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忍殺TRPGリプレイ【メトロポリタン・ミュージアム】

邦題:大都市の美術館(Metropolitan Museum)

 ドーモ、三宅つのです。これはマスクドエンジン=サンのシナリオ案「マサシの墨絵を手に入れろ!」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 博物館に潜入してミヤモト・マサシの墨絵を盗み出すサンシタ用ミッションです。ソウカイヤでもストリートニンジャでもモータルのアウトローでも可能ですが、ザイバツやアマクダリは敵地でもなければあまりやらないでしょう。ただソウカイヤはいまやトップが総理大臣なので、日本国内の博物館に命令すれば大体のものは手に入ります。とするとデッドメドウゲイザー/シックスアイズのように、なりたてでイキってる野良ニンジャのしわざでしょう。さっそくそうしたニンジャを創造します。

ニンジャ創造

 いわゆるハクスラですから、ハッカーとスラッシャーが最低限必要となります。ダイスを4つ振ると[4221]=カラテ4、ニューロン2、ワザマエ2、ジツ0。申し分ないサンシタです。スキルは[4]=魅了。モブモータルを一撃で倒せますが、ニューロンが2しかありません。初期装備は[1]=家族の写真。ウェットになってきました。初期知識は[64]=山岳エリア。山育ちなのでしょうか。初期サイバネは[3]=サイバネアイ。ワザマエの低さを補えます。生い立ちは[33]=元ハッカーカルト。カラテ3、ニューロン3になり、生体LAN端子を初期装備できます。ハクスラのハッカーになりましたね。知識は1D6[1]=電子ウイルス。性別は[4]=偶数、女性です。魅了持ちに説得力がつきますが、山岳エリアの知識が説明できません。山マニアなのでしょうか。

 名前は…特に思いつきませんが、ニンジャメーカー製の名前もありきたりなので、なんか考えてみましょう。山好きのハッカー女性…なんらかのネットミーム汚染により「命令者ちゃん」が接続してきました。命令者を英訳するとコマンダーですが、軍人というわけでもありません。例の彼女のフルネーム?は「命令者・白(ホワイト)」なのでホワイトコマンダーとします。

 整理するとこうなります。

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◆ホワイトコマンダー(種別:ニンジャ)
カラテ       3    体力        3
ニューロン     3    精神力       4
ワザマエ      2    脚力        2/N
ジツ        0    万札      -12
DKK       0    名声        1

攻撃/射撃/機先/電脳  3/ 4/ 4/ 5
回避/精密/側転/発動  3/ 3/ 3/ 0
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定ダイス+1、射撃時さらに+1
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
◆家族の写真:精神力+1

◇ジツやスキル
◉魅了:ニューロン+ジツ値で発動(N)
 視線上のモブモータル1人を倒す 出目66でさらに1人

○生い立ち:元ハッカーカルト
◉知識:電子ウイルス、山岳エリア

能力値合計:8

 帽子はありませんでしたが、それ以外はほぼ命令者ちゃんです。目から危険な視線を発射してモータルの心を惑わせます。家族の写真には、果たして本当に彼女の家族が写っているのでしょうか。

 もう一人作ってみましょう。[4314]=カラテ4、ニューロン3、ワザマエ1、ジツ1[4]=ムテキ。初期装備は[2]=オーガニック・スシ、初期知識は[46]=独立小組織。事情通そうです。初期サイバネは[3]=サイバネアイ。ワザマエの低さを補えます。生い立ちは[25]=ガンマニア。チャカガンと「トリガーハッピー」のスキルを持ちますがワザマエは高くありません。ムテキとサイバネアイ持ちのガンマニアなのでブラックマシーンと被ります。振り直して[23]=実家のカネ。万札10を持ちますがローンで消え、残り借金2です。知識は[6]=高級嗜好品。オーガニック・スシにこだわりがありそうです。性別は[5]=奇数、男性です。ムテキ持ちのタンク役でスラッシャーとなります。

 ニンジャネームは「神々の山嶺」繋がりでグランドジョラスとします。特に山好きやクライマーではありませんが。整理するとこうなります。

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◆グランドジョラス(種別:ニンジャ)
カラテ       4    体力        4
ニューロン     3    精神力       3
ワザマエ      1    脚力        2/N
ジツ        1    万札       -2
DKK       0    名声        1

攻撃/射撃/機先/電脳  4/ 3/ 3/ 3
回避/精密/側転/発動  4/ 2/ 2/ 4
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定ダイス+1、射撃時さらに+1
◆オーガニック・スシ

◇ジツやスキル
☆ムテキ・アティチュードLV1
○生い立ち:実家のカネ
◉知識:独立小組織、高級嗜好品

能力値合計:10

 神々の山嶺のキャラのようなごつい男性ではなく、不健康そうなナード男子にしました。ホワイトコマンダーの命令に従う闇がありそうな少年です。イタミ・ニンジャクランではないと思います。

 少々能力値は低めですが、ハクスラコンビがきちんとできました。では、始めます。果たして生き残れるでしょうか。

◆◆◆

 キョート共和国首都ガイオンの地表、ヒスイ・アガリノボル・スクエア。ここには平安時代よりも古くからある宝物殿ウツクシミ・テンプルがある。今は博物館として市民を迎え入れているが、建物自体が重要文化財だ。当然警備は厳重。様々なトラップも仕掛けられており、侵入者を寄せ付けない。

 草木も眠るウシミツ・アワー。向かいのビルより、二人の人影が閉館した博物館を見下ろしている。「あそこね」「ハイ」白い髪、白い肌、白い装束に赤い瞳。人間離れしたアトモスフィアを漂わせる女性が、口角を歪めて嗤った。彼女の名は、ホワイトコマンダー。情け容赦ない女ニンジャだ。

 その傍らにしゃがみ込むのは、黒い髪、黒い装束、黒い瞳の小柄な少年。彼の名はグランドジョラス。やはりニンジャだ。二人は今からあの博物館に忍び込み、宝物を盗み出そうとしている。カネのために。売り捌くには相応のルートがあるが、それは依頼主がやることだ。二人のビズではない。

事前準備。「下調べ」「対処訓練」「逃走ルート確保」「物資調達」のどれかを一人ずつ選んで行う。下調べと逃走ルートは知識判定H、対処訓練はカラテかニューロンで判定H、物資調達は交渉判定H。失敗してもDKK+1して一度だけ振り直せる。ホワイトコマンダー/WC…WKは下調べ、5D6[61131]成功。全員が即応ダイス1を獲得。グランドジョラス/GJは逃走ルート確保、3D6[622]成功。逃走判定の難易度-1。

 下調べと、逃走ルートの確保は済んでいる。警備はニンジャの侵入を想定していない程度だ。とはいえ二人はニンジャになりたての駆け出しで、重サイバネ化したモータルと実力は大差ない。だが、ジツがある。カラテもそこそこある。隠密に行動すればなんとかなるだろう。「行くわよ」「ハイ」

博物館

 二人は闇の中をしめやかに進み、監視カメラの死角を潜り抜け、博物館の裏口に到達する。物理錠前はあるが、電子ロックはかかっていない。キョートの伝統的価値観のゆえだろうか。とはいえ、この錠前はニンジャのワザマエをもってしても、なかなか難しそうだ。だが引き下がる訳にはいかない。

WKが挑戦、3D6[126]成功!

「……よし」ホワイトコマンダーは、サイバネアイとニンジャ器用さを発揮して、見事に裏口ドアを解錠した。二人はしめやかに潜入しドアを閉める。深夜の博物館の中にいるのは警備員だけだ。物陰に隠れて様子をうかがうとマグライトを手にした警備員が近づいてきた。どうするか。

全員がワザマエ判定Nに成功すればやり過ごせる。代表者1人がDKKを1獲得すれば判定なしで暗殺し、先へ進める。「魅了」を持つ者がいれば、発動判定Nに成功すれば全員が突破できる。WKが魅了発動、5D6[54324]成功!

 ゆらり、とホワイトコマンダーが立ち上がり、物陰から顔を出した。そして警備員と瞳を合わせ、思念波を注ぎ込む。軽度のNRSを起こさせて無力化するジツ、ゼゲン・ジツだ。「……ムン」警備員は昏倒した。「よし」「さすがです」二人はしめやかに先へ進む。「……今度は監視センサーね」

ハッキング判定H、WKが挑戦。5D6[66535]成功。

 ホワイトコマンダーは近くのフクスケ型端末にLANケーブルを刺し、自分の生体LAN端子と接続する。ピピピ……バシュン。「……よし」ハッキングにより、センサーはダウンした。元ハッカーカルトの彼女にとって、この程度のことはお手の物だ。「もう少しよ。気をつけて」「ハイ」

トリイ・ギロチン。ニューロン判定Hで察知、失敗したら回避H。WKは5D6[66141]成功。

 目的の展示物がある部屋の前には、見事なトリイ・ゲートがある。よく観察すれば、トリイの内側にスリットがあることが見て取れよう。典型的な殺人トラップ、トリイ・ギロチンだ。ウカツに通ればキンタロアメにされてしまう。「引っかかるもんですか」ホワイトコマンダーは薄く笑う。

 彼女はトリイの周囲を調べ、「ギロチン停止」と書かれたレバーを発見した。罠が仕掛けられている気配はない。「よし」指紋を残さぬよう手袋をして、慎重にレバーを動かす。グランドジョラスが試しにトリイを潜る。何も起きない。彼のジツなら、ギロチンが降ってきてもある程度は耐えられる。

宝物回収

 二人は、ついに目的の展示物の前に辿り着いた。平安時代の哲人剣士、ミヤモト・マサシが描いたという見事な墨絵だ。コイが滝を登ってドラゴンに変身する、古事記にも書かれたコトワザを描いたもので、重要文化財級の代物だ。教養があれば、この墨絵にこめられたマサシの意図も読み取れよう。

 墨絵はガラスケースにも納められておらず、カケジクとして展示されており、簡単に回収できた。ホワイトコマンダーは墨絵を丸めて懐に入れる。「さて……ついでに何か、オミヤゲを貰っていくわよ」「ハイ」

各PCはDKKを+1するごとに万札を+2する。最大で1人あたり5回まで。この万札は略奪した者の懐に全額収まる。2人ともDKKを5として万札10ずつを獲得。Wasshoi判定、[34]=7>5、[32]=5=5。「2D6の出目合計が目標値以下であれば、この判定は成功となる」ため、同数ならば出現する!「家族の写真」を消費してDKKを消せるのは所持者のWKだけだ。しかしアッパーガイオンの博物館に、彼が出現するだろうか?

???

 二人は手分けして宝物を漁り、懐に納めていく。が、その時。「貴様らの行動はザイバツ・シャドーギルドに許容されぬ」そう言い放ち、背後から進み来る者あり。腰にカタナを帯びている。「ドーモ、ダークニンジャです」

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◆ダークニンジャ(種別:ニンジャ)
カラテ      13    体力       18
ニューロン     7    精神力      13
ワザマエ     16    脚力        8/N
ジツ        5    万札       30

攻撃/射撃/機先/電脳 19/16/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 19/16/16/12
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:4

◇装備や所持品
◆業物のカタナ:攻撃ダイス+1
◆***折れたる妖刀ベッピン***
◆パーソナル・フルヘルム:精神力と緊急回避ダイス+1
◆伝統的ニンジャブレーサー:緊急回避ダイス+2
◆伝統的ニンジャアーマー:回避ダイス+1
◆レガース:緊急回避ダイス+1

◇ジツやスキル
☆ハガネ・ニンジャソウル、ジツLV5
 カタナ装備時のみ近接攻撃ダイス+5、回避ダイス+2
 ◉◉タツジン:イアイドー
  カタナ攻撃の出目6成功時に痛打+1、装備ペナルティなし
  ●戦闘スタイル
   強化精密攻撃:ワザマエで攻撃判定、出目66で殺伐、665+でナムアミダブツ
   強化強攻撃:攻撃判定難易度+1、基本ダメージ2 連続攻撃上限3
  ●移動スタイル:カスミ 回避ダイス1を獲得しつつ移動可能(脚力+2まで)
  ●イアイ反撃:回避判定出目に6を含んだ迎撃のダメージが2となる
 ◉ツジギリ、グレーター・ツジギリ:移動しながらカタナ攻撃可能
 ◉ヒサツ・ワザ:ファイアフライ
  カタナ攻撃でナムアミダブツが出た時、精神力1を消費して発動
  回避UH、命中すると殺伐の出目4(脚部破壊)を発生させ、
  体力にさらに2D3、脚力にさらに1のダメージを与える
 ◉ヒサツ・ワザ:ムーンシャドウ 精神力1か回避ダイス2を消費し発動
  カタナによる近接攻撃で「ナムアミダブツ」が出た場合にも選択可能
  痛打+2D3、回避UH、迎撃不可 回避の可否に関わらず、
  使用者は攻撃後に標的の後方へ最大3マスまで追加移動可(ナナメ可)
 ◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツで精神力を換算
 ◉◉アーチ級ソウルの力:カラテ+ジツで体力換算
 ◉即死耐性

◉疾駆:通常/全力移動時に移動マス+2
◉タクティカル移動射撃:移動しながら射撃可能
●連続攻撃3、連射3、時間差、マルチターゲット
○生い立ち:アーチ級ニンジャソウルの片鱗
◉知識:古代ニンジャ文明、ストリートの流儀、貴族の流儀、伝統的アート、
   高級嗜好品、ソウカイヤ、ザイバツ
◉交渉:威圧、欺き、超然、駆け引き、理路整然、誘惑、煽り、鼓舞

能力値合計:46
 ピラーでのイクサに敗れた後、ケイトーによってキョートへ連れ去られ、ザイバツに所属することになったようです。逃げるのも難しそうですし、戦えばほぼ確実に瞬殺されるでしょう。それでもいいですが、もったいないので…ニューロン判定、難易度H。5D6[52664]3D6[226]成功。

「え、あ」「……アイサツせよ」「……ドーモ、ホワイトコマンダーです」「グランドジョラスです」二人はアイサツを返した。ザイバツ・シャドーギルド。キョート共和国を裏から操る暗黒ニンジャ組織に見つかった。勝てる相手ではない。殺される。逃げても、組織からは逃げられない。ならば。

ドゲザ判定、素のワザマエで難易度UH。WKは即応ダイス6を消費し8D6[12226336]成功、GJも即応ダイス6を消費し7D6[2213561]成功。ともに命は助かるが、名声1を失う。

 二人はとっさに跪き、奪った宝物を懐から取り出した。ホワイトコマンダーは震える声で告げる。「オミソレ・シマシタ。返還致します」「判断が早いな」ダークニンジャはつかつかと歩み寄る。二人は深々とオジギした。「手下にお加え下さい。お役に立ちます」「オネガイシマス」「ほう」

 ダークニンジャは目を細めた。この二人を始末するのは、ベイビー・サブミッションだ。だが、生かしておいて手下とすればどうか。今は弱くとも、鍛えればモノになるかも知れぬ。異邦の地で元敵対組織に所属することとなり、仲間も乏しい現状、味方を増やしておくにしくはない。

「貴様らを派遣した依頼主は誰だ。ソウカイ・シンジケートか」「……おそらくは」「そうだろうな」ダークニンジャは墨絵をとり、もとの場所へ投げかけた。「他の宝物も、もとの場所へ戻しておけ」「「ハイ」」「貴様らは、ここで死んだことにしてやる。これからは俺に仕えよ」

「「ハイヨロコンデー!」」……こうして二人はダークニンジャに屈服し、ザイバツ・シャドーギルドに所属するアプレンティスとなったのである。

【メトロポリタン・ミュージアム】終わり

リザルトな

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