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忍殺TRPGリプレイ【ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドアー】

邦題:天国への扉を叩いてる(Knockin' On Heaven's Door)

 ドーモ、三宅つのです。これは古矢沢=サンのシナリオ案「ミューズ・イン......」および原作小説「ミューズ・イン・アウト」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 私立探偵ガンドーとともに、小説家ホンガンジの謎を調査するシナリオです。壁超え級のニンジャPC数人で挑むことを想定していますが、今回はガンドー=サンひとりでなんとかしてみましょう。

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◆タカギ・ガンドー(種別:モータル)
カラテ       5    体力        8
ニューロン     6    精神力       6
ワザマエ      7    脚力        4
ジツ        -    万札        5

攻撃/射撃/機先/電脳  5/ 7/ 7/ 8
回避/精密/側転/発動  7/ 7/ -/ -
即応ダイス:4  緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定ダイス+1、射撃判定時はさらに+1
▶強化頭蓋:体力+1、殺伐:頭部破壊の付属効果をシナリオ中1回のみ無効化

◆ZBRアドレナリン注射器、トロ粉末、ウイルス入りフロッピー
◆49マグナム×2:連射+1、ダメージ2、マルチターゲット、射撃HARD
◆ダムダム弾:弾薬、痛打+1

◇スキル
◉◉タツジン:ピストルカラテ(ミリタリーカラテ読み替え)
 装備銃器が基本射撃難易度HARD以上であれば射撃難易度-1
 拳銃・二挺拳銃装備を「素手状態」とし、装備ペナルティ無視
 隣接した敵にも射撃可能
 ●戦闘スタイル:射撃反動カラテ
  射撃と近接攻撃(HARD)の連続行動可能、次ターンの回避ダイス-1
  二挺拳銃使用時は近接攻撃を「連続攻撃2」に変えられる 次ターンの回避ダイス-2
 ●戦闘スタイル:セイケンヅキ射撃
  近接攻撃(HARD)が命中した時、殺伐出目1(痛打&弾き飛ばし)を発生させる
  射撃反動カラテとは同時使用不可、移動後の使用も不可
 ●ワザ:ロウレス・フロンティア ターン中1回まで
  回避出目66で迎撃発生時、迎撃を2ダメージ(回避HARD)とする
◉ウィークポイント射撃:出目66で痛打+1、モータルのモブ敵なら即死
●連射2
◉頑強なる肉体:体力+2
◇カルマ:善

◉知識:ストリートの流儀、ヤクザの流儀、銃器、サイバネティクス、
 スポーツ(オスモウ)、ドラッグ、犯罪、地域:アンダーガイオン
◉交渉:駆け引き、共感、煽り、鼓舞

能力値合計:18

 つの次元ではすでにガンドー=サンが出演しています。シキベ=サンが復活してたりはしていませんが、サンシタニンジャ並みに強いのでなんとかなるでしょう。では、始めます。

◆◆◆

 アンダーガイオン第一階層。アッパーガイオンほどではないが、経済的に比較的余裕のある者がここに住む。アッパーの神経症的潔癖さを嫌い、猥雑さを求めて、あえてここに住む成金カネモチもいる。治安はネオサイタマと大差なく、どこかの暗がりではいつも犯罪が行われているのだ。

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「聞いた?テクノギャングが皆殺しにされた、って」マンションの一室。ホンガンジはマツモトが作ったスシを口へ運び、黙々とカロリーを摂取する。サイドだけをぞんざいに刈り上げた髪は実際伸び放題で、色褪せたベロア・ジャケットはまるでサイズが合っていない。彼は全く冴えない物書きだ。

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「クズが大勢死んだんだろ?全く、胸のすくような話じゃないか」「でも、ここからすぐ近くよ?怖いと思わない?」「そう思うよ」ホンガンジは構想を練り、上の空だ。「早く寝て欲しそうね、話しかけて欲しくなさそう」「ああ」マツモトが溜息をつきながら食器を片付け始める。

「あなたのインスピレーションになるかと思ったのに」「感謝してるよ、実際ね」ホンガンジは最後のネギトロ・ロールを口に放り込み、資料集を抱えて、巣穴めいた作業部屋へと向かう。今夜もカンヅメだ。『電話ドスエ』電子マイコ音声が鳴った。マツモトがLED液晶画面を確認する。

 ハイテック表示機能により相手の名前が解る。「シトネ出版社の……マシモ=サンよ。どうするの?」「無視しといてくれ。君はエアロビクスにでも行ってきたらいい」ホンガンジはフスマを閉じて鍵を閉めた。

 数日後。アンダー第八階層に事務所を構える私立探偵タカギ・ガンドーは件のマンションの前に来ていた。若き小説家ホンガンジと同棲しているオーエル、マツモトからの依頼だ。浮気調査ではない。もっと物騒な話になるかも知れない。ガンドーは無言で二人の写真とプロフィールを確認する。

 ある日、ホンガンジが怪我をしてマンションに帰って来た。カンヅメになって作業してばかりの物書きが、だ。怪我に見えたが負傷はなく、付着していた血液は返り血のようだった。マツモトが事情を聞くと『ストリートギャングの抗争に巻き込まれた』の一点張り。そのままカンヅメになった。

 その日に、近場でストリートギャングが大勢死んでいたのは事実らしい。だが、どうも様子がおかしい。胸騒ぎがする。ホンガンジの目つきもどこか異様だった。それになにか、変な噂を聞いたような気もする。忘れてしまったが。とにかく、マツモトは知人のツテをたどり、ガンドーに依頼した。

 ホンガンジは、その日何をしていたのか。実際ギャングの抗争に巻き込まれただけならいい。ヤクザに脅されたか。最悪、彼がギャングを……否、不可能だ。彼は貧弱な物書きで、銃も満足に扱えないはずだという。何にせよホンガンジ本人の部屋を調べてみれば、手がかりが見つかるかも知れない。

交渉判定、難易度UH。能力値から得られる判定ダイスは6まで。交渉スキルでダイスを得る場合も1種類まで。「駆け引き」「ストリートの流儀」で+4して10D6[2554542134]失敗。忍び込むことは可能だが、調査時のダイスが2減少してしまう。

 ……だが、マツモトからは部屋を調べることは拒否された。逆上したホンガンジが襲いかかってくるかも知れない、というのだ。ならば、留守の間に忍び込むしかない。襲いかかってきたら、ブチのめしてやればいい。「どこから入るかな……ン?」なんと、ホンガンジの部屋の窓が開いている!

 サイバネアイで確認するが、窓の中に光はない。外出中なのか。「オイオイオイ、32階だぞ?ロープかなんかで伝って降りたのか?」窓の下に死体が潰れている様子はない。危険だが、非常階段の手すりを通れば窓まで行けそうではある。ガンドーはマンションへ向かって駆け出した。

室内

調査判定、難易度H。能力値から得られる判定ダイスは4まで。UNIXを「ウイルス入りフロッピー」を消費してハッキング。4+2+3=9。「知識:犯罪」「ストリートの流儀」で+4され13。[1623516565343]6成功。

 危険を冒し、窓から室内に入り込む。部屋の中には背筋を寒くさせる異様なアトモスフィアが漂っており、ゴシック調の音楽が大音量で流れていた。まずはUNIXを調べるとしよう。ガンドーはウイルス入りフロッピーを取り出すとUNIXにセットし、セキュリティ解除を試みる。……キャバァーン!

 スムーズにセキュリティは解除され、彼のIRC閲覧記録やプライベートな日記などにログインできるようになった。法律上は犯罪だが、問題はない。「これは……オイオイオイ……」ガンドーは我が目を疑った。『絡んできたヤクザを殺した。息を吐くように。素晴らしいインスピレーションが湧いた』

『さらなるインスピレーションが必要。テクノギャングを狩りに行く』『まだ足りない。今度はストリートギャングだ。無益なヨタモノに過ぎない。インスピレーションになれば役に立つ』『返り血を洗うのを忘れていた。マツモトには感謝しているが、怪しまれてしまった』『いつもどおりにすれば』

 そして、昨日の日付。『決定的な部分が欠けていた。罪なき者を手にかける殺人鬼を描写する上でのリアルさだ。これはヤクザやギャングを殺しただけでは掴めまい。明日やるべきことは決まった』……最悪だ。ホンガンジは殺人鬼だった。小説のインスピレーションを得るために、人殺しを。

 だが、違和感がある。冴えない物書きのホンガンジに、ヤクザやギャングを殺せるか?ところどころに罪罰罪罰という文字がちらつき、目が滑る。何か、そのまま表記してはまずい言葉なのか。プライベートな日記でさえ?そして、彼はどこへ向かったのか?急がねば罪もない誰かが殺される。

ニューロン判定、難易度H。「ストリートの流儀」「犯罪」「地域:アンダーガイオン」で+6。14D6[13341162353441]成功!緊急回避ダイスと即応ダイス1を獲得する。

 ガンドーはおもむろにZBRタバコをふかし、ニューロンにアドレナリンを行き渡らせる。遥かに良い。彼の人生経験と知識がスパークした。本棚に並ぶ彼の著作、室内に広げられた様々な資料から、推測できる場所は。

???

 薄暗い路地裏。黒い装束に身を包み、二本の鎖鎌を持った男が、罪もないサラリマンの前に突然現れた。「アイエエエ!?」サラリマンは絶叫した。見るからに狂人。いや、まさか……!黒装束の男は、しめやかにオジギし、アイサツした。「ドーモ、ブラッククレインです」

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◆ブラッククレイン(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        8
ニューロン     8    精神力       9
ワザマエ      7    脚力        4/H
ジツ        0    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳  8/ 9/ 8/ 8
回避/精密/側転/発動  9/ 7/ 7/ 0
即応ダイス:4  緊急回避ダイス:1

◇装備や所持品
◆鎖鎌×2(ムチ扱い):側転難易度+1、基本攻撃難易度H、リーチ+1、殺伐なし
 ●戦闘スタイル
  拘束攻撃:連続攻撃上限1、脱出判定H
  回転斬撃:連続攻撃上限1、痛打・殺伐なし
   ワザマエHで判定、成功すると隣接敵全員に1ダメージ 迎撃不可
  精密攻撃:ワザマエで攻撃判定、痛打・殺伐なし
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避ダイス+1
◆伝統的ニンジャ装束:回避ダイス+1

◇ジツやスキル
●連射2、時間差、マルチターゲット
◉ツジギリ
◉ニンジャソウルの闇(2):体力および攻撃・射撃・ジツ発動ダイス+2

能力値合計:21
相手がガンドー=サンだけなのでちょっと弱くしました。

「アイエエエ!ニンジャ!ニンジャナンデ!?」サラリマンは失禁した!ドラゴンや吸血鬼のような伝説上の怪物であるはずのニンジャが、目の前に!NRS(ニンジャリアリティショック)症状だ!「どんな気分だ?目の前にお前を殺そうとしているニンジャがいて、誰も助けてくれないというのは」

「アイエエエ!」「お前に大事な人はいるか?いるなら、そいつを残して死ぬことになるな。理不尽にも。お前自身の落ち度は、ここを通りかかったことだけだ。さあ答えてくれ!さあ!さあ!」ブラッククレインは鎖鎌の刃を向け、狂熱に浮かされた目でサラリマンを見た。「アイエエエ!」その時!

「イヤーッ!」物陰から大柄な影が飛び出し、哀れなサラリマンを米俵めいて担ぎ上げた!「アイエエエ!」サラリマンは泣き叫ぶ!新手の殺人鬼か?否!「安心しろ!ドーモ、ホンガンジ=サン。タカギ・ガンドーです」ガンドーは背後にサラリマンを下ろしてかばい、49マグナム二挺拳銃を構えた。

NRS判定、現有精神力で難易度N。6D6[645614]成功。

 ガンドーはタフに笑い、脂汗を垂らした。そうだ。こいつは……罪ニン罰罪ジ罪罰ャ罪罰……ニンジャだ!なぜ忘れていたのか。少女ニンジャのヤモト・コキと出会い、彼女を探す二人のヤクザニンジャとも遭遇した。カートゥーンの怪物は実在したのだ。「なぜ、俺の名を知っている?」

 ホンガンジは、ブラッククレインは首をかしげた。「探偵だからさ。俺は詳しいんだ」ガンドーは強いて笑う。こいつがニンジャなら、自分でもそう勝てる相手ではない。実際相当強い。背後にサラリマンをかばいながら戦って勝てるだろうか?否。ならば……?「そうか」一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ(一騎打ち):ブラッククレイン/BC(8)→タカギ・ガンドー/TG(7)→BC&TG(4)
 BCを攻撃して体力を0以下にするか、説得判定を行って2回成功すれば勝利。手番攻撃フェイズに交渉判定UHを行う。能力値から得られる判定ダイスは6まで。
BCはTGへ精密連続攻撃、[1446][33434]1発成功。TGは回避H、[346]回避。残り回避ダイス4、緊急回避ダイス1。

「貴様から死ね!イヤーッ!」ブラッククレインは鎖鎌を投擲!「イヤーッ!」ガンドーはギリギリで見切って躱す!タツジン!49マグナムを構えつつ、ガンドーは慎重に距離をとる。カラテを挑むのは危険だ。ならば!

説得判定、難易度UH。「共感」で+2、「ストリートの流儀」で+2。即応ダイス5を消費し6+4+5=15D6[234144642362253]成功!BCのニンジャソウルの闇が1つ取り除かれる。

「あんたの作品、調査の一環として読ませてもらったぜ。バイオレンス探偵小説『竹林に潜むジャックザリッパー』。なかなかの出来だが、どこか物足りない……特にヒロインが殺人鬼に出遭った時の反応がな」「なんだと!?くっ、貴様にも読み取れてしまうのか……!」ホンガンジは心を揺らす!

BCはTGへ精密連続攻撃、[2111][6211]1発成功。TGは4D6[2214]命中!残り体力7!TGは説得、10D6[6114156435]成功!

「ええい、作品のインスピレーションを得るためだ!死ねーッ!」ブラッククレインは鎖鎌を連続投擲!「グワーッ!」命中!だがスモトリ以上に頑丈な彼にとってはかすり傷だ!「へっ!作者が読者に手をあげるなんざ、創作者失格だな!」「う、ううう、グワーッ!」ホンガンジは悶絶した!

 彼はうつむき、がくりと膝をついた。鎖鎌が地面に落ちる。

戦闘終了

エピローグ

「お、俺は……取り返しのつかないことを……」ホンガンジは涙を流した。彼の心にも人間性がわずかに残っていたのだ。サラリマンは気絶しているが、外傷はない。そのうち忘れるだろう。「わかってくれりゃあいいのさ。で、どうする」ガンドーは彼の肩に手を置いた。「……どう、って」

「マッポに自首するか?殺したのはヤクザやギャングばかりだし、大目に見てくれるかもよ。まあマッポが聞いても信じねえだろうが」「……自首は、しない。マツモト=サンに迷惑がかかる。殺したやつらに大事な人がいれば償う」「……まあ、それでいいンじゃねえか。俺はマッポじゃねえ」

 ガンドーは傷を手当てし、気つけにZBRアドレナリンを注射する。遥かに良い。「法律に照らせば、俺も犯罪者だしな」「……俺にできることは、作品を書き続け……発表し続けることだけだ。それでカネが入れば、アッパーガイオンへも行けるかも知れない」「まあ、アッパーはやめとけ」

 ガンドーは自らの額を指でトントンと叩き、感謝した。彼に今も印税収入をもたらし、探偵事務所の経営を支えている、彼女に。

【ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドアー】終わり

リザルトな

評価:A ホンガンジによる善良なモータルの殺害を防ぎ、彼の「ニンジャソウルの闇」を全て消した。万札30、余暇4日を獲得。ホンガンジとの面識を得るが、彼がニンジャであることは忘れる。

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