヌムは無言で頷き、スリケンを構えた。手助けはしてくれるようだ。「バイオパンダぐらいには強そうだな。気をつけろ」「ええ」一触即発!
戦闘開始
1ターン目
「「「イヤーッ!」」」三人は側転しつつスリケン投擲!広間であれば俊敏なニンジャの方が有利だ!『AAARGHHH!』ケンドー・オートマトンはスリケンの雨を浴び、苦悶の声をあげる!だが!『SSSHHHHHH!』オートマトンの足元のタタミが浮き上がり、サーフボードめいて飛びかかった!
「え」狙うはタビト!勢いを乗せたバスタード・カタナブレードツルギが迫る!『AAAARGHHH!』「ナメないで!イヤーッ!」KRASH!タビトは難なく見切って回避し、迎撃のキックを食らわせる!『AAAARGHHH!』オートマトンは大きく体勢を崩す!もうひと押しだ!「行くわよ!」
2ターン目
「「「イヤーッ!」」」タビトとスパルガヌムのスリケン、リゲルのトビゲリが一斉にケンドー・オートマトンを襲う!KRAAASH!『AAARGHHHH!SAYONARA!』KABOOOOOM!オートマトンはツルギをへし折られ爆発四散!ナムアミダブツ!「「「シューッ……!」」」三人はザンシンした。
戦闘終了
???
「お見事。では、トコノマのお宝を取り給え」「どっちを取るの?」「当然、両方だ」「そりゃそうか。罠はないか?」「僕が見た限りでは、これ以上はなさそうだな」二人は慎重に手を伸ばし、マキモノと宝石を……石像から取り上げた。確かに、罠は作動しない。「よーし、これで……終わりだ」
クレイドルはケタケタと笑い出した。「封印は解かれた。まったく、忌々しい封印であった!」スパルガヌムは微動だにしない。「え?」リゲルとタビトは振り向き、訝しんだ。「貴様たちのようなサンシタの力を借りねばならぬとは、まことに忌々しい。だが、よくやってくれたぞ!ハハハハ!」
「……何だって?」KRAASH!ドラゴンの石像が砕け散り、異様なパワーが解放され、クレイドルに集まっていく!「ワッザ!?」『ズガタッキェー!』ゴウランガ!クレイドルは両眼を爛々と輝かせ、異様な声でパワーワードを叫んだ!『我こそはリアルニンジャ、キセイ・ニンジャなり。畏れよ!』
「アイエエエ!?」リゲルは圧倒されて腰を抜かし、小さく失禁した。タビトは耐え、片膝を突いてリゲルをかばう。「気を確かに」「あ、ああ……」スパルガヌムはクレイドル……キセイ・ニンジャを背負ったまま跪き、動かない。『ハハハハ!そうだ、跪くがいい。そして我がしもべとなるのだ!』
「ど、どういうことだ」「……たぶん、こうよ。ここには彼の真のパワーが封印されていて、彼自身では解除できなかった。だから、私たちを雇った」『そういうことだ。安心せよ、我は慈悲深い。このスパルガヌム=サンは、我のクランのニンジャソウル憑依者でな。一度一緒にここへ来たのだが』
キセイ・ニンジャはスパルガヌムの頭を踏みつけて、その上に立った。『忌々しいことに、封印はクラン全体に有効であった。よって、貴様らのような野良ニンジャの力を借りる必要があった』「だ、だいたいわかった……わかりました。いろいろ恩義もあることだし、手下になっても……いいか」
リゲルはハンズアップし、脂汗を垂らす。キセイ・ニンジャはもちろん、スパルガヌムも相当の使い手だ。タビトと二人がかりでも敵う相手ではない。となれば、こうするしかなかろう。「……そうね」タビトも頷く。命あってのものだねだ。『物わかりがよいな。然らば、ドゲザして忠誠を誓え』
「「ハイヨロコンデー!」」二人は恭しく跪き、キセイ・ニンジャにドゲザした。『ウム。……言っておくが、裏切ろうなどと思うなよ。貴様らの体内には、すでに我の操るキセイ・ワームが埋め込まれておる。貴様らに施してやった食事に入れておいたのだ』「げっ!?」リゲルは思わず腹を抑えた。
タビトは軽く舌打ちしたが、こうなれば仕方あるまい。なんとか逃れる方法を考えねば。『では、これより貴様らは我がしもべだ!本日より、ここをキセイ・ニンジャのドージョーとする!ハゲミナサイヨ!』「「「ハイヨロコンデー!」」」スパルガヌムを含む三人は、さらに深々とドゲザした。
【ハングリー・フォー・ラヴ】終わり
リザルトな
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