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忍殺TRPGリプレイ【ニュー・トレジャー・アイランド】01

邦題:新宝島(New Treasure Island)

 ドーモ、三宅つのです。これはニンジャスレイヤーTRPG公式のシナリオ案「シとゼツメツ」および物理書籍限定原作小説「トレジャー・エヴリー・ミーティング」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 ソウカイヤに追われるヤモト・コキを、ジェノサイドと協力して救出するシナリオですが、つの次元ではややこしいことにヤモトが(スパイダーリリィとは別に)ソウカイヤに所属しており、ジェノサイドもチーム・ヒップと共闘してヤモトをザイバツから救出しています。

 その後、ジェノサイドはネオサイタマ付近で飲み歩いているようですが、ヤモトはザイバツによってキョートに連れ去られ、チーム・ヒップが救出に向かっています。ナンシーとユカノもキョート城に捕まっています。

 とすると、今回の標的はヤモトではなくジェノサイド本人になります。チーム・ヒップはジェノサイドのことを報告していませんが、INWは彼を回収したいでしょうし、ソウカイヤにとっても物騒なアーチ級ソウル憑依者のゾンビーが野良でウロウロされても困ります。またザイバツも彼のニンジャソウルに利用価値があるとみなし、捕獲しようとするかも知れません(原作でもグラディエイターたち四人の手練れザイバツニンジャが彼を捕獲し、新幹線で運んでいました)。結構大規模なイクサになりそうですね。

 ジェノサイドと因縁のあるザイバツニンジャといえば、以前戦ったバンブーカッターとアイボリーイーグルがいますが、チーム・ヒップ相手に調整していたため強すぎます。チーム・ゴールデンクイーンは遠路はるばるキョートへ帰ったばかりで、またネオサイタマへ遠征させるのもカワイソウです。ニュービーを派遣しても返り討ちでしょうし、「ヤモトがキョートにいる」とか言って説得しても、いっぺんザイバツニンジャと敵対している以上、話を聞いてくれそうにありません(忘れてるかもですが)。それにザイバツとソウカイヤのニンジャ同士がイクサを始めたら、ジェノサイドはそれに乗じて逃げおおせるでしょう。となると……彼女を派遣しましょう。

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◆ヤクシニー(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力       10
ニューロン     6    精神力       6
ワザマエ     11>12 脚力        7/E
ジツ        3    万札       42>17
DKK       0    名声        8

攻撃/射撃/機先/電脳  6/12/ 6/ 6
回避/精密/側転/発動 12/12/12/ 9
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
◆カタナ
◆テック・フルヘルム&タクティカルスーツ:体力+2

◇ジツやスキル
☆カトン・ジツLV3
 ☆◉カトン触媒

◉◉タツジン:イアイドー
 カタナ攻撃の出目6成功時に痛打+1、装備ペナルティなし
 ●戦闘スタイル
  強化精密攻撃:ワザマエで攻撃判定 殺伐(66)、ナムアミダブツ(665)発生可
  強化強攻撃:攻撃判定難易度+1、基本ダメージ2 連続攻撃上限3
 ●移動スタイル:カスミ 回避ダイス1を獲得しつつ移動可能(脚力+2まで)
 ●イアイ反撃:回避判定出目に6を含んだ迎撃のダメージが2となる
◉ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ 精神力1か回避ダイス2を消費し発動
 カタナによる近接攻撃で「ナムアミダブツ」が出た場合にも選択可能
 痛打+2D3、回避UH、迎撃不可 回避の可否に関わらず、
 使用者は攻撃後に標的の後方へ最大3マスまで追加移動可(ナナメ可)

◉常人の三倍の脚力:脚力+1、連続側転難易度-1
◉トライアングル・リープ:連続側転で壁に触れて移動した時、
 直後の近接攻撃の難易度上昇を無視し、痛打+1を加える
◉頑強なる肉体:体力+2、毒抵抗カラテ判定ダイス+2

◉知識:犯罪、ストリートの流儀
◉交渉:威圧
○立ち位置や性格:違和感や外部存在(現地採用のヨゴレニンジャ扱い)
○生い立ち:ピンハネ シナリオクリア時やモータルハント時に万札+1

能力値合計:27>28
 前回の冒険で万札28+1、名声2、余暇4日を獲得しました。ワザマエ鍛錬蓄積1があるので鍛錬し[162]=9+1=10<11=失敗、[364]=13+2=15>11=成功。残り万札24。万札17で「ニンジャブレーサー」「ニンジャレガース」を購入し、残り万札7。ワザマエが12もあるので「ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ」を購入。モータルハントして12+3=15-1D6[1]=14+1。残り万札は2+15=17。

 ナーギニーが同行すると強すぎるので彼女だけです。駆け出しヤモトと元シナリオでのPCニンジャを合わせたぐらいには強いでしょう。ジェノサイドを捕獲に来たわけではなく、教会堂で彼とばったり出遭い、襲撃してくるソウカイニンジャやクローンヤクザ、INWのニンジャと戦うわけですね。

 ジェノサイドのステータスは、前回と元シナリオを参考に調整します。

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◆ジェノサイド(種別:ニンジャ/ゾンビーニンジャ)
カラテ      10    体力       22
ニューロン     3    精神力       8
ワザマエ      7    脚力        5/UH
ジツ        5    万札       12

攻撃/射撃/機先/電脳 10/ 7/ 3/ 3
回避/精密/側転/発動 10/ 7/ 7/ 8
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
◆ネクロカラテ&鎖付きバズソー二刀流(ノダチ扱い)
 側転難易度+2、ダメージ3、攻撃難易度UH、連続攻撃上限3、
 大きな隙、回転斬撃可 緊急回避ダイス+3
◆バズソー投擲:スリケン扱い、ダメージ2、射撃UH、射程3マス、連射2
 出目66で殺伐、666でナムアミダブツ

◇ジツやスキル
☆ゼツメツ・ニンジャソウル、ジツLV5
 ◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力を換算
 ◉◉アーチ級ソウルの力:カラテ+ジツで体力換算
 ★★カラテ・エンハンスメント:手番開始フェイズに精神力2を消費し発動(HARD)
  武器を用いた近接攻撃時、常に近接攻撃ダイス+2、無属性ダメージ+1
  スリケン/ナガユミによる射撃時、常に射撃ダイス+2、無属性ダメージ+1
  すでに属性ダメージを持つ武器は対象にならない
 ★★★◉バズソー薙ぎ払い:精神力2消費しワザマエ判定H 連続使用不可
  成功すると3マス以内の全員に3ダメージ(回避H、エンハンス可)
  出目55、56でも殺伐が発生し、命中した1人に与える ナムアミダブツなし

◉回転斬撃強化:回転斬撃の回避難易度+1 出目66で2回、666で3回攻撃
◉回転銃弾薙ぎ払い:回転斬撃強化との同時使用不可、連続使用不可
 回転斬撃使用時から次の手番まで射撃ダメージ軽減2

●連続攻撃2、連射2
◉突撃
◉跳躍踏みつけ移動:6マス以内の好きな地点へ直線飛行移動
 着地点にいる敵に轢殺1を与え押しのける 続く攻撃時は行動難易度+1
◉頑強なる肉体:体力+2
◉知識:高級嗜好品(酒)
◉交渉:威圧

●ゾンビーニンジャ
 怪力:近接攻撃ダメージ2
 体力:カラテの倍かカラテ+10の多いほうで算出
 無効:精神攻撃、精神力やニューロンへのダメージ、毒、即死攻撃(痛打+2D6に)
 不可:アドレナリン・ブースト
 脆弱:火炎(1)
 ほか:交渉・知識判定難易度+2

能力値合計:30

 ニンジャソウルの力が馴染んできたのか引き出されたのか、やや強化されました。回避も難易度Nで可能です。名つきのアーチ級憑依者でフジキドと殴り合えるのですから、これぐらいには強いでしょう。

 充分な戦力となりました。では、始めます。

◆◆◆

 彼女の名はアムラ・ヤシャコ。立木に寄りかかり、目を閉じ、耳を澄ます。途端にその聴力は増幅され、遠くネオサイタマ市街の喧騒が、行き来する車輌の音が、広告音が、ソナーレーダーめいて彼女のもとへ収束する。ニンジャ聴力の為せるコンセントレーション効果。然り、彼女はニンジャだ。

「ハーッ……」ヤシャコは得物であるカタナの柄から手を離す。追っ手の気配はない。ネオン街は遥か後方、彼女は今、ネオサイタマ郊外と都市部の境にいる。古巣のコメダ・ストリートのアジトを爆破され、ヘルダイバー、モンスメグ、ナーギニーとの連絡も遮断された。シビアな鬼ごっこだ。

 己を強いて、ヤシャコは……ザイバツ・シャドーギルドの末端ニンジャ、ヤクシニーは顔を上げた。彼女はしめやかに駆け出した。行く手の先、小高い丘の階段を上り切った上に、黒々とそびえる孤独な建築物があった。教会か。礼拝堂じみた建物と、その横に不似合いに大きな塔。異様である。

 ヤクシニーはガゼルめいて跳ね、夕闇に浮かぶシルエットを目指した。少なくともUNIXがあれば、IRCで連絡がとれる。「クソッタレ!アタシの端末壊しやがって!弁償させてやる!」ニンジャとなって以来、ここまで追い詰められたことは……あまりない。手練れの彼女がこうも追い込まれるとは。

礼拝堂

 ……その教会の軒先には、ネオン十字架や免罪符プリンター、テレビ伝道師を中継する液晶モニタのたぐいは無い。一般的なネオサイタマの宗教施設のあり方からはほど遠い、質素な有様だった。礼拝堂の門は閉じている。ヤクシニーは門扉に背中をつけ、中の物音を聴き取ろうとした。

ワザマエ判定、難易度UH。[521631542521]成功。

「……」物音は聴こえないが、微かに、気配がある。ニンジャアトモスフィアと、強い蒸留酒のにおい。酔っ払いのニンジャか? 門扉の隙間を視れば施錠もしていない。無施錠の建物など、ヨタモノ・スクワッターのたぐいに荒らされていておかしくない。「……オジャマシマス」彼女は扉を開けた。

 微かに窓から差し込む夜明かりが、飾り気のない礼拝堂を照らしていた。ヤクシニーは特に宗教を信じていないが、その光景に多少は敬虔な気持ちにさせられる。調度品は掠奪されておらず、埃や蜘蛛の巣もあまりない。無人ではないということだ。だとすると、酔っ払いのニンジャが、ここを?

ワザマエ判定、難易度UH。12D6[625146534455]成功。

 ギギギギ……! 礼拝堂の右奥の扉がきしみ、ヤクシニーはとっさに長椅子の陰に身を潜めた。現れたのは巨大な人影だ。七フィート超の背丈、ボロボロのカソックコートをまとい、鍔広の帽子を目深に被った、神父らしき男である。そして、ニンジャだ。全身から蒸留酒と腐った肉のにおいがする。

「ブッダ……」ヤクシニーはブッダを呪った。かなり強そうなニンジャだ。どうする。彼をやり過ごしてUNIXを探すか? それとも……?

GCはワザマエ判定、難易度UH。[3423446]成功。

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「……誰か、いるな」大男は首を巡らし、酒臭い息を吐いてこっちを見た。「ドーモ、俺はジェノサイドだ」ヤクシニーはやむなく立ち上がり、油断なくアイサツを返した。「……ドーモ、ヤクシニーです」ナムサン、大男は、小柄な老婆を米俵めいて担いでいる。生気は感じられない。死体なのだ。

 ジェノサイドの目が、闇の中で緑に光った。「何しに来た……」「追われててね。その死体、どうした?」「ここに住んでた婆さんだ。俺が殺したんじゃねえぞ。くたばってた」死体はすでに少し腐敗しており、外傷もない。「寿命だろ。邪魔だから、裏の墓地に埋葬してやろうと思ってよ」

 ヤクシニーは、フッと警戒を緩めた。「人道的だな」「俺は死体と寝る趣味はねえ」そういうジェノサイドの顔は包帯に覆われ、腐敗し、それこそ死体じみている。「……その、顔」「あン? そうだ、俺も死体だ。ゾンビーでニンジャだ。ビビったか」「……まあね」ヤクシニーは肩をすくめた。

 ジェノサイドはズカズカと礼拝堂を横切り、鉄柵で覆われた中庭の墓地へ降りていく。ヤクシニーもついていく。すでにそこには新たな墓穴が掘られていた。「悪いが祈りの言葉は知らねえ。カンオケもねえ。土の下に入れるだけ有り難いと思いな」ジェノサイドは老婆の死体を穴に入れた。

 ジェノサイドはシャベルを取ると、死体に土をかけ始めた。彼の力は強く、あっという間に埋葬は終わった。「……ナムアミダブツ」ヤクシニーはブディズム式の弔いの言葉を唱え、冥福を祈る。「ここは教会で、婆さんはたぶんクリスチャンだろ」「アーメンダブツとでも言やいいのかね」

 映画の知識で十字を切り、オジギして、二人は礼拝堂へ戻る。「仲間と連絡取りたいンだけどさ。アタシのIRC端末壊されちゃって。UNIXあるかな」「知らねえ。勝手に探せ」ヤクシニーは笑い、警戒を解いていた。このジェノサイドという男は、少なくともそれほど邪悪ではないようだ。

 ……その時!

襲撃

 ドォン!礼拝堂の正面扉が勢いよく開け放たれ、大勢の人間が入り込んできた!彼らが振り回すマグライトの光が、堂内の闇を舐める。彼らは奇妙に統一された動きで一斉にライフルを構えた!クローンヤクザだ!その奥に立つ指揮官は、ニンジャである!「ドーモ、グレネディアです!」

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◆グレネディア(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        9
ニューロン     9    精神力       9
ワザマエ     10    脚力        5/N
ジツ        3    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳  6/12/ 9/ 9
回避/精密/側転/発動 10/10/10/12
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:1

◇装備や所持品
◆炸裂ハッポースリケン&グレネードベルト(弾数無限)
◆近代的タクティカルニンジャ装束一式
 体力+3、射撃ダイス+2、緊急回避ダイス+1、脚力ダメージ軽減1

◇ジツやスキル
☆タマヤ・ニンジャクラン、ジツLV3
 ☆◉炸裂ハッポースリケン投擲:非連射時のみ使用可能
  射撃判定に成功すると、命中の有無に関わらず時間差で爆発(カトンLV1)を起こす
 ☆◉炸裂ハッポースリケン連射:連続使用不可、攻撃時に精神力1消費し発動(N)
  手番終了まで連射2・時間差・マルチターゲットでハッポースリケン投擲可
  2つの別の標的を指定せねばならない

●連射2、時間差、マルチターゲット
◉タクティカル移動射撃:通常移動しながら射撃可能
◉シャープシューター:集中時に射撃ダイス+3
◉スリケン乱射:回避ダイス2を消費し連射+1(時間差可、チェーンターゲット)
◉緊急ブリッジ回避:シナリオ中1回限り、精神力1消費し回避直前に使用宣言
 次の1回の回避判定の難易度を-2し、この時のみ使用できる緊急回避ダイス3を獲得
◉◉采配能力:手番攻撃フェイズ開始時に精神力1を消費し、ニューロンNで判定
 成功すると、自分よりイニシアチブ値が低い味方に即時行動させられる
 名前持ちの味方1人か、味方の同種モブ全員(上限6体)を選択
 出目66で成功すると脚力+2、666だとさらに攻撃・射撃判定難易度-1

○生い立ち:元湾岸警備隊
◉知識:銃器

能力値合計:31

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◆アサルトヤクザ(種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)×6
カラテ       3    体力        3
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      3    脚力        2
ジツ        -    万札        1

攻撃/射撃/機先/電脳  3/3/2/2

◇装備や特記事項
◆ハンドマシンガン(連射3)、ドスダガー
◉防弾ファランクス:敵からの射撃難易度+1
 元シナリオからバリバリに強化しました。手練れのヤクシニーを逃げに回らせて追い詰めるぐらいには強いでしょう。

「チッ……ドーモ、ヤクシニーです!」「ジェノサイドです」アイサツを返す。「ジェノサイド=サンだと。貴様、INWから脱走したと聞いているが」グレネディアは訝しんだ。「ああ、そうだ。テメエはソウカイヤか」「いかにも。そこのヤクシニー=サンはザイバツの手下だ。渡してもらおう!」

 ジェノサイドがヤクシニーを見た。「ザイバツ?」「……!」ヤクシニーは死を覚悟した。ジェノサイドまで敵に回れば……!「知ったこっちゃねえな。ここは俺のねぐらだ」ゴトン、ガチャン!ジェノサイドの足元に円形の鎖つきバズソーが二つ落ち、超自然的なパワーで回転を始める!「出てけ」

「ほう。これはアブハチトラズ。貴様も捕獲してINWに引き渡すとしよう」グレネディアはハッポースリケンを構えた。ヤクシニーはカタナを構え、ジェノサイドの足元でバズソーが唸る!一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

【続く】

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