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【つの版】度量衡比較・面積

ドーモ、三宅つのです。久しぶりにこのコーナーを動かしてみました。前回は船での移動距離でしたが、今回は面積についてしていきます。面積が何かとかいう定義は置くとして、いろいろなものの面積について比較します。つのは特になんの専門家でもないため、詳しいことは専門家にお聞き下さい。

▼爪と掌

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まず、身近なものとして肉体で測れる面積を見てみましょう。指の爪はおおよそ1-2cm2、手のひらは50cm2ほど(指を伸ばせば100cm2ほど)ですね。西遊記では孫悟空が釈迦の手のひらを「周り一尺(30cm)もない」と言いましたが、筋斗雲で十万八千里飛んでも抜け出すことが出来ませんでした。

コインでは1円玉が直径2cmなので面積は3.14cm2、500円玉が直径26.5cmなので5.5cm2ほど。10円は50円や100円より大きいようです。紙幣はだいたい指を伸ばした手のひらに乗るサイズ(11.4-12.2cm2)です。徐庶はを指して方寸(一寸四方の場)と呼びましたが、漢寸が2.3cmなら5.29cm2です。

▼布帛

次に、身につけるものはどうでしょうか。

江戸時代の手ぬぐいは、長さが鯨尺(1尺37.88cm)で2尺5寸(94.6cm)、幅が曲尺(1尺30cm)で1尺1寸5分(34.8cm)あり、面積は0.33m2になります。湯手ぬぐいは長さ5尺、被り手ぬぐいは3尺といいます。

六尺ふんどしは長さ曲尺6尺(1.8m)、幅1尺(0.3m)で面積0.54m2。

人間の肩幅は身長×0.23前後で、身長160cmなら36cmです。着物を作る布の単位である反(たん)は、幅が鯨尺で9寸5分(36cm=肩幅大)、長さが3丈(11.364m)で、面積は約4.09m2。2反で1疋(ひき)と呼びます。人間が機(はた)で織るため、幅は自然と人の肩幅になるのです。こうした単位はチャイナから伝わったものですが、時代や地域によって大きな差があります。

▼畳と坪

居住空間について見てみましょう。人間が生活するスペースは、概ね人間の肉体の大きさに合わせて造られています。

は様々な大きさがありますが、おおむね3尺(91cm)×6尺(182cm)=1.65m2として計算されます。「立って半畳、寝て一畳」というコトワザがあるように人間が寝起きするサイズですから、布団もタタミ1枚分あれば充分です。1坪は2畳=方6尺=3.3m2です。四畳半は2坪と0.5畳=9尺四方=7.425m2。六畳は3坪=9.9m2、ほぼ10m2となります。

方丈とは1辺が1丈(10尺)の四角い(方)部屋をいい、約9.2m2で六畳より少し狭い程度です。人が寝泊まりするには充分な広さです。

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例のシュギ・ジキ部屋はタタミ12枚から構成されるので6坪=20m2です。

▼家屋

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タタミや坪を基準にして、土地や家屋の面積を比較していきましょう。これによると、現代日本の賃貸住宅の床面積の平均は44m2ですが、これは約13坪(26畳)です。持ち家の平均面積は130m2(40坪=80畳)ほどです。2LDKや3LDKだと70m2(21坪)ほどになります。

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njrpg公式の「ニンジャの自宅」を見てみましょう。つのは基本的に1マスをタタミ半分として計算してますので4マスが1坪になります。下の記事で計算しましたが、1部屋タタミ32枚=16坪≒52.8m2。うちリビングが9坪=タタミ18枚、ドージョーと寝室がタタミ4.5枚、シャワー室と脱衣所がタタミ3枚、トイレがタタミ2枚。さらにバルコニーがタタミ8枚=4坪もあるので、合計20坪≒66m2となります。学校の教室もこのぐらいです。

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ヤクザの事務所」が9×20=180マス=タタミ90枚=45坪。応接室が10坪=タタミ20枚、事務所がタタミ9枚、ドージョーがタタミ8枚、倉庫がタタミ6枚、電算室がタタミ4.5枚、キッチン・仮眠室・牢屋がそれぞれタタミ3枚、などとなっています。雑居ビルの中にあるとはいえ結構なものです。ただしあくまでオフィスであって、ここで生活しているわけではないでしょう。

なおソウカイ・ニンジャの新人が叩き込まれる独房めいた空間はタタミ3枚しかありません。こんなんでも家賃が毎月万札1取られますので、とっとと稼いで脱出しましょう。まあ食事程度はつくようですが……。

▼競技場

相撲の土俵は歴史的にはいろいろ変遷していますが、現代においては1辺2丈2尺(6.7m)の正方形の土壇の中央に、直径1丈5尺(4.55m)の円を俵で囲んで作ります。円の面積は16.3m、タタミ10枚分(5坪)となります。

ボクシングのリングは、1743年のブロートン・コードでは直径25フィート(7.5m)の円、1865年のクインズベリー・ルールでは1辺24フィート(7.32m)の四角形とされています。後者であれば面積は53.58mでタタミ32枚半、16坪あまりとなります。ただ打ち合いを促すために狭くすることもあり、1辺18フィート(5.48m)の四角形にまで縮めることもあります。面積は30m2、タタミ18枚分です。プロレスはこちらが多いようです。

バレーコートは18×9m=162m2(49坪)で、周囲に3m以上の空間をとります。テニスコートは23.77×10.97m=264m2(80坪)、バスケットコートは28×15m=420m2(127坪)、競泳用プールは50×25m=1250m2(379坪)、高校の体育館は1620m2(バスケットコート4面弱)、サッカー場は国際大会やトップリーグで105×68m=7140m2(2164坪)、野球場のグラウンドは13000m2にもなります。100×100m=1万m2をha(ヘクタール)といい、13000m2は1.3haとなります。1haは約3030坪、タタミ6060枚です。

面積の単位「東京ドーム」は、全建築面積である約4.7haです。甲子園球場は3.85ha、ローマのコロッセオは2.4ha、日本の高校の平均土地面積は6.08haです(小学校が1.6ha、中学校が2.37ha)。国は高校生一人あたりの校舎床面積を10m2、運動場面積を30m2、校地面積を70m2という基準を定めているそうです。逆算すると高校の平均生徒数は600人程度ですね。日本一広い土地面積を持つ高校である北海道の標茶高校は農場含めて255haもありますが。

▼神殿

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ユダヤ教の聖典によれば、ヘブル人は荒野を彷徨っている時に神の象徴である契約の箱を担いで移動し、とどまる時は天幕を設営して仮の神殿(仮宮、幕屋)としたそうです。設計については事細かに書かれていますが、それによると幕屋本体は東西30肘尺(13.5m)、南北と高さは10肘尺(4.5m)で、これは60.75m2(18.4坪)ほどにあたり、学校の教室程度です。西側奥には契約の箱を安置し、前に幕を張り、10肘尺立方の空間を至聖所としました。この幕屋の周囲に東西100肘尺(45m)、南北50肘尺(22.25m)、高さ5肘尺の陣幕を張り巡らして境内としたといい、おおよそ990m2(300坪)です。

ソロモン王がエルサレムに建設した神殿はこの幕屋の4倍で、長さ60肘尺(27m)、幅と高さ20肘尺(9m)あり、243m=73.5坪。境内も幕屋の4倍でした。1000年後にヘロデ王が建設した神殿は1辺50mの立方体で、2500m2=758坪もありました。パルテノン神殿が70m×31m=2170m2なのでそれより大きくなります。境内は南北500m、東西300mで15haとなり、東京ドーム3個分以上の面積を持ちます。

立方体の神殿/聖都というイメジはエゼキエル書やヨハネ黙示録にも現れ、前者では1辺4500聖肘尺(2.3km)、後者では1辺1.2万スタディア(2160km)もの立方体が「新しいエルサレム」として現れると予言されています。キンカク・テンプルのことでしょうか。『ギルガメシュ叙事詩』において方舟は1辺60mの立方体とされており、なんらかの真実が含まれていそうですね。なおノアの方舟は300肘尺(132m)×50肘尺(22m)で、2900m2ほどです。これは現存する東大寺大仏殿(57.5m×50.5m)とほぼ等しい面積です。

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今回は以上です。次回はいよいよ量と衡に入って行きましょう。

【続く】

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