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忍殺TRPGリプレイ【アイ・ワズ・メイド・フォー・ラヴィン・ユー】

邦題:君を愛するために作られた(I Was Made For Lovin’ You)

 ドーモ、三宅つのです。これはトラッシュ=サンのソロシナリオ案「深夜のニンジャ散歩」「不審火の謎を追え」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 二つのソロシナリオを組み合わせることで、なんかケミストリーが生じるかも知れません。今回挑むのは彼です。

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◆ゴールデンウルフ(種別:ニンジャ)
カラテ       6    体力        6
ニューロン     2>4  精神力       2>4
ワザマエ      3>5  脚力        3/N
ジツ        0    万札       30>7
DKK       0    名声        2

攻撃/射撃/機先/電脳  6/ 5/ 4/ 4
回避/精密/側転/発動  6/ 5/ 5/ 0
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)

◇ジツやスキル
◉ランスキック:脚力値で近接攻撃判定(N、回避N)
 命中すると殺伐出目1(痛打+弾き飛ばし) 殺伐が出たら殺伐出目D6も可
 脚力7以上で連続攻撃2可能 迎撃回避不能
○生い立ち:実家のカネ
 初期所持万札+10、余暇ごとにD6を振り2~6で万札+1 出目1で尽きる
◉知識:貴族の流儀、高級嗜好品

能力値合計:11>15
前回の冒険で万札20、名声1、余暇4日を獲得しました。ニューロンを鍛錬し[42]=6>2=成功、[51]=6>3=成功。ワザマエを鍛錬し[44]=8>3=成功、[44]=8>4=成功。万札24を消費し残り6。実家のカネは[2]、+1。

 雅やかな没落貴族である彼も、ザイバツニンジャとして様々なミッションをこなさねばなりません。では、始めます。

◆◆◆

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 アンダーガイオン上層、キバレ・ストリートの一角。とある雑居ビルの13階に、デスキツネビ・ヤクザクランの事務所がある。彼らはザイバツ・シャドーギルドに上納金をおさめており、ニンジャ絡みの問題があればザイバツへ報告する義務がある。それにザイバツが対処するかは状況次第である。

「やれやれ……アッパーガイオンに比べれば、なんとむさ苦しいことよ」ゴールデンウルフは眉をひそめ、優雅に扇子を使う。アンダーでは上層ではあるが、所詮は地下。治安も大気汚染度合いもアッパーより遥かに酷い。「申し訳ございません」グレーターヤクザのセメイが深々とオジギした。

「まあ、ギルドの御命令じゃ。はよう用件を申せ」「ハイ。このところ、キバレ・ストリートで連続殺人事件が起きておりまして。カタナで斬り裂かれているのはともかく、死体の傍らにスリケンが落ちていたり、内臓だけが焼かれていたりと、ニンジャのしわざに違いありません」セメイはうめいた。

「犠牲者は、みな独りのところを狙われています。アンダーで独り歩きは危険とはいえ……ウチのモンも何人か犠牲になりました。調査はさせていますが、マッポはあてになりませんし、先を越されたらクランのメンツは丸潰れです。どうかセンセイのお力をお貸し頂き、事件を解決して下さい!」

 セメイは他のヤクザたちともども、ゴールデンウルフの前にドゲザした。「よろしい。やってみましょう」ゴールデンウルフは優雅に微笑んだ。「「「アリガトゴザイマス!」」」ヤクザたちはさらに深々とドゲザ!これがザイバツとヤクザクランの、ニンジャとモータルの格差である。

探索

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 ゴールデンウルフは、道に迷ったアッパーのサラリマンか観光客といった風体でキバレ・ストリートに繰り出した。オーガ・アンド・スネーク(鬼も蛇も出る)とのコトワザの通り、猥雑なアンダーガイオンの路地裏の闇には何が潜んでいるかわからない。相手がニンジャならなおさら注意が必要だ。

ニューロン判定H、4D6[6254]成功。射撃判定N、5D6[12432]成功。

 その時!闇の中から突如巨大な影が飛びかかった!「!」ニンジャ視力でそれを観察すれば、巨大なバイオフクロウだ。彼らは音もなく闇から襲いかかり、人間を捕食する危険生物である!「イヤーッ!」ゴールデンウルフは一瞬早く身を躱し、スリケンを投擲!「AAARGHHH!」命中!

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 バイオフクロウは叫びながら緑色の血を流し、アンダーの闇の中へ飛び去った。深追いは禁物だ。「まったく、下賤な」ゴールデンウルフは眉をひそめ、マッポーの世を嘆いた。貴族出身とはいえ、没落し権勢もカネもない現状では、ザイバツでも下っ端の汚れ仕事に甘んじねばならぬ。

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「アッコラー!?チャースイテッコラー!?」ナムサン、今度はヨタモノの群れが迫ってきた!「カモネギッコラー!」「身ぐるみ剥いで置いてけコラー!」「男オイランハウスに売るぞコラー!」彼らは下賤なスラングを口々に喚きながら、鎌バットを振りかざして威嚇する。「アナヤ……」

回避N、6D6[364463]成功。カラテ(E、万札3とDKK2獲得)・ニューロン(N)・ワザマエ(N)のどれかでインタビューできる。ムカついているので当然カラテだ。6D6[112136]成功。

 ゴールデンウルフはあまりの卑しさにこめかみを押さえ、目を閉じて首を振る。「囲んで殴れ!」「「ウオーッ!」」アブナイ!だがゴールデンウルフは難なく回避し、ローリングソバットでヨタモノ二人の首を刎ねた!サツバツ!「「アバーッ!」」「え?」「衣服が汚れた。弁償せよ」「ハイ」

 生き残ったヨタモノは腰を抜かし、失禁しながらカネを差し出す。「ついでに聞くが、このあたりで連続殺人事件が起きたという。知っていることはないか」「え?……えーと、ハイ、知ってます!あ、あっちの路地裏で殺人事件が!」ヨタモノは機転を利かせ、路地を指さした。「そうか。死ね」

「え」「イヤーッ!」「アバーッ!」ゴールデンウルフは彼の顔面にヤリめいた前蹴りを叩き込み、頭部をウォーターメロンめいて砕いて殺した。ナムアミダブツ!彼らは確かに横暴だったが、ここまでされる謂れはない!否、ニンジャはモータルに理不尽な暴力を振るい、虫を踏むように殺すのだ!

???

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 つかつかと路地裏へ足を踏み入れたゴールデンウルフは、ニンジャ視力で闇を見通す。アンダー上層の天井にはイミテーションの青空が描かれ、偽の太陽やネオン看板などが街を明るく照らし出しているが、光が強ければ闇も濃いものだ。「アーレエエーッ!」路地裏の奥から女性の悲鳴!

 視れば、美しいオイランが泣き叫びながら独りでこちらへ駆けてくるではないか。「オタスケーッ!ニンジャ!ニンジャナンデ!」「待ち給え」ゴールデンウルフは彼女の前に立ちはだかり、両腕を広げた。「聞き捨てなりませんね。ニンジャと?」「アイエエエ!タスケテ!」彼女は混乱している。

ニューロン判定N、4D6[5536]成功。

 ゴールデンウルフは弱めにニンジャ存在感を解き放ち、NRSで彼女を正気づかせた。「アイエエエ……」「安心なさい。ニンジャなどいません」「ハイ……あの、路地の奥で突然、暴漢が!浮浪者が死んで!コワイ……」「なるほど。では私が調べて来ましょう」「コワイ……ドスエ」

 オイランは震え、涙目でゴールデンウルフの衣服を掴み、縋り付く。確かに彼女を独りで居らせるのは危険であろう。「では、ついてきて下さい。私から離れないように」「ハイ……」彼は貴族であり、紳士である。アンダーガイオンのモータルといえど、無力な美しい女性を放ってはおけないのだ。

???

 ……路地裏を奥へ奥へ進んでいくと、確かに浮浪者の死体がある。顔は断末魔の苦悶に歪み、開かれた口の中は炭化し、黒い煙を吐いている。「内臓だけが焼かれた」という犠牲者の特徴と一致する。ニンジャのカトン・ジツの一種であろうか。そして……傍らに落ちているのは、スリケンだ。

 ゴールデンウルフは器用に足でスリケンを蹴り上げ、手を汚さぬよう重さを確かめる。見た目よりも遥かに軽い。「これは……オモチャではないか」鉄などの金属製ではなく、プラスチック製だ。こんなもので人は殺せない。ニンジャアトモスフィアは周囲からもスリケンからも感じない。では?

 その時!BOOOM!路地の行き止まりのマンホールが蓋を開け、中から炎が噴き出した!「アイエエエ!」オイランが泣きわめく!マンホールから現れたのは、ガスマスクをかぶり火炎放射器を背負った怪人だ!「ヒヒーッ!俺はニンジャだ!ニンジャだぞ!カトン・ニンポだ!恐れよ!」

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「……ニンポ?」ゴールデンウルフは眉根を寄せた。確かに危険な暴漢ではあるが、ニンジャアトモスフィアは感じない。ただの武装した狂人だ。「ドーモ、ゴールデンウルフです」念のためアイサツを繰り出すが、狂人はわけのわからぬことを口走るばかりで、まるで要領を得ない!「ヒヒーッ!」

戦闘開始

回避N、6D6[214312]危うく回避。駆け寄って近接攻撃、6D6[366644]ナムアミダブツ!暴漢は即死!

 KABOOOOM!狂人は火炎放射器のノズルを向け、ゴールデンウルフに爆炎を放った!「イヤーッ!」ゴールデンウルフはオイランをかばってマワシウケ!カラテが炎を吹き払う!「エッ!?」「死ね」ゴールデンウルフは歩み寄り、狂人の首をケマリのボールめいて蹴り飛ばす!「アバーッ!」

 ナムアミダブツ!火炎放射狂人の生首が空高く飛び上がり、背後のビル壁に激突!粉々に砕けて血のシミと化した!残った死体は爆発四散することもなく、背後に大量の血を噴き出して仰向けに倒れ……燃料タンクが潰れて引火!KABOOOOM!爆発四散!「……くだらぬ事件であった」

戦闘終了

???

 ゴールデンウルフはため息をつく。証拠となる生首も死体も消えたが、証人としてオイランが……「アナタ、スゴイのね」背中に先程のオイランがしなだれかかり、豊満なバストを押し当てた。上気した様子だ。ニンジャのカラテを浴びてフリークアウトしたか。「アー、体温何度あるのかな……?」

ニューロン判定、難易度H。4D6[5166]成功。

 ゴールデンウルフの脳裏を疑念がよぎる。あれほどまでにやかましく、マヌケでウカツな狂人に、ヤクザ複数を含めた連続殺人を、足跡を辿られることなく行えただろうか?それに火炎放射器で焼き殺したなら、全身が黒焦げになっているはず。ノズルを口の中に入れて炎を注ぎ込んだか?まさか。

回避判定N、6D6[112115]1成功。オイランは5D6[21336]回避!

 オイランの真っ赤な唇が、ゴールデンウルフの唇に近づく。その唇には熱が籠もっている。超自然的な熱が!「……イヤーッ!」ゴールデンウルフはオイランを一本背負い!地面に叩きつけんとす!「イヤーッ!」オイランはウケミを取って地面を転がり、立ち上がった!「ウフフフ、惜しい」

「貴様、ニンジャであったか。ドーモ、ゴールデンウルフです」「ドーモ、アタシはウォーマリップです」

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◆ウォーマリップ(種別:ニンジャ)
カラテ       2    体力        3
ニューロン     5    精神力       5
ワザマエ      3    脚力        2/N
ジツ        3    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳  3/ 4/ 5/ 5
回避/精密/側転/発動  5/ 3/ 3/ 9
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品:特になし
◇ジツやスキル
☆カトン系ニンジャクラン、ジツLV3
 ☆カトン・ジツLV1:隣接した3×3マス内の敵に1ダメージ(回避N)
 ☆◉カトン・キッス:精神力1を消費し発動(H)
  隣接敵1体の体内に炎を注ぎ込みD3ダメージ(回避H)、モブモータルなら即死
◉ニンジャソウルの闇(1):体力および攻撃・射撃・ジツ発動ダイス+1

能力値合計:16
 元シナリオより多少強化しました。ジツLV3ですがユニーク・ジツを持つため、現状ではカトン・ジツはLV1までしか使えません。

 ウォーマリップは唇をすぼめ、炎の息を吹き出す。「連続殺人事件の犯人は、貴様というわけだ」「ウフフフ!」彼女は目を細めて嘲笑う。しかし、彼女はスリケンはともかく、カタナを装備してはいない。ならば!

ニューロン判定N、[6212]成功。回避N、6D6[125546]回避!

「イヤーッ!」背後のマンホールからアンブッシュ!「イヤーッ!」ゴールデンウルフはこれを察知して躱す!カタナが頭上を通り過ぎる!アンブッシュ者は側転して距離をとり、アイサツを繰り出した。「シューッ、気づかれたか。ドーモ、ヴィクティムカタナです」

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◆ヴィクティムカタナ(種別:ニンジャ)
カラテ       5    体力        6
ニューロン     2    精神力       2
ワザマエ      5    脚力        3/N
ジツ        0    万札       10

攻撃/射撃/機先/電脳  6/ 6/ 2/ 2
回避/精密/側転/発動  5/ 5/ 5/ 0
即応ダイス:4 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
◆カタナ

◇ジツやスキル
◉ニンジャソウルの闇(1):体力および攻撃・射撃・ジツ発動ダイス+1

能力値合計:12
 元シナリオより多少強化しました。

 ナムサン!二対一だ!「なるほど、二人組であったか。ドーモ、ゴールデンウルフです」「ウフフフ、金持ってそうだからおびき寄せてみたけど、まさかニンジャとはねェ。囲んで殴れば勝てそうね」「うむ」ヴィクティムカタナは頷き、カタナを構えた。一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ:ウォーマリップ/WL(5)→ゴールデンウルフ/GW(4)→ヴィクティムカタナ/VK(2)
WLはGWへ駆け寄りカトン・キッス発動(残り精神力4)、9D6[3336166665]成功。GWは3D6[245]回避!連続側転&WLへカラテ、[53523][112324]攻撃失敗!

「ムチューッ!」ウォーマリップは唇を突き出し、ゴールデンウルフへ飛びかかる!体内に炎を吹き込む気だ!「イヤーッ!」ゴールデンウルフはこれを躱し、反撃のトビゲリ!「イヤーッ!」ウォーマリップはしゃがみ回避!

VKは駆け寄ってカタナ強攻撃、5D6[43622]1成功。GWは5D6[65642]回避&迎撃!VKは[66246]回避!

「ウォーッ!」ヴィクティムカタナが斬りかかる!「イヤーッ!」ゴールデンウルフは難なく回避し、反撃のチョップ!「イヤーッ!」回避!二対一だが互角の立ち回りだ!「なかなかやるね!もう一発!」

2ターン目

WLはカトン・キッス(残り精神力3)、[314456464]成功。GWは[325]回避!連続側転&WLへカラテ、即応ダイス5をつぎ込む![52224][36111231636]3成功&ナムアミダブツ[5]両腕破壊!WLはアドレナリン・ブーストし(残り精神力2)[21344]命中!2ダメージを受け残り体力1、カラテとワザマエが1に減少!

 ウォーマリップは唇を突き出す!「ムチューッ!」「イヤーッ!」ゴールデンウルフは危うく回避!ジツは危険だが、彼女のカラテは常人とさして変わらぬ!ならば!「キエーッ!」ゴールデンウルフは壁を蹴り、渾身のカラテを込めてウォーマリップに飛びかかる!……ドクン!彼女はアドレナリン

 KRAASH!「ンアアーッ!?」ナムアミダブツ!ウォーマリップのとっさのクロス腕防御が、トビゲリによって叩き折られた!重傷だ!「アバッ……チクショ!」「ウオオーッ!」ヴィクティムカタナが斬りかかる!

VKはカタナ強攻撃、[54613]2成功。GWは[25634]3成功回避&迎撃!VKは[11353]回避!

 SLASH!「イヤーッ!」ゴールデンウルフは見切って躱し、迎撃のカラテを放つ!「い、イヤーッ!」回避!「まだやるか、貴様ら。ザイバツ・シャドーギルドに逆らえば生きておれぬぞ」ゴールデンウルフはカラテを構えて威嚇する。女ニンジャに重傷は与えたが、男の方は多少手練れだ。

「それとも、降伏するか? ギルドに忠誠を誓えば生かしてやろう。ニンジャはモータルよりも格上の存在だ。相応の待遇を受けられようぞ」ゴールデンウルフは、負傷したウォーマリップに呼びかける。

降伏勧告、難易度UH。GWはワザマエ5、貴族の流儀で+1され6D6[361342]成功!

「……わかった。ハンズアップよ」ウォーマリップは状況判断し降伏した。「あんたもよ、ヴィクティムカタナ=サン」「……よかろう」彼はカタナを鞘に納め、ひざまずいた。「ニンジャとなって以来、カラテを持て余しておりました。これも何かの縁でござろう。お仕え致します」「うむ」

戦闘終了

エピローグ

 こうしてゴールデンウルフは、二人のニンジャを配下に加えた。ザイバツ傘下のヤクザクランの構成員を殺した犯人であるが、ギルドにとってニンジャとモータルでは天と地の差がある。二人の罪は不問とされ、全ての罪はガスマスクをかぶった、あの狂人になすりつけられるだろう。

「で、あいつは何だったのだ」「あのサイコ野郎は、この辺に住んでた野良の狂人。アタシらがちょっと脅してやったら、自分をニンジャだと思いこんじゃってさ。せっかくだからトラップとして利用してたってわけ」ウォーマリップが嘲笑う。「インガオホー、ショッギョ・ムッジョよねェ」

【アイ・ワズ・メイド・フォー・ラヴィン・ユー】終わり

リザルトな

評価:A 連続殺人事件を解決し、ザイバツ・シャドーギルドに二人の野良ニンジャを加入させた。万札20、名声1、余暇4日を獲得。ヨタモノを殺して万札3(とDKK2)を獲得しており、合計万札23をゲット。WLとVKの万札は手に入らない。

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